呵々かか)” の例文
と、ほとんど胸きにひとしい嶮路へ、無理に馬を立てて馳け上がろうとすると、山上にもう一声、呵々かかと大笑する孔明の声がひびいて
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然るにM男爵閣下には小生のかような窮状を見て呵々かか大笑されました。そうして小生の旅行免状を返却されながら次の如く訓戒をされました。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
小林君の話によると、先生は最後に呵々かか大笑せられたという。わたくしはそれが先生の一面をよく現わしていると思う。
露伴先生の思い出 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
忽然こつぜんとして何がほとばしり出るか、それはまったく測り知るを得ない。悲しんでいるかと思えば呵々かか大笑し、冗談を言っているかと思えば突然まじめになる。
呵々かか大笑、がやがややっているところへ、ノックもなしにドアが開いて、のそりとはいって来た人物を見ると、長身、筋肉的、砂色の毛髪、手筈てはずによれば、ソフィアで
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
私は、ユリ子についての話をはじめ、研究をはじめる決心がついたとき、思わず床の中で一種の呵々かか大笑をやりました。遂にあなたのローマ式攻城法は成功をした、と。
呵々かか。丈夫だ丈夫だと云われるんですがね。いくら丈夫でも、焼跡の煉瓦塀みたいに、ただ丈夫だというだけじゃあ仕様がないんでね。何んかの役に立つんでなくちゃあ……。
私は隠居ではない (新字新仮名) / 吉田茂(著)
眼をつぶって聞いていた越前守忠相、急に何ごとか思い当たったらしく、呵々かかと大笑した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
呵々かか大笑してやる。まさかおこりもしまいと考えていた。安斉先生は社頭に着いてから大分手間をとった。皆の署名を吟味ぎんみしていたのだった。やがて下駄げたの音が聞こえはじめた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ご同行あるならかの物二三枚をお忘れないように、呵々かか、というまでであった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
コーヒーと紅茶とは至って好きで喜んで飲みますが、抹茶は余り難有ありがたく思いません。今日は右コーヒーと砂糖とが得難いので困っていますが、しかしヤミで買えば何んとかなるようです、呵々かか
そして明日にも中村君がこれを見たなら、「ナーンだ、馬鹿だなあ」と言いながら、ヨロヨロの櫓を吹き飛ばさんずいきおいで、例の呵々かか大笑するに相違ないと想って、南日君と二人で腹の皮をよじった。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
愚僧呵々かか大笑、たち所に破していわく—『笑止なりやフルコム、自縄自縛じじょうじばくとはこれ汝の返答のことか。もしデウス汝の言のごとくにサピエンチイシモならば、何とて罪に落つべきルシヘルをば造つたぞ。 ...
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
私はそれをやがて実際に見ることになろう。呵々かか
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
呵々かかと笑い、葉巻をはたきてまたくわ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
呵々かか。五月二十八日附——。
宇宙爆撃 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
呵々かか
アメリカの牛豚 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
呵々かか
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
呵々かか
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
秀吉は、呵々かかと笑い捨てて、早や飛鞭ひべん遠くを指していた。疾駆する馬の背から、折々陽脚ひあしを仰いだ。刻々の寸時も惜しまれているらしい。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或は吾輩の精神異状が、こうして静まりかけているのかも知れないが……呵々かか……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
泰軒はただのっそりあがって来て金子きんすを納め、呵々かか大笑して再び出て行ったきり——礼もなければ辞儀もない。この両心友の胸間、じつにあっさりとして風のごとくに相通ずるものがあった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いわゆる選挙粛正の実を挙げたのである、呵々かか
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
○赤石君雪舟せっしゅう双幅そうふくの事。(奇襲。呵々かか又呵々)
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
帝の剛毅は、ここでも一こう萎縮いしゅくしていない。或る折にはお腕の垢をりながら、こういって呵々かかと大笑されたことなどある。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呵々かか大笑した。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
秀吉が呵々かかと笑うと、それについて、といった者も、非といっていた者も、同じ哄笑の下に、それを忘れ去ってしまった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、呵々かかと大笑しながら、膝をたたいて、——壮なるかな、さらば参られよと、五万の軍勢を与え、于禁うきん楽進がくしんのふたりを副将として添えてやった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その辺りから声がするのでよく見ると、まぎれもない司馬懿仲達が、やぐら高欄こうらんに倚って、疎髯そぜんを風になぶらせながら、呵々かかと大笑しているではないか。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、呵々かか、大笑した。——都の春の一日には、滝口の小次郎に、そんな記憶も遠くあるにはあった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陶土とうどの破片、水のしぶき、それが快然かいぜんたる一爆音を発して、光秀のおもてから胸へね返った。光秀は、濡れた顔を、夜空へあげて、呵々かかと笑った。独りで笑っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、呵々かか大笑したが、帰るとすぐ、その十美人もみな二夫人の内院へ、侍女こしもととして献じてしまった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、自讃して、呵々かか一笑したかと思うと、眼前の敵手を待たず、みずからくびねていた——という。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて西平関に着くや、孔明は、直ちに出迎えた馬岱を案内として、高地にのぼり、羗軍の軍容を一べんした。そしてかねて聞く無敵鉄車隊の連陣をながめると、呵々かかと一笑し
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふすまの内で信玄が笑ってしまったのだ。さすが卑屈でない。呵々かかと高笑しながら
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついに、獄から出して、曹操がたずねると、左慈は、呵々かかと哄笑して
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
扈従の群星を見まわして訊ねると、程昱ていいくがひとり呵々かかと笑いだした。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたたびそれを張遼に持たせてやると、関羽は見て、呵々かかと笑った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
笛も裂けるほどな御興ごきょうのあげく、呵々かかと大笑して、おえられたが、どうしたことか、龍顔の酔も青白う醒めはてており、頬にはおん涙が見られたので、「……どうかなされましたか」と、み后たちが
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、ふたたび呵々かか大笑しながら、飄然ひょうぜんと立ち去ってしまった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と諭すと、龐徳は、不敵な口をあいて、呵々かかと大笑しながら
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呵々かかと、一笑を発したいようなものすら覚える。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人とも、を目前に見ると、呵々かかと大笑して。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぶやくと、呵々かかと笑って、普浄はいった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、左馬介光春は、呵々かかと笑って
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして呵々かかと笑いながら此方へ答えた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
焦炳は、呵々かかと打ち笑いながら
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、呵々かかと肩をゆすぶって
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明は、呵々かか大笑して
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)