不可いけない)” の例文
「いいえ、わけやないんだそうだけれど、転地しなけりゃ不可いけないッていうんです。何、症が知れてるの。転地さえすりゃ何でもないって。」
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
の応接室で読まうか。人が来ると不可いけない。教室がいゝか。小使部屋が可か——否、彼処へも人が来ないとは限らない。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お兄さまを苦しめるやうな便りを差し上げては不可いけないとあんなにまで仰云おつしやいましたけれ共、お兄さまのお心を痛めるとは十分存じながらも奈何どうしても書かずにはすまされません。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
もつともつと深みがなくては不可いけない、要するに歳が若かつた為めだらう、今二三十年も生存してゐたら、良い作品も沢山残しただらうと、斯うした見方も一つの見方かも知れないが
札幌時代の石川啄木 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
蒲團は其處の押入に入つてある筈だし、それから、まだ慣れぬうちは夜中に目をさまして便所にでもゆく時、戸惑ひしては不可いけないから、洋燈は細めて危なくない所に置いたら可いだらう。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いまつからびること出來できなくては仕方しかたい、其樣そんこと他處よそうちでもしては不可いけないよとけるに、れなんぞ御出世ごしゆつせねがはないのだから他人ひとものだらうがなんだらうがかぶつてるだけがとく
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうして、(あんな母様おっかさん不可いけないのう、ここへ来い)と旦那が手でも引こうもんなら、それこそ大変、わッといって泣出したの。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが自分達は来ない、生徒も不可いけない、無断で見送りに行くものは罰するなんて——其様そんな無法なことがあるもんか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一體その顏は不可いけないよ。笑ふなら腸まで見える樣に口をあかなくちや不可いかん。怒るなら男らしく眞赤になつて怒るさ。そんな顏付は側で見てるさへ氣の毒だ。そら、そら段々にがくなツて來る。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
滋養物を取らなければ不可いけない——働き過ぎては不可——眼を休ませるようにしなければ不可——種々いろいろに言われて来た。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
だ、いうことをいて、身体からだを大事にしなけりゃ不可いけないよ。まったくだ、はるばる使に来てくれる姉さんを、小田原のお宮でも、どんなに御心配だか知れやしない。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一体その顔は不可いけないよ。笑ふならはらわたまで見える様に口をあかなくちや不可いかん。怒るなら男らしく真赤になツて怒るさ。そんな顔付ははたで見てるさへ気の毒だ。そら、そら、段々苦くなツてくる。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは大悦おおよろこびだろう。お前のとこでも、子が幾人いくたりも死んで、随分不幸つづきだったナ。しかし世の中のことは、何でも深く考えては不可いけない。淡泊に限る。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「堪忍おしよ、それはもう芳さんが言わないでも、私はこの通り髪も濃くないもんだから、自分でも束ねていたいと思うがね、旦那が不可いけないッて言うから仕様がないのよ。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの人のはツクルと不可いけない洒瀟さっぱりとした平素ふだん服装なりの方が可い。縮緬ちりめんの三枚重かなんかでった写真を見たが、腰から下なぞは見られたものじゃなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それだから疑ぐられるんだ。不可いけないねえ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お前のように直ぐそういう風に持って行ってしまうから不可いけない——俺はそう眼前めのまえのことばかりも考えてはいない」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
叔父が「女も眼を開いて男を見なければ不可いけない」と言ったことは、未だ忘られずにある。その叔父がめいの眼を開くことはどうでも可いような仕向が多かった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
左様さう君のやうに言つても困るよ。』と準教員は頭を掻き乍ら、『何も僕が不可いけないと言つた訳では有るまいし。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「二人ともおとなしくして聞いていなくちゃ不可いけない。お前達は父さんの行くところをよく覚えて置いておくれ。父さんは仏蘭西フランスという国の方へ行って来る——」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ああそうしておくれ。弱い子供だから、お雪さんが心配すると不可いけない。ワンワンも持たせてやりたいが、可いわ、私がまた訪ねる時にお土産みやに持って行かず」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それに泉ちゃん達のことと言えば、前に不可いけないおっしゃったことでも、後でしてやればいいじゃないかって、しかられてしまうんですもの。どうしていか解りませんでしたよ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
言うが、そんなにたって不可いけない。お定にしろ、あの爺さんにしろ、高が人につかわれてるものだ
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「未だ彼女あれは十五やそこいらじゃないか——子供じゃないか——そんなに責めたって不可いけない
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私がそれじゃ不可いけないと言うと、そこで何時でも言合でサ……家内が、父さんは繁の贔負ひいきばかりしている、一体父さんは甘いから不可、だから皆な言うことを聞かなくなっちまうんだ
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これをどうするんですか。黄色きいろ麥藁むぎわらでなけりや不可いけないんですか。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「しかし、気がいて不可いけないから、遠慮なしに頂きます」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「オンになんて言っちゃ不可いけないの。ね。私に頂戴ッて」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
左様さう貴方は気を揉むから不可いけないんですよ。」
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「これ、悪戯いたずらしちゃ不可いけないよ」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「どうも切れなくて不可いけない
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)