墨色すみいろ)” の例文
日附ひづけは書いてないが墨色すみいろも書体も一様でないところを見ると、一に書いたものでないことが明らかで、間々まま聯絡れんらくがついている。
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
それに対してO市の町の灯の列はどす赤く、その腰を屏風びょうぶのように背後の南へ拡がるじぐざぐの屏嶺へいれい墨色すみいろ幼稚ようちしわを険立たしている。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
人相に付属せるものに墨色すみいろ判断というものがある。その仕方は人に一定の文字を書かせ、その筆跡を見てその人の運命を判断するのである。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
うっかりけると、やぶれそうにまだれている墨色すみいろで、それは少年のふでらしく、まことに稚拙ちせつな走りがき。読みくだしてみると、その文言もんごんは——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今神山さんに墨色すみいろを見て来て貰ったんだよ。——洋ちゃん、ちょいとお母さんを見て来ておくれ。さっきよく休んでお出でだったけれど、——」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
東の方を見ると、空も喪装もそうをしたのかと思われて、墨色すみいろの雲が東京の空をうちおおうて居る。暮れ方になって降り出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
土器どきでは三本脚さんぼんあしのれきなどでありますが、近頃ちかごろにいたつて河南省かなんしよう甘肅省かんしゆくしようあたりでは、墨色すみいろ模樣もよういたうつくしい土器どきが、石器せつきいつしょにたくさんに發見はつけんされますが
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
で、つと小窓をひらくと、其処そこそでれた秋風は、ふと向うへげて、鍵屋の屋根をさら/\と渡る。……さっ、颯と鳴る。して、白い霧はそよとも動かないで、墨色すみいろをした峰がゆすぶれた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
田町には名高い占い者があって、人相も観る、墨色すみいろ判断もする、人の生年月日を聴いただけでもその吉凶きっきょうを言い当てる。お金は帰りにここへも寄って、外記の生まれ年月をいって判断を頼んだ。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
昨夜のと同じ半紙が一枚、矢立の墨らしいにごつた墨色すみいろ
向うに白きのぼりに人相墨色すみいろ白翁堂勇齋とあるを見て、孝助は
と、なすり付けてある墨痕ぼっこんでありました。その不敵な筆法は、これに目をみはるものを嘲るように生々なまなまとした墨色すみいろです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五行ごぎょう、干支、天源、淘宮とうきゅう八門遁甲はちもんとんこう九星きゅうせい、方位、人相、骨相、家相、墨色すみいろ御鬮みくじの類、枚挙するにいとまあらず。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
雨上りの夜の天地は墨色すみいろの中にたっぷり水気をとかして、つやっぽい涼味りょうみ潤沢じゅんたくだった。しおになった前屈まえかがみの櫓台の周囲にときどき右往左往する若鰡わかいなの背が星明りにひらめく。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いままでほがらかだった春暁しゅんぎょうの光はどこへやら、あたりは見るまに墨色すみいろにぬりつぶされ、ザアッ——というのそよぎとともに、雨かきりかしぶきか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人相、家相のほかに、墨色すみいろと名づくる一種の相法がある。これは相書あるいは相字法と名づくべきものにして、人の筆跡を見て吉凶の判断を下す法である。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
夕桜の蔭はもう墨色すみいろだった。しかし、なおまだ一ときの名残りの酒もりが、帝座に武士も交じえてまれていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
純正哲学部門 前兆、予言、暗合、陰陽、五行、天気予知法、易筮えきぜい御鬮みくじ淘宮とうきゅう、天元、九星きゅうせい、幹枝術、人相、家相、方位、墨色すみいろ、鬼門、厄年、有卦無卦うけむけ、縁起の類
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
なまあたらしいその高札こうさつ片面かためんに、なにか墨色すみいろもまざまざと書いてあったが、その文字のうちに、ふと、武田たけだと読めた一ぎょうがあったので、竹童はハッとむねをさわがしたが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巫覡ふげき、神降ろし、人相、墨色すみいろ九星きゅうせい、方位、卜筮ぼくぜい祈祷きとう、察心、催眠、その他諸幻術
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
巫覡ふげき、神おろし、人相見、墨色すみいろ卜筮ぼくぜい、予言、祈祷きとう、察心、催眠、その他諸幻術
妖怪研究 (新字新仮名) / 井上円了(著)
巫覡ふげき、神降ろし、人相見、墨色すみいろ卜筮ぼくぜい、予言、祈祷きとう、察心、催眠、その他諸幻術
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
第六種(相法編)人相、骨相、手相、音相、墨色すみいろ、相字法、家相、地相、風水
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(六)卜筮ぼくぜい御鬮みくじ、人相、家相、鬼門、方位、九星きゅうせい墨色すみいろ等を信ぜぬこと。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(六)卜筮ぼくぜい御鬮みくじ、人相、家相、鬼門、方位、九星きゅうせい墨色すみいろ等を信ぜぬこと。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
第八、人相、家相および墨色すみいろのこと。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)