和子わこ)” の例文
身をお投げになるよりは、無事に身二つになられ、幼い和子わこをお育てしながら、尼になって殿の菩提を弔うことこそ何よりと存じまする
「——すこやかに、よい和子わこに、育ってゆけよ。父は今朝、遠い国へ旅立つが、心はいつも、そなたの上に、父としてあろう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
 私が貴方様を「和子わこ」とお呼び申して居った時より尚ずんと前の事でござりまするのじゃから世の中は今とは不思議なほど変って居りましての
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
嫡男万福丸どのゝ乳母うばをお呼びになりまして、「さあ、和子わこから先にしょうこうをするのですよ」と仰っしゃるのです。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
故郷ふるさとの水のことごと、柳河や橋のことごと、たまゆらと、空ゆ一期いちごと、我が見ると、飛ぶとかけると、我が和子わこ連れぬ。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「よし、もう泣くな、和子わこが悪いのではない、甲斐は和子を怒ってはいない、泣きやんで、あちらへいっておやすみ」
ロレ されば、その可厭いやな友達衆ともだちしゅ和子わこしたしみが多過おほすぎるわい。お宣告いひわたしらせにた。
京畿に生れたらば五十万石七十万石の大名には屹度きっと成って居たに疑無い立派な人物だが、其烱眼けいがんは早くも梵天丸の其様子を衆人の批難するのを排して、イヤイヤ、末頼もしい和子わこ様である
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
妹の順礼 和子わこは知らぬかいな。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
和子わこは——)
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「きょうから和子わこは、この小父おじさんの養子になったのだぞ。……どうだ、うれしいか。欣しくないか。この小父さんは嫌いか」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あしたにはもちひ焼かせて、日暮にはお膳竝べて、さて師走、我が家の市、馬ぞ、しびぞ、鰤ぞ、牛ぞと、おもしろと、見るとながむと、子供らの一の和子わこ我は。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つづいてはやがて御出産となろう和子わこさままで、次つぎに毒害しなければならぬ、そんなことができると思われるか
奥も、和子わこたちも、どんなに心配しておることであろう。たとえ、首の中にはなくとも、そうなれば、また、溺れ死したとか、矢に当って死んだとか取越苦労をするものだ。
その後もさい/\おつかいがござりまして、兄うえがあゝまで云われるものをなまじかくしては折角のなさけにそむく、わがみも和子わこのぶじな顔をみたいほどに一日もはやくつれてきておくれと
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「父親の官兵衛よりは眉目みめい。母御ははごに似たと見ゆる。気性もしっかり者らしい。良い和子わこだ。なかなか良いところがある」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海老腰や家の子のをば、寺詣で左手後ひだりあとあて、片手杖、なむなむのをば和子わこよしと、こなたかなしと、ひさびさぞよくわせぬとぞ、せはしとぞ、早や膳まゐる。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
和子わこ、………和子は今夜、わしが彼処で何をしていたと思う?」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
せめて和子わこが十歳になるまではこの土地で暮すようにと。
日本婦道記:箭竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
夫人も和子わこも老いたる叔父叔母のともがらまで嬉々ききとして、侍女こしもとたちの顔から燈火ともしびの色まではなやぎ立ち、その陽気なことは到底、節句や正月の比ではない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和子わこは賢いお子ですね、ほんとうに賢い/\」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
長政とお市の方とのあいだにありと聞く四人の和子わこ。——そのうちの万寿まんじゅ茶々ちゃちゃにちがいないと直感したからである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和子わこ
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「なぜ口をとがらすか、けっしてむりをいいつけるのではない。それにはちょうどいい道案内みちあんないをつけてやるから、和子わこはただ目をつぶってさえいればよい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わからぬか、あまりご成長あそばしたので、見違うたも無理じゃない。日野の和子わこさま……十八公麿様まつまろさまじゃ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ですから、ひたすら和子わこのお育ちのみをたのしみに、ご信心でもなされたがいいと、私の地蔵菩薩じぞうぼさつのお影像えいぞうを手紙のうちに入れて上げようかと思っているの
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御夫人おくがたやお子たちを、織田家に託せば、あとあと何かにつけて、お世話にもならねば相ならぬと……。わけて幼い和子わこさまたちの行く末をお思いなされて」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御城外の歌声に、和子わこたちが釣られて、あの遠くに身をさらし、おもしろげに見ておりましたので……」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
牛若どの、乙若どの、今若どの——そう三人の和子わこ生命いのちを守り終って、母としてなされる苦患くげんも務めを
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和子わこさま——」呼びたてつつ、そしてまた、奥のおん方やおやかたの耳へは入れたくないように、心をつかいながら、血眼ちまなこで、十八公麿のすがたを探しまわっていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(お帰りのころには、あなたと私との、初めての和子わこが、豊田のたちに、生れているかもしれません)
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和子わこさまは。……与一郎様のお身は? ……。わたくしに、お預けさせていただけましょうか」
「うるさい和子わこじゃ。あまり飛んで歩いてばかりいると、またその足がうごかぬようになるぞよ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、当陽の戦いに、長坂ちょうはん和子わこ阿斗あとを救ったというあの名誉の武将か」と、いった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でも。……折には、大きゅうなられた和子わこの姿を、見たいと思われることもあろうに」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——でも、よかった。また加茂川に、おさな和子わこたちの首斬られるのを見るよりは」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六条の河原では、やがてそれらの可憐いじらしい和子わこたちや女房たちの打首が執行された。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
横着おうちゃく和子わこではある。わしのいう叱言こごとを、みんなさきにじぶんからいってしまう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お若いときは、ああでもなかったが、先年、陸閑岸の入江で、桔梗どのを亡くされ、ひとりの和子わこをも死なせたでしょう。……たしかに、あの頃からの変り方です。まあ、兄の癖ですな。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(われら両名の生命を以て、何とぞ主人の和子わこ様にお代えくだされたい)
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥曲輪おくぐるわの女房方も和子わこたちにも久しぶりでお目にかかって来ましょう」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、和子わこたちはまた、他愛ものう、よくお寝みでございますなあ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四歳よつ、お五ツと大きゅうおなり遊ばすうち、どこかご気性もお容貌かたちも、臣下の和子わこたちと異なるので、三木どのの千代松ちよまつさまは恐ろしい和子かな——と、街でのおうわさも高かったものと、後々
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、その否やなきご承諾をうる手段てだてに、あの長官の和子わこを、李逵の手に預けてつい死なせてしまったのは、何としてもちと呉用の誤りじゃったな。……軍師にもまた智恵の行き過ぎはあるものか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……もし、そうであったら、この和子わこは、どうなっていたやら
「無用無用。御両所のお心はよく分っておるし、かつは、このたびの一戦は、そんなふるい習慣によって辛くも結ばれ合う味方同士ではないはずだ。幼少の和子わこたちは、早速、各〻のお城へお返しあるがよい」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和子わこ。ただ一人で、どこへ行く」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうそう、和子わこ様もお連れ遊ばせよ。御母公には、日頃から劉皇叔の家には、愛らしい一子ありとお聞きになって、一目見たいと口癖に仰っしゃっておられました。和子様は懐にでもお抱きになって——ようございますか和子様も」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「小綱、和子わこを見ていても」
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ、和子わこ様。和子様」
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)