-
トップ
>
-
不覺
>
-
ふかく
昨夕迄は
寐られないのが
心配になつたが、
斯う
前後不覺に
長く
寐る
所を
眼のあたりに
見ると、
寐る
方が
何かの
異状ではないかと
考へ
出した。
技法の
尖鋭慧敏さは
如何ほどまでも
尊ばれていい
筈だが、やたらに
相手の
技法に
神經を
尖がらして、
惡打を
怒り
罵り、
不覺の
過ちを
責め
咎め
右兵衞佐(頼朝)が
旗揚に、草木と共に靡きし
關八州、心ある者は今更とも思はぬに、
大場の三郎が
早馬ききて、夢かと驚きし平家の
殿原こそ
不覺なれ。
知らじとて
令孃も
免るされまじ、さらでもの
繼母御前如何にたけりて、どの
樣の
事にまで
立いたるべきか、
思へば
我が
思慮あさはかにて、
甚之助殿に
頼みしは
萬々の
不覺なりし
苦しめ給ふまじ私し關東へ下り申
開き仕つらん此儀全く稻葉家の
不覺と申ものなれば
頓て歸京仕つり
吉左右申上奉つらんと申て山住は江戸表へ下向致しけるに
所司代よりは豫て此旨
急使を
風は
習々と
音を
立てゝ
彼れが
不覺を
嘲る
風情。
なしたる物も
非れば
這は
盜賊の業ならず
遺趣切ならんと思ふ所へ大師河原へ泊りに行し母のお
勝は歸り來り夫と見るより
死骸に
取附前後
不覺に
叫びしが
偖有る可きにあらざれば此
趣きを
訴へ出
檢視を
殺めしが如くまだ
生々しき
膏の
浮て見ゆれば
偵に吉兵衞は
愕然として扨ても山賊の住家なり
斯る所へ泊りしこそ
不覺なれと
後悔すれど今は
網裡の魚
函中の
獸また
詮方ぞ
無りければ如何はせんと再び
枕に
就ながらも次の間の
動靜を