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唐茄子
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とうなす
ふりがな文庫
“
唐茄子
(
とうなす
)” の例文
「こいつ! 案外、話せん男だ、俺はちと買いかぶったかな。——じゃすすめない、
酌
(
しゃく
)
をしてくれ。君はその
唐茄子
(
とうなす
)
でも、食っておれ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋の
袂
(
たもと
)
にある古風な銭湯の
暖簾
(
のれん
)
や、その隣の
八百屋
(
やおや
)
の店先に並んでいる
唐茄子
(
とうなす
)
などが、若い時の健三によく
広重
(
ひろしげ
)
の風景画を
聯想
(
れんそう
)
させた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日陰の
唐茄子
(
とうなす
)
の
萎
(
しな
)
びているごとく、十分に大気に当り、十分に太陽の光線を浴びぬ奴は心身共に柔弱になる。東京の電車に乗ってもそうだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「ねえ旦那。頭に傷がつくかも知れないね。なにぶん頭というものは、
唐茄子
(
とうなす
)
ぐらいでこぼこのものでがすよ。ヘッヘッヘ」
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
空には月が出て
路
(
みち
)
ぶちには蛍が飛んでいた。其処に
唐茄子
(
とうなす
)
を軒に
這
(
は
)
わした家があって、栗丸太の
枝折門
(
しおりもん
)
の口には
七夕
(
たなばた
)
の短冊竹をたててあった。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
わしみたいな
唐茄子
(
とうなす
)
に、そんなきれいな妹があってたまるもんか。が、まあ、そこは何とかつくろって妹ということに口を合わせよう。はははは。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この出来損いの
唐茄子
(
とうなす
)
野郎などと呼び、当の旦那の顔を引掻きちらし、器物を破壊する底の
狼藉
(
ろうぜき
)
なる振舞いに及んだ。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お前のような
唐茄子
(
とうなす
)
頭を二つや三つ斬ったところで、なにも切腹するにゃ及ぶめえ。」と、中間らは笑った。
兜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そもそも席亭というものはお客さま次第、お客さまさえよろこんでくだされば
南瓜
(
かぼちゃ
)
が
唐茄子
(
とうなす
)
が南京だろうとすぐにオイソレと門を開いて入れてくれるものだ。こう答案がでてきたのです。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
姉
(
あね
)
さま
唐茄子
(
とうなす
)
、
頬
(
ほう
)
かふり、
吉原
(
よしはら
)
かふりをするも
有
(
あ
)
り、
且那
(
だんな
)
さま
朝
(
あさ
)
よりお
留守
(
るす
)
にて、お
指圖
(
さしづ
)
し
給
(
たま
)
ふ
奧
(
おく
)
さまの
風
(
ふう
)
を
見
(
み
)
れば、
小褄
(
こづま
)
かた
手
(
て
)
に
友仙
(
ゆふぜん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
下
(
した
)
に
長
(
なが
)
く、
赤
(
あか
)
き
鼻緒
(
はなを
)
の
麻裏
(
あさうら
)
を
召
(
めし
)
て、あれよ
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
抑
(
そもそ
)
も自分の
本
(
もと
)
は田舎士族で、少年のとき
如何
(
いか
)
なる生活して居たかと
云
(
い
)
えば、麦飯を
喰
(
くら
)
い
唐茄子
(
とうなす
)
の味噌汁を
啜
(
すす
)
り、衣服は
手織
(
ており
)
木綿のツンツルテンを着て、フラネルなんぞ目に見たこともない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
木の枝にかけわたした竹
棹
(
ざお
)
に
蔓
(
つる
)
がまきついて、
唐茄子
(
とうなす
)
が二ツなっていた。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「ジョ、冗談でしょう。糸瓜が物を言や、
唐茄子
(
とうなす
)
が
浄瑠璃
(
じょうるり
)
を語る」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
君も覚えているかも知れんが僕等の五六歳の時までは女の子を
唐茄子
(
とうなす
)
のように
籠
(
かご
)
へ入れて
天秤棒
(
てんびんぼう
)
で
担
(
かつ
)
いで売ってあるいたもんだ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いきなり弥六の胸ぐらへ
掴
(
つか
)
みかかり、「この大嘘つき」「ろくでなし」「恥知らずのぺてん師」「おっちょこちょい」「
唐茄子
(
とうなす
)
野郎」など、
凄
(
すさ
)
まじい勢いで
罵
(
のの
)
しりたてた。
ゆうれい貸屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
畑には
西瓜
(
すいか
)
や
唐茄子
(
とうなす
)
が
蔓
(
つる
)
を
這
(
は
)
わせて転がっている。そのなかで甕から首を出して鼻唄を歌っていると、まるで狐に化かされたような形であるが、それも陣中の一興として、その愉快は今でも忘れない。
風呂を買うまで
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ジヨ、冗談でせう。糸瓜が物を言や、
唐茄子
(
とうなす
)
が
淨瑠璃
(
じやうるり
)
を語る」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐茄子
(
とうなす
)
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唐茄子
(
とうなす
)
のうらなり君が来ていない。おれとうらなり君とはどう云う
宿世
(
すくせ
)
の因縁かしらないが、この人の顔を見て以来どうしても忘れられない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
畑には
西瓜
(
すいか
)
や
唐茄子
(
とうなす
)
が蔓を這わせて転がっている。そのなかで甕から首を出して鼻唄を歌っていると、まるで狐に化かされたような形であるが、それも陣中の
一興
(
いっきょう
)
として、その愉快は今でも忘れない。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
浅井は
百姓
(
ひゃくしょう
)
だから、百姓になるとあんな顔になるかと清に聞いてみたら、そうじゃありません、あの人はうらなりの
唐茄子
(
とうなす
)
ばかり食べるから、蒼くふくれるんですと教えてくれた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どっちでも好いから取っとくんなさいなと女の子を両手で持って
唐茄子
(
とうなす
)
か何ぞのようにおやじの鼻の先へ出すと、おやじはぽんぽんと頭を
叩
(
たた
)
いて見て、ははあかなりな音だと云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それはちょっと見るとまるで菜種の花と同じ
趣
(
おもむき
)
を
具
(
そな
)
えた目新らしいものであった。僕は車の上で、このちらちらする色は何だろうと考え抜いた
揚句
(
あげく
)
、突然
唐茄子
(
とうなす
)
だと気がついたので
独
(
ひと
)
りおかしがった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“唐茄子”の意味
《名詞》
唐茄子(とうなす)
かぼちゃの異名。
(出典:Wiktionary)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
茄
漢検準1級
部首:⾋
8画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“唐茄子”で始まる語句
唐茄子屋
唐茄子氏
唐茄子面