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抗
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あらが
ふりがな文庫
“
抗
(
あらが
)” の例文
すでにどう
抗
(
あらが
)
ってみても危篤の友を見舞うにふさわしいものはなくて、抑えても抑えてもふくれあがる女への情熱でいっぱいだった。
正体
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
逆手というのではなかったので、苦痛も痛みも感じなかったが、なんともいえない神妙の呼吸は、平八をして
抗
(
あらが
)
わせなかった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
之は
抗
(
あらが
)
い難きニヒリズムである。家に帰って寝に就いてからも、此の男の言葉の・極めて
叮嚀
(
ていねい
)
な・しかし救いの無い調子が耳について仕方がない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
悪党がっているお六も、
抗
(
あらが
)
う力もなく首を延し上げられて、左の小脇にかい込まれると思う間もなく、薄月に
閃
(
ひらめ
)
く銀簪、あわやお六の右の眼へ——。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
また、その
聴許
(
ちょうきょ
)
を要請された
殿帥府
(
でんすいふ
)
の高家でも、司法法廷の裁判には
抗
(
あらが
)
いかねたものだろう。だまって、その公文書に裁可の官印を
捺
(
お
)
して下げてきた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
芸者には限らない。女と云うものはそうしたものかも知れない。この頃のお常
奴
(
め
)
は、己を傍に引き附けて置いてふくれ面をして
抗
(
あらが
)
ってばかしいようとしやがる。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
他の一部の若い人々は全く山村のようにくよくよしずにさりとて現状に
抗
(
あらが
)
わず、僅かに自分の時間でせめては本だけでも読んだりして雨宿りでもしているように
ヒューマニズムへの道:文芸時評
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
逃げても逃げ切れないし、
挑
(
いど
)
んでも
抗
(
あらが
)
いきれるものではない、ただひとつの事はうまくだまして貝をそのまま帰すことだけが、一さいが無事にすむことになるのだ。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その時お信さんは、伯父が許さなかつたにも拘らず、ぷん/\怒り泣きながら、それに
抗
(
あらが
)
つて停車場まで見送りにと言つて、
平常着
(
ふだんぎ
)
のまゝ逃げるやうに出て行つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
否々、そは我が言はんと欲せしところにあらず。わが本意は畫工に聖母のみ畫かせんとにはあらず。めでたき山水も好し。賑はしき風俗畫、
颶風
(
ぐふう
)
に
抗
(
あらが
)
ふ舟の圖も好し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
洞のごとく見せかけたのではなかったであろうか——などとさまざまな疑心暗鬼が起ってくると、それが
抗
(
あらが
)
いがたい力でもあるかのごとく、滝人の不安を色づけていった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
雪をはらんだ雲は、さういふ彼に
抗
(
あらが
)
ふやうに、低くおもく、垂れこめてゐるのである……
ゲエテの「冬のハルツに旅す」
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
と
暗闇
(
くらやみ
)
に声を掛けたが、答えず、思わぬ大金をもらって気が変になったのか強くなったのか、こともあろうにそれは見習弟子だとやがて判った。
抗
(
あらが
)
ったが、なぜか体が
脆
(
もろ
)
かった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
左様なる事、若き人の口出しせぬものぞかし。一切をわれ等に任せて安堵されよと言葉をつくしたる
説明
(
ことわけ
)
なり。われも強ひて
抗
(
あらが
)
ひ得ずして、成り行く儘に打ち任せつゝ年を越えぬ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
抗
(
あらが
)
うべき
術
(
すべ
)
もなくて、言わるるままに持ち合せの衣類取り出し、あるほどの者を巻きつくれば、身はごろごろと
芋虫
(
いもむし
)
の如くになりて、
頓
(
やが
)
て巡査に
伴
(
ともな
)
われ行く
途上
(
みち
)
の歩みの息苦しかりしよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
小坂部はもうそれに
抗
(
あらが
)
う気力はなかった。かれは牛飼いに牽かるる仔牛のように、素直に男のあとに付いてゆくと、彼は五、六町ほども
細径
(
こみち
)
をたどって、城の大手らしい松並木の広い路に出た。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その本流と
可児
(
かに
)
川の合するところ、急奔し、衝突し、抱合し、反※する余勢は、一旦、一大鉄城のごとく峭立し突出する黒褐の岩石層の絶壁に殺到し、遮断されて、水は水と撃ち、力は力と
抗
(
あらが
)
ひ
日本ライン
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
自らその
頑
(
かたくな
)
な固定性に飽いて、
抗
(
あらが
)
い出た自己嫌悪の旗印か、または非生の自然に却って生けるものより以上の意志があって、それを生けるものに告げようとする必死の象徴ででもあるのであろうか。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こういう訴えにはジョンの正直な心は
抗
(
あらが
)
うことができない。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
フリギアの
平
(
たいら
)
な野から、
抗
(
あらが
)
う高い背に載せて
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
悟り得ずして、いたづらに我の力に
抗
(
あらが
)
へる!
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
また恃むは、我に
抗
(
あらが
)
ふ力残れり
妄動
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
抗
(
あらが
)
ふ神秘とともに流れる。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
かるく
抗
(
あらが
)
った。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
年を経るにしたがって彼女は益〻美しくなり、自ら品位も立ち
勝
(
まさ
)
り、いかなる男も彼女の前では
抗
(
あらが
)
い難く思われるほどの、強い魅力を持つようになった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お常は躍起となって
抗
(
あらが
)
いましたが、平次は相手にする様子もなく、見て来たような事を言って
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こういう勢いになったのは、大夫の詞に人を押しつける強みがあって、母親はそれに
抗
(
あらが
)
うことが出来ぬからである。その抗うことの出来ぬのは、どこか恐ろしいところがあるからである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
もうどの木にも死んだ葉が二つ三つ残って、それが風に
抗
(
あらが
)
っているきりだった。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それ以上女の体に近づけない豹一を品子は狂わしくあわれんだが、しかし、豹一は遠くで鳴っている支那そば屋のチャルメラの音に思いがけず母親の想出にそそられて、
歪
(
ゆが
)
んだ顔で品子に
抗
(
あらが
)
った。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ここでも尊氏は、実の親を怨む子を
戦野
(
せんや
)
に捕えねばならない破目になっていた。尊氏は、直冬をとらえて、出家を命じようぐらいな考えでいたのだが、叛逆の子は猛って親の軍へさんざんに
抗
(
あらが
)
ッた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たって
抗
(
あらが
)
わば容赦はせぬ。どうじゃ、思案せい。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
抗
(
あらが
)
い合い、邪魔をし合う。やれ嬉しい、やれ
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
軍勢纒ひ附くべくば我に
抗
(
あらが
)
ふこと無けむ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
抗
(
あらが
)
ふと、おぞえ吼え立つ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お信は暫らく脅えきつた眼を擧げて、平次の顏を眺めて居りましたが、
抗
(
あらが
)
ひ兼ねたものか、手箱の中から丈夫な凧絲の、クルクルと卷いたのを出して、平次に手渡したのです。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
真の婚約の主題——二人の人間がその余りにも短い一生の間をどれだけお互に幸福にさせ合えるか?
抗
(
あらが
)
いがたい運命の前にしずかに頭を
項低
(
うなだ
)
れたまま、互に心と心と、身と身とを温め合いながら
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
抗
(
あらが
)
ふと、おぞえ吼え立つ。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それでも権助は、強いて
抗
(
あらが
)
う様子もなく、一度に
溜飲
(
りゅういん
)
を下げるとニヤリと人の好い薄笑いを残して、元の庭前へ立ち去りました。平次はその後から娘を助けて跟いて行きながら
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女は私に
抗
(
あらが
)
おうとしなかった。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
腰繩を打たれた清八は、最早
抗
(
あらが
)
ひやうもなく、八五郎に引立てられます。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
抗
(
あらが
)
う猪之松は、馴れた万七の手にたぐり寄せられました。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の明察には、一言の
抗
(
あらが
)
ひやうもありません。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の明察には、一言の
抗
(
あらが
)
いようもありません。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
抗
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“抗”を含む語句
抵抗
反抗
抗議
抵抗力
拮抗
抗争
抗弁
無抵抗
抗辯
不可抗力
抗抵
対抗
抗言
手抗
對抗
反抗心
不可抗
界磁抵抗器
武力抗争
敵抗
...