手伝てつだい)” の例文
旧字:手傳
橋の上に立って居るよりわたしの家に来て商売の手伝てつだいをしないかと云うた。立ン坊も彼女の顔を見て居たが、手伝しましょうと云うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それが家で客をするのに女手がないと聞いた時、「私がお手伝てつだいにまいりましょう。いつも先生のお世話になっているのですから」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
休暇の間もずっとうちに居て毎朝すこし早く起きて母の手伝てつだいをしたり何かしましたが、その代り夜は九時か十時頃に寝るのでした。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
河原者は古く掃除人足や、手伝てつだい等の雑役につかわれて、所謂日雇取りをもなし、一方では遊芸人・遊女などになっておったのが多い様であります。
良人には素知らぬ顔をして更衣きがえ手伝てつだいをして、そしてオーバーをせておりますと、何人たれか玄関へ来たようですから、傍にいたその時四つだった女の子に
母の変死 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
枳園が医書彫刻取扱手伝てつだいという名義を以て、躋寿館に召し出されたのは、嘉永元年十月十六日である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小山の妻君も甲斐甲斐かいがいしくたすきをかけて台所の手伝てつだいを始め「お登和さん、何から先へ致しましょう」お登和「そうですね今豚を湯煮ゆでていますがこれが出来ましたらば豚料理を ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
やっているんだ。とてもしっかりしている。秋には全国中等学校野球大会へ出るんで、この暑いのに毎日猛練習さ。あれで家へ帰ると、父さんの化学実験の手伝てつだいをするんだそうだからね……
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もちろん最初さいしょ父母ふぼれいことははれい熱心ねっしんなお手伝てつだいもありますが、だんだん生長せいちょうするとともに、ますます守護霊しゅごれいはたらきがくわわり、最後しまいには父母ふぼからはなれて立派りっぱに一ぽんちのとなってしまいます。
というものはその男が最初はなはだしい貧家に生れたので、思うように師を得て学に就くというわけには出来なかったので、田舎いなかの小学をおえると、やがて自活生活に入って、小学の教師の手伝てつだいをしたり
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
Cさんは、そのお爺さんを、そのお爺さんのうちまで送って、自分でその日の牛乳を配達したんですって。それからずっと今日まで、毎日学校へ来る途次みちみち、お爺さんの配達のお手伝てつだいをなさるんですって。
大きな手 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
今日で云わば手伝てつだいとか、ちんぼうとか、日雇取ひようとりとか云う類で、もとは夙や散所とも似たものであったでありましょう。
うっかりして居たが、吾家うちは組内だから昨日も何角なにか手伝てつだいに行かねばならなかったのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
十二月二十六日に、抽斎は躋寿館の講師たる故を以て、としに五人扶持を給せられることになった。今の勤務加俸の如きものである。二十九日に更に躋寿館医書彫刻手伝てつだいを仰附けられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
台所にて料理の手伝てつだいをなしたる大原はお昼の御馳走を例の如く飽食ほうしょくせり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これからきはこの祖父じじかみさまのお手伝てつだいとして、そなたの手引てびきをして、是非ぜひともそなたを立派りっぱなものに仕上しあげてせるから、こちらへたとてけっしてけっして心細こころぼそいことも、また心配しんぱいなこともない。
「じゃあ文ちゃんも見張りのお手伝てつだいを頼んだよ」
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今将軍は外交の難局に当って、旧慣をて、冗費を節することをはかっている。諸侯に土木の手伝てつだいを命ずることをめ、府内を行くに家に窓蓋まどぶたもうくることをとどめたのを見ても、その意向をうかがうに足る。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)