大浪おほなみ)” の例文
大浪おほなみ小浪こなみ景色けしきなんだ。いまいままでぼくをよろこばして自然しぜんは、たちまちのうちなん面白味おもしろみもなくなつてしまつた。ぼくとは他人たにんになつてしまつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大浪おほなみはまるで悪魔のやうに荒れ狂つて、夜どほし、がう/\と岸へ乗り上げ、そこいらの森の立木たちきといふ立木を、すつかり引きぬいて持つていきました。
湖水の鐘 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
とき大浪おほなみが、ひとあて推寄おしよせたのにあしたれて、うはずつて蹌踉よろけかゝつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
アンドレイ、エヒミチはアツとつたまゝ、緑色みどりいろ大浪おほなみあたまから打被うちかぶさつたやうにかんじて、寐臺ねだいうへいてかれたやうな心地こゝちくちうちには鹽氣しほけおぼえた、大方おほかたからの出血しゆつけつであらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
吹来ふききたり、吹去る風は大浪おほなみの寄せては返す如く絶間無くとどろきて、そのはげしきは柱などをひちひちと鳴揺なりゆるがし、物打倒すひしめき、引断ひきちぎる音、圧折へしおる響は此処彼処ここかしこに聞えて、唯居るさへにきもひやされぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さびしい大浪おほなみおとをきいて心はなみだぐむ。
蝶を夢む (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
大浪おほなみ 小浪
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
搖上ゆりあ搖下ゆりおろされ今にも逆卷さかまくなみに引れ那落ならくしづまん計りなれば八かんねつ地獄ぢごくの樣もかくやとばかりおそろしなんどもおろかなり看々みる/\山の如き大浪おほなみは天神丸の胴腹どうはらへ打付たればあはれやさしも堅固けんごしつらへし天神丸も忽地たちまち巖石がんせきに打付られ微塵みぢんなつくだけ失たり氣早きばやき吉兵衞は此時早くも身構みがまへして所持の品は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大きな/\大浪おほなみを立てゝ、どん/\岸へぶつけ/\しました。
湖水の鐘 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)