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係蹄
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わな
ふりがな文庫
“
係蹄
(
わな
)” の例文
それからじゃ、彼の第二の敵に
係蹄
(
わな
)
をかけて、彼は太陽の光りの所に出て来て田舎の牧師の最も叮嚀さを以て吾々一同に挨拶をしたのじゃ
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
その
奸黠
(
かんかつ
)
なる工事は、もとよりいかなる
係蹄
(
わな
)
をも許す戦争ではとがむべきことではないが、いかにも巧みになされていたので
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
野にあるうちはどれだけ大食するか知れぬ至極の難物だが、このものの奇質は貯蓄のため食物を盗みまた自分の害になる
係蹄
(
わな
)
を
窃
(
ぬす
)
み隠すのみか
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
忽ち水に住む霊怪の陰険な
係蹄
(
わな
)
に掛かつたかと思ふやうに、ドルフは両脚の自由を
礙
(
さまた
)
げられた。溺死し掛かつてゐる男が両脚に抱き附いたのである。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
どういふ秘密な企みと、狡猾な
係蹄
(
わな
)
がかくしてあるか、見当もつかないのである。憎いのは澄江の心だと他巳吉は思つた。そして狡猾な企みである。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
恋愛は、理智の埒を打ち破つて奔り易いものですが、それは私たち若い者のみが有つ尊い熱情であると同時に底知れない奈落へ導く
係蹄
(
わな
)
をも秘めてゐます。
〔婦人手紙範例文〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
私
(
わし
)
も斯う
係蹄
(
わな
)
に掛るとは知らず、真実私に心があるのかと、男の
己惚
(
うぬぼれ
)
で
手出
(
てだ
)
をしたが、お瀧でがんすか、其の時分には眉毛を附けて島田だったが、へえー
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私のこの古びた獨身者の頸を神聖なる
係蹄
(
わな
)
にかけ、結婚といふ神聖な國に這入るといふ事——手つとり早く云へば、イングラム孃を私がめとるといふ事を。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
実験室ばかりで仕事をしている学者達はめったに引っかかる危険のないようなこうした種類の
係蹄
(
わな
)
が時々「天然」の研究者の行手に待伏せしているのである。
静岡地震被害見学記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
子よ、汝が聞きたる事の
解説
(
ときあかし
)
は即ち是なり、是ぞ多からぬ年の
後方
(
うしろ
)
にかくるゝ
係蹄
(
わな
)
なる 九四—九六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
まあ、いわば
係蹄
(
わな
)
のようなものです。わたしは冗談をいってるんじゃありません。じっさい、今でも結婚は、まるで係蹄にでも掛けるようにして成立するんですからね。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
人生は到底逃れられない一種の
係蹄
(
わな
)
であると思ふ外はなかつた。動かすことも逃れることも出來ない冷嚴なる盲目の力、運命の前に立つて、人の取り得る道は唯一つある。
生みの力
(旧字旧仮名)
/
片上伸
(著)
潔くここを引き揚げたい気持もしながら、やっぱり思い切りが悪く、後ろ髪を引かれるのであった。一度かかった
係蹄
(
わな
)
から脱けるのは、彼にとってはとても困難であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それを見て私は
最早
(
もう
)
必定
(
きっと
)
そうだと
決定
(
きめ
)
て御隠居様に先ず申上げてみようかと思いましたが、一つ
係蹄
(
わな
)
をかけて
此方
(
こっち
)
で
験
(
た
)
めした上と考がえましたから今日
行
(
や
)
って
試
(
み
)
たので御座いますよ
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
もう何を言う必要がある、彼女はカアルの腕の中にいた、彼女の心臓が彼の心臓にぴったり当って動悸していた、ちょうど
係蹄
(
わな
)
に陥ちた狼のようにカアルの体内に躍っている心臓に。
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
掻いて、計画
齟齬
(
そご
)
させ後手へ後手へと廻す、小面憎いが好敵手でもある
彼奴
(
きゃつ
)
を、今度こそはどうやら取り詰めたらしいぞ。それもさ自分のかけた
係蹄
(
わな
)
へ、自分の方から引っかかってな
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
むかしから芸術の神様はやきもち焼で、
二心
(
ふたごころ
)
を持つたものは屹度
祟
(
たゝ
)
られると言ひ伝へてゐる。だが、世の中には、芸術家を
誑
(
たぶら
)
かさうと、
態々
(
わざ/\
)
係蹄
(
わな
)
をこしらへて待つてゐるのも少くない。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ひそかに
救
(
たす
)
け得させべくば
救
(
たす
)
けも得さすべきを、われも汝をかくすべき
縁
(
えにし
)
持つ人間なればぞ、哀れなるものよ、むしろ汝は夜ごとの餌に迷ふよりは、かくてこのままこの
係蹄
(
わな
)
に終われ。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
話上手の片山君から創業時代の面白い話を沢山に聞く。
㓐別
(
りくんべつ
)
は古来鹿の集る所で、アイヌ等が鹿を捕るに、
係蹄
(
わな
)
にかゝった瘠せたのは追放し、肥大なやつばかり撰取りにして居たそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
果して私の計画は成功しました。あなたはみごとに私の
係蹄
(
わな
)
にかかって
不具
(
かたわ
)
ものであるということを白状なさいました。そうして私たちは、あなたに欺かれたことをはっきり知ることが出来ました。
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
……思いも付かない、おそろしい西洋人の
係蹄
(
わな
)
……???……。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
とたんに
係蹄
(
わな
)
に引かかる 南無三 とんぼがへりを二つ三つ
兎
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
係蹄
(
わな
)
に掛かった狐のように
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
恐ろしい
係蹄
(
わな
)
だ。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
テナルディエの気持ちは、ちょうど
狼
(
おおかみ
)
が
係蹄
(
わな
)
にかかってその鉄の歯で押さえつけられた時のようなものだった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
猿
(
さる
)
がやって来て片手を穴に突っ込んで米を握ると
拳
(
こぶし
)
が穴につかえて抜けなくなる。逃げれば逃げられる
係蹄
(
わな
)
に自分で一生懸命につかまって捕われるのを待つのである。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
銀子は自身の愚かさ弱さから、このごろだんだんディレムマの深い
係蹄
(
わな
)
に締めつけられて来たことに気がつき、やはり私は馬鹿な女なのかしらと、自分を頼りなく思っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
係蹄
(
わな
)
にかけて豚とりに来た犬を捕ったら、其れは黒い犬だったそうで、さし
当
(
あた
)
り白の冤は
霽
(
は
)
れた
様
(
よう
)
なものゝ、要するに白の上に
凶
(
あし
)
き運命の臨んで居ることは、彼の主人の心に暗い
翳
(
かげ
)
を作った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
親父も一人や二人討って掛ろうとも
無慚
(
むざん
)
に殺されることは有りませんが、何うかいう
係蹄
(
わな
)
に掛って、左様な横死をいたしたので、誠に残念なことでございますから、私は
直様
(
すぐさま
)
仇討に出立致し
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『戦国策』に人あり
係蹄
(
わな
)
を置きて虎を得たるに、虎怒りて
蹯
(
あしのうら
)
を
決
(
き
)
って去る、虎の情その蹯を愛せざるにあらざれど、
環寸
(
わずか
)
の蹯を以て七尺の躯を害せざる者は権なりとあって虎の決断を
褒
(
ほ
)
め居る。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
またある時は、「思うことなくて暮らさばや、わが世の昨日は
幸
(
さち
)
なきにもあらず、
幸
(
さち
)
ありしにもあらず」と書いた。またある日の日記には、「昨夜、一個の
老鼠
(
ろうそ
)
、
係蹄
(
わな
)
にかかる。哀れなる者よ。 ...
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
あわやまたもや葉之助は、恐ろしい
係蹄
(
わな
)
へ落ちようとする。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どんな
係蹄
(
わな
)
をかけたの?」とお清が心配そうに
訊
(
き
)
いた。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
淫
(
みだら
)
なる魔の
係蹄
(
わな
)
にしも
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それが売れない山と同じに先を越されて
罐詰
(
かんづめ
)
になっており、下手をすれば親類合議で準禁治産という手もあり、
妄動
(
もうどう
)
して叔父たちの
係蹄
(
わな
)
にかからないとも限らないのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ナポレオンは勝利に対する直接的知覚を失ったのであろうか。彼はもはや、暗礁を認知せず、
係蹄
(
わな
)
を察知せず、くずれかかってる深淵の岸を弁別し得ざるに至ったのであろうか。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一緒に公園の茂みの中にわなをかけに行っても彼のかけた
係蹄
(
わな
)
にはきっとつぐみや
鶸鳥
(
ひわ
)
が引掛かるが、自分のにはちっともかからなかった。
鰻釣
(
うなぎつ
)
りや
小海老
(
こえび
)
釣りでも同様であった。
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
以前
(
まえかた
)
係蹄
(
わな
)
をかけて置いた林の奥まで引っ張り寄せ
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
係蹄
(
わな
)
にかかった敵の
捕虜
(
とりこ
)
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
係
常用漢字
小3
部首:⼈
9画
蹄
漢検準1級
部首:⾜
16画
“係”で始まる語句
係
係累
係合
係恋
係官
係羂
係医
係員
係数
係數