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内密
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ないしょ
ふりがな文庫
“
内密
(
ないしょ
)” の例文
「あなたがその友造さんじゃありませんか、本当の名は米友さんとおっしゃるのでしょう、
内密
(
ないしょ
)
のお話があるのですからあけて下さい」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
已むなくお天気の好い日の暖かい時刻を計って、お医者様には
内密
(
ないしょ
)
で、私がお伴をしてお墓参りにまいることにいたしました。
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
わたしが不義をしている——男からの手紙を
内密
(
ないしょ
)
で見ていると——おまえ様が邪推をまわしたのは、この名号でございまする。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どんな連中もこんな連中もねえ、その時分の大部屋のものは
内密
(
ないしょ
)
でみんな稼いだんだ。——そのまた
中間
(
なか
)
へ入ってサヤをとる奴なんぞいたんだ。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
出入りの貸本屋にお金を出して新本をかわせ、
内密
(
ないしょ
)
で読んで、直きにやってしまうので、彼は注文次第で、どんなむずかしい
書籍
(
ほん
)
も買って来てくれた。
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
然し、横田さんに知られると一寸困るものだから、奥さんにはその度毎に、
内密
(
ないしょ
)
にして下さいと頼んでおいた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
手紙を持って来たと聴くと、信一郎は可なり
狼狽
(
ろうばい
)
した。妻に、
内密
(
ないしょ
)
で、ある女性を訪問したことが
露顕
(
ろけん
)
している上に、その女性から急な手紙を
貰
(
もら
)
っている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
婚礼
沙汰
(
ざた
)
が初まってから、毎日のように来ては養父母と
内密
(
ないしょ
)
で
談
(
はなし
)
をしていた青柳は、その当日も
手隙
(
てすき
)
を見てはやって来て、床の間に古風な島台を飾りつけたり
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
わしだけが妻子に心を
惹
(
ひ
)
かされたとあっては、同志の前へも面目ない。ただお前をこれまで
内密
(
ないしょ
)
にしておいたのが気の毒じゃが、なに、それもわしは決心した。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
私達が今日はお互に初めて会ったって云うんでどっか
内密
(
ないしょ
)
なものを抱えて考え考え口をきいてますけど
千世子(三)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
出かけて来た身だったので、「ここではあんまり
内密
(
ないしょ
)
の話も出来ないから……ともかくも外へ出て」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「親方じゃない、『お
父
(
とっ
)
つぁん』だぜ。お前も『お父つぁん』の仲間なんかい。おいら、『お父つぁん』が怖わくってしようがねえんだ。
内密
(
ないしょ
)
にしといとくれよ。ね」
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今一度見つけ出してやらあ。どこの
奴
(
やつ
)
かさがし出してやらあ。うろついてる盗賊め、何かわけがあるに違いねえ。
嗅
(
か
)
ぎ出してやるぞ。この森の中で、
俺
(
おれ
)
に
内密
(
ないしょ
)
で仕事を
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その結果、これはまだ
内密
(
ないしょ
)
の話なんだが、大変な発見をしたんです。……つまり、犯行の暫く後にあそこを通ったチンドン屋の広告ビラを、二人の犯人が、例の庭下駄で踏みつけているんです。
石塀幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
マーキュ はて、
戀
(
こひ
)
が
盲
(
めくら
)
なら
的
(
まと
)
を
射中
(
いあ
)
てることは
出來
(
でき
)
まい。
今頃
(
いまごろ
)
はロミオめ、
枇杷
(
びわ
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
蹲踞
(
しゃが
)
んで、あゝ、
予
(
わし
)
の
戀人
(
おてき
)
が、あの
娘共
(
むすめども
)
が
内密
(
ないしょ
)
で
笑
(
わら
)
ふ
此
(
この
)
枇杷
(
びは
)
のやうならば、
何
(
なん
)
のかのと
念
(
ねん
)
じて
居
(
ゐ
)
よう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「
内密
(
ないしょ
)
のことをきかしてあげましょう。」
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
真雄。そなたには、
内密
(
ないしょ
)
でいたが、
彼
(
あ
)
れが家出して、わしを訪ねて来た夜から、実は、裏の納屋の中へ隠して、そっと、飯を
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このごろ、
内密
(
ないしょ
)
で文字の稽古はしているらしいが、それにしても、こんな見事に書けるはずはないのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然しだけ余計だよ。そんなことは
打棄
(
うっちゃ
)
ってしまうさ。……がまあ、今晩はゆっくり話をしよう。そして、このことは達子には
内密
(
ないしょ
)
にしといてくれ給い。
彼女
(
あれ
)
の心を
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
迎えたと、それも
内密
(
ないしょ
)
で、
拵
(
こしら
)
えたと、そんなことがどうしてお頭の耳に入れられよう? ばかな!
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
そうすれば、精米所の主人に、
内密
(
ないしょ
)
で金を出してもらって、T——市の方で、何かお島にできるような商売をさせようと云うのが、浜屋の考えつめた
果
(
はて
)
の
言条
(
いいじょう
)
であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「こいつ、こっそりいかもの食いに来ていやぁがる。恥しい趣味だものだから、僕にも
内密
(
ないしょ
)
にしていたんだな。大きなことを云っていて、お前もやっぱり同類じゃないか」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あんぽんたんながら、それには恐縮して、
老人
(
としより
)
の眼は悪かろうからと、だんだん後へさがって座るのだが、お豆腐ぎらいのために母が
内密
(
ないしょ
)
で
半片
(
はんぺん
)
にしてくれると、ちゃんと知っている。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「異人館の異人さんが、ぜひ、日本の踊りを見たいとおっしゃるから、わたしが、
内密
(
ないしょ
)
で御案内して来ました」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そうにきまってるさ。どちらから云い出されたことかは分らないが、兎に角二人で相談の上のことだよ。第一奥さんは、良人に
内密
(
ないしょ
)
で何かするような人じゃない。」
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
何か
内密
(
ないしょ
)
話らしいと云ったお可久のことばがまだ耳にあったので、ふとうごいた好奇心だった。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
品川四郎は、少し青ざめた頬を、ピリピリと痙攣させながら、
内密
(
ないしょ
)
話の様な低い声で云うのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その前に
内密
(
ないしょ
)
でそなたといっしょにいることが、骨折ってくれている兄にでも知れたら悪い。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
問屋町の裏側はしもたやで、というより
殆
(
ほとん
)
ど
塀
(
へい
)
と
奥蔵
(
おくぐら
)
のつづき、ところどころ各家の非常口の、小さい出入口がある。女たちがそっと
外出
(
そとで
)
をする時とか、
内密
(
ないしょ
)
の人の訪れるところとなっている。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
二三度口留をしてから、姉の話すところによると、金の工面に行詰った鶴さんが、隠居や房吉に
内密
(
ないしょ
)
で、おゆうから
少
(
すこし
)
ばかり融通をしてもらうために、
私
(
そっ
)
と姉の家へやって来たのだと云うのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お雪ちゃんという子もわからない子だ、無邪気で人なつこく、同情心が深くって、神様のような心持かと思っていれば、こんな本を
内密
(
ないしょ
)
で見ているんだもの。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然し、もし奥さんが横田さんに
内密
(
ないしょ
)
のつもりだったんなら、僕はとんだことを横田さんに云ったわけになる。僅かな金のことなんだけれど、気持の上には可なり響くことだからね。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「そして
狛家
(
こまけ
)
のお嬢様、月江様とか言いましたね、あの月江さんと金吾さんが、私に
内密
(
ないしょ
)
で、熱海にいるうちだいぶ懇意にしていたようだけれど、その後何かの様子を聞かないかえ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから親には
内密
(
ないしょ
)
で教えてくれたのだが、お母さんが肩を入れだして、どうかお父さんに許されるようにと、何かの
祝事
(
いわいごと
)
のあった時、父親やその仲間のいるところで本式に踊らして見せたので
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お庄は
内密
(
ないしょ
)
で、
従姉
(
あね
)
にいろいろ話したいこともあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それはそうと親方、お前さんは何かこの道庵に
内緒
(
ないしょ
)
の頼みがあると言いなすったから、それで
俺
(
わし
)
はやって来たのだが、
内密
(
ないしょ
)
の頼みというのはいったい何だね」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僕は妻へ
内密
(
ないしょ
)
で手紙を書きました。勿論内容は何でもないことばかりを選んだのですが、度数は前より多くなりました。沢子からも年内に一度手紙が来ました。一度は自身で訪ねてきました。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
したの。米友さん、お前に
内密
(
ないしょ
)
で頼みたいことがあるのだけれど、少しの間、外へ出て貰えないの。そうでなければ、わたしを中へ入れて話を聞いて貰いたいのだけれど
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「私、あなたをどんなに待ったか知れないわ。」と彼女は云いながら、彼をすぐ側に引寄せて、その耳に囁いた「お腹が急に軽くなったような気がするのよ、そっと坐ってみましょうか、
内密
(
ないしょ
)
でね。」
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そうだよ、わたしにだけ
内密
(
ないしょ
)
に言ってくれたの。江戸に
居悪
(
いにく
)
ければ旅へ出た時に、まだ仕事はいくらでもあるから、どこへか落着いたら
居所
(
いどころ
)
を知らせてくれと言ってくれましたよ。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「片山さんには暫く
内密
(
ないしょ
)
にしておいて下さいませんか。」
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
折助に向って、これは
内密
(
ないしょ
)
だがねと言って話をすれば、得たり賢しとそれを
吹聴
(
ふいちょう
)
する。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は木村博士を訪れた、幾代と兼子とには
内密
(
ないしょ
)
で。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これはごくごく
内密
(
ないしょ
)
なんですけれども、わたしは確かな筋から聞きました
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「主人の
内密
(
ないしょ
)
の使でよんどころなく……こんなに遅くなりました」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「この甲府にも、わたしの親戚はあるけれど、誰にも言わないように頼みます、わたしが悪い者に出会って、あんな
狼藉
(
ろうぜき
)
をしかけられたと、それを世間に知られては外聞になるから、
内密
(
ないしょ
)
に頼みます」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ようございます、それでは、わたくしが
内密
(
ないしょ
)
でその茶屋をお知らせ致します。お知らせ致しますけれども、決して私が申し上げたように神尾の殿様へおっしゃっては困ります、私が恨まれますからな。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いいえ、誰にも
内密
(
ないしょ
)
でございます」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“内密”の意味
《名詞》
秘密にすること。内緒。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“内密”で始まる語句
内密話
内密事
内密内密
内密妻
内密食
内密沙汰