愁眉しうび)” の例文
「幸に濃妝のうせうをもつて妾が雙頬さうけふ啼痕ていこんおほふを得るも菱華りやうくわは独り妾が妝前せうぜん愁眉しうびてらさざる殆ど稀なり」という文体である。
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しかるに南方なんぱう文帝ぶんてい元嘉げんか年中ねんちう京洛きやうらく婦女子ふぢよしみなこと/″\愁眉しうび泣粧きふしやう墮馬髻だばきつ折要歩せつえうほ齲齒笑うしせうをなし、貴賤きせん尊卑そんぴたがひおよばざるをはぢとせり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、しかしこの皆吉の打明け話は大變なことでした。曲者の奪つた夜光石は、唯のギヤマンの僞物にせものとわかると、事態はすつかり變り、庄司三郎兵衞も、一應は愁眉しうびを開くことになるわけです。
皆が愁眉しうびを開いて喜んだのであつた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
呼出しの上夫々相當の過料くわれう申付らるかくて天一坊一けん善惡ぜんあく邪正じやせい明白に決斷けつだん相濟み落着らくちやくとなりければ此段このだん上聽じやうちやうたつしける將軍家の上意にもし越前ゑちぜん無ば彼惡僧にたばかられん者と深く御稱美ごしようび有て三州額田郡ぬかたごほり西大平にしおほひらに於て一萬石加増仰付られ越前守是迄の心勞しんらう一方ならざりしも其甲斐そのかひありて愁眉しうび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とき恥辱はぢ恐怖おそれとによわきもののこゑをも得立えたてず、いたみ、かなしみ、けるかたちよそほはざるに愁眉しうび泣粧きふしやう柳腰りうえうむちくじけては折要歩せつえうほくるしみ、金釵きんさいしては墮馬髻だばきつ顯實けんじつす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
愁眉しうびすなはまゆつくること町内ちやうない若旦那わかだんなごとく、ほそあたりつけて、まがすくむをふ。泣粧きふしやうしたにのみうす白粉おしろい一刷ひとはけして、ぐいとぬぐく。さまなみだにうるむがごとし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)