)” の例文
「馬鹿野郎、思い知ったか」そう捨てぜりふを吐き捨てると草鞋わらじに砂を蹴って、まっしぐらにどこともなく逃げ去った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さても吉兵衞はもとよりとめる身ならねば乳母うばかゝゆべき金力ちからなく情け有家へ便たよこしかゞめて晝夜をわかたず少しづつもらなし又はちゝの粉や甘酒あまざけと一日々々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小兒ちごうつくしきさまるべきを、格子かうしそとよりうかゞふに燈火ともしびぼんやりとして障子しようじうるるかげもし、お美尾みを美尾みをよびながらるに、こたへはとなりかたきこえて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから、しばらく何の声もしませんでしたが、こんどは、赤ん坊に添へをしてゐたお母さまが
星の女 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
中には、どこかの役人やくにんのうちの入口のところに、かごに入れたままて子にされて、こごえんだのもいるし、乳母うばにそえをされながら、いきがつまって死んだ子もいる。
長左衞門殿どんとおさなさんが可愛かわえがって貰いイして漸々よう/\に育って、其の時名主様をしていた伊藤様へ願って、自分の子にしたがね、名前なめえが知んねいと云ったら、名主様が
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それやあ、有難いが、おめえも、疲れているだろうに、はやく子供にしてやるがいい」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そばで赤ん坊に添へをしてゐたお母さまは
星の女 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
知ろしめされ賜うて後水尾帝ごみづをてい御製ぎよせいに「あはれさよ夜半よは捨子すてごなきやむは母にそへゆめや見つらん」とは夜更よふけ外面そともの方に赤子あかご泣聲なくこゑの聞えしは捨子にやあらんと最とあはれに聞えたりしが兎角するうちに彼泣聲なきごゑの止たりしかば如何せしやらんと思ひぬるうち又もや泣出しけるほどさていましば泣止なきやみしは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
草鞋わらじに、白と緑の縞脚絆しまきゃはん、野太刀をぶっこみ、片手に范陽笠はんようがさという身がるさ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)