園丁えんてい)” の例文
しかし彼らが園丁えんてい僕婢ぼくひ、等を養うことによって、彼らの収入の支出上直接に労働を使用する限りにおいて、彼らはその作用を蒙るであろう。
するとその時園丁えんていと見えて、すきを担いだ大男が花を分けて現われたが、二人の姿をチラリと見ると逃げるように隠れ去った。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『して此等これら何者なにものか?』女王樣ぢよわうさま薔薇ばらまはりに平伏ひれふしてゐた三にん園丁えんていどもをゆびさしてまをされました、何故なぜふに、彼等かれら俯伏うつぶせにてゐるし
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と、カーキ色の洋袴を穿いて手拭をバンドに挟んでいる除隊帰りのような留守番の園丁えんていは、下駄ばきの連れの者に、草履ぞうりを与えてから案内に立った。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園丁えんていはまた唐檜とうひの中にはいり洋傘ようがさ直しは荷物にもつそこ道具どうぐのはいった引き出しをあけかんを持って水をりに行きます。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
雁来紅がんらいこうの葉を食むものは紅髯こうぜん毿々さんさんとして獅子頭の如し。山茶花さざんかを荒すものは軍勢の整列するが如く葉裏に密生し其毛風に従って吹散ふきさんじ人を害す。園丁えんていも亦恐れて近づかず。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
以前、杉山がわしの旧領から連れて来た、たしか、伊東某とかいった典医てんいの孫で、胸が悪く、邸の別棟になって居る園丁えんてい小屋に住わせてくれといった若者だと気がついた。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
そういう夜には、彼はベランダからぬけ出し夜の園丁えんていのように花の中を歩き廻った。湿った芝生に抱かれた池の中で、一本の噴水が月光を散らしながら周囲の石と花とにたわむれていた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
黙って帰るわけにも行きませんので、畜養員と園丁えんていとを総動員して園内の隅から隅まで探させました。私は園丁の比留間ひるまというのをつれて、猛獣のおりくわしく調べて廻りましたが異状なしです
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
園丁えんていのだったら?
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
その脊中せなか模樣もやう一組ひとくみ其他そのたのものとおなじことであつて、女王樣ぢよわうさまにはれが、園丁えんていか、兵士へいしか、朝臣てうしんか、また御自分ごじぶんのお子供衆こどもしゆうのお三方さんかたであつたかを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
園丁えんていがこてをさげて青い上着うわぎそでひたいあせきながらむこうの黒い独乙唐檜ドイツとうひしげみの中から出て来ます。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どうかなあ? というような顔をしていたが、やがて自動車を駆って、熊本の市街地近いそこを訪れるとあらかじめ通じてあったものか、別荘番の園丁えんていがすぐ門を開けて
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、そんなことをしても無駄じゃ。わしがくびになるだけではなく、大使自身も馘になるのだ。大使ばかりではない。参事官さんじかん書記生しょきせいも語学将校も園丁えんていもコックも、みんな馘になるのじゃ」
「これですよ。」若い園丁えんていは少し顔を赤くしながら上着のかくしから角柄つのえ西洋剃刀せいようかみそりを取り出します。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぽんおほきな薔薇ばらが、ほとんど其花園そのはなぞの中央ちゆうわうつてゐて、しろはないくつもそれにいてゐましたが、其處そこには三にん園丁えんていて、いそがはしげにそれをあか彩色さいしきしてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)