)” の例文
おりから煙をき地をとどろかして、神戸こうべ行きの列車は東より来たり、まさにでんとするこなたの列車と相ならびたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
こんな小さなうちだって、これはたとえば、電気のぼたんだ。ひねる、押すか、一たび指が動けば、横浜、神戸から大船が一艘いっぱい、波を切って煙をくんだ。喝!
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長閑に一服吸ふて線香の烟るやうに緩〻ゆる/\と烟りをき出し、思はず知らず太息ためいき吐いて、多分は良人うちの手に入るであらうが憎いのつそりめがむかふへ廻り
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それをこの際あらかたき出してしまわねばならぬというのは、新吉にとってちょっと苦痛であった。新吉はこうした大業な式を挙げるつもりはなかった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
鉄瓶てつびんの湯気は雲をくことしきりなれど、更に背面を圧するさむさ鉄板てつぱんなどや負はさるるかと、飲めども多くひ成さざるに、直行は後をきてまず、お峯も心祝こころいはひの数を過して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この節、浅間は日によって八回も煙をくことがある。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
火をく山もあれなど思ふ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
長閑のどかに一服吸うて線香の煙るように緩々ゆるゆると煙りをいだし、思わず知らず太息ためいきいて、多分は良人うちの手に入るであろうが憎いのっそりめがむこうへまわ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
……當時たうじのもの可恐おそろしさは、われ乘漾のりたゞよそこから、火焔くわえんくかとうたがはれたほどである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くれなゐの光には
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……欄干らんかんむねおさへて、故郷ふるさとそらともかぬ、はるかなやまいたゞきほそけむりくのをれば、あれがほのほかとおもひ、いしはしらもたれて、利鎌とがまつきときは、それもやいばかとおもつたんです。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)