手拍子てびやうし)” の例文
記憶おぼえのよければ去年こぞ一昨年おととしとさかのぼりて、手振てぶり手拍子てびやうしひとつもかはことなし、うかれたちたる十にんあまりのさわぎなれば何事なにごとかどたちちて人垣ひとがきをつくりしなかより。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さみしい、しんとしたなか手拍子てびやうしそろつて、コツ/\コツ/\と、鐵槌かなづちおとのするのは、この小屋こやならんだ、一棟ひとむね同一おなじ材木納屋ざいもくなやなかで、三石屋いしやが、いしるのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
男女なんによまじつて太鼓たいこ中央ちうあうゑがいてる。それが一てい間隔かんかくいては一どうふくろくちひもいたやうしぼまつて、ぱらり/\と手拍子てびやうしをとつて、また以前いぜんのやうにひろがる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すゝむるにやゝ三四升ほども飮しかば半四郎は機嫌なゝめならずうたひを謠ひ手拍子てびやうしうつて騷ぎ立るにとなり座敷のとまり客は兎角に騷がしくしてねむる事もならず甚だ迷惑めいわくなし能加減いゝかげんしづまれよとふすま一重ひとへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「宜いか。手拍子てびやうしを一つ頼むぜ、八」
手拍子てびやうしつてあふぐ十五六のやつこが、イヤうれしいほど、いけずなていは。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)