御詫おわび)” の例文
にがい真実を臆面おくめんなく諸君の前にさらけ出して、幸福な諸君にたとい一時間たりとも不快の念を与えたのは重々御詫おわびを申し上げますが
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
陰ながら貴所に御詫おわび致したで御座いませう——けれど我が心に尋て見ますれば、ひとの伝説を、全く虚妄きよばうとのみ言ひ消すことが出来ませぬので、必竟ひつきやう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
したがって実際は真実ほんとうらしい話も、私の廻らぬ筆にって、かえって嘘らしく聞えるかも知れぬが、それは最初はじめから御詫おわびを申して置いて、さていよいよ本文ほんもんとりかかる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
取り万事はなはだものうく去年彩牋堂竣成しゅんせい祝宴の折御話有之候薗八節そのはちぶし新曲の文章も今以てそのまゝ筆つくることあたはず折角の御厚意無にいたし候不才の罪御詫おわび致方いたしかた無御座ござなく候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「何卒わたくし不調法を御ゆるし下されますよう、如何ようにも御詫おわびの次第は致しまする。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これは御大人ごたいじん、お初に御意を得ます、……何とも何とも、御無礼の段は改めて御詫おわびをします。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このまざるによりしひてと申譯もなしと云ふに亭主は大いによろこびて早々さう/\彌助やすけをよび我等より御客おきやくさまへ御詫おわびも申上たるに早速御勘辨下されたり然れども是にこり以來いらいよく/\氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「命が惜しくば、その方どもも天上皇帝に御詫おわび申せ。さもない時は立ちどころに、護法百万の聖衆しょうじゅたちは、その方どもの臭骸しゅうがい段々壊だんだんえに致そうぞよ。」と、いかずちのようによばわります。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
昨夜つつがなく帰宅致し候まま御安心被下度くだされたくたびはまことに御忙しき折柄種々御心配ばかり相懸け候うて申訳も無之これなく、幾重にも御詫おわび申上候、御前に御高恩をも謝し奉り、御詫おわびも致し度候いしが
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「で御兄おあにいさんに、御目にかかっていろいろ今までの御無沙汰ごぶさた御詫おわびやら、何やらして、それから一部始終いちぶしじゅうの御話をしたんです」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「——何と、篠田さん、御詫おわび致していのか」と、はふり落つる涙を梅子はぬぐひつ「心乱れて我ながら言葉も御座いません——只だ一言ひとこと懺悔させて下ださいませうか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
聞きをは父公樣おやごさま御腹立おはらだち御道理ごもつともなれど若い中にはあるならひ又其中には御詫おわびなされ方も御座らう程にまづ此度このたびは初瀬留樣と諸供もろとも御勘氣ごかんきゆるさるまで此五八が御匿おかくまひ申あげんと力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「もう一度夫人おくさま御執成おとりなし遊ばして、お許されまするよう、恐入りますが、貴老あなたから。」「まかり成らぬ。別に何を毀損こわしたというではなし、ただ御家風にあわぬじゃで、御詫おわびの仕様も無いさ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余りに不思議に候まゝ御無沙汰の御詫おわびに事寄せくだ/\しくおたずね申上候もとかく人のうわさ聞きたがるは小説家の癖と御許被下おゆるしくだされたくいづれ近々参堂御機嫌伺上うかがいあげたくまずは御無沙汰の御詫おわびまで匇々不一そうそうふいつ
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私も好い折があれば、御詫おわびをして上げます。それまでは今まで通り遠慮していらっしゃる方がう御座います。……
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも少し混雑して御分りにくいかも知れません。私の説明の下手なところは御詫おわびを致します。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「私、実は今日それで御詫おわびに上ったのよ」と云いながら、一度俯向うつむいた顔を又上げた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたし、実は今日けふそれ御詫おわびあがつたのよ」と云ひながら、一度俯向うつむいた顔を又げた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「追い出したんなら、本当に早く御詫おわびをなさる方がいいわね」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)