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ふりがな文庫
“
下郎
(
げろう
)” の例文
「ぬかりはございません。そして、てまえは薬持ちの
下郎
(
げろう
)
とでも申しますから、先生も下郎の前身をうッかりばらしてはいけませんぜ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私どもはこれからいついつまでも、天皇のおおせのままに、おうま
飼
(
かい
)
の
下郎
(
げろう
)
となりまして、いっしょうけんめいにご奉公申しあげます。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
しかるに、今宿へ戻って
検
(
しら
)
べてみると、庄左衛門は他人の金品まで持ち逃げしている! これは
下司
(
げす
)
下郎
(
げろう
)
の
仕業
(
しわざ
)
で、士にあるまじきことだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
こりゃ
下郎
(
げろう
)
。ただ今もその方が申す如く、この
御堂
(
みどう
)
供養の庭には、
法界
(
ほっかい
)
の
竜象
(
りゅうぞう
)
数を知らず並み居られるには相違ない。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たとえばこの鳥をココチンなどという私の郷里でも、子供の頃に父から聴いた前生譚が一つあった。昔々ココチンはあるお屋敷に奉公をしていた
下郎
(
げろう
)
であった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
下郎
(
げろう
)
の身にございますれば、四、五百、千までの数はわかりますが、それ以上はわかりませぬ。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
其御言葉は一応
御尤
(
ごもっとも
)
には存ずるが、関白も中々世の常ならぬ人、
匹夫
(
ひっぷ
)
下郎
(
げろう
)
より起って天下の旗頭となり、徳川殿の
弓箭
(
ゆみや
)
に
長
(
た
)
けたるだに、これに従い居らるるというものは
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今この所で手前がよろけた
処
(
とこ
)
をトーンと
衝
(
つ
)
き当ったから、犬でもあるかと思えば此の
下郎
(
げろう
)
めが居て、地べたへ膝を突かせ、見なさる通りこれ此の様に衣類を泥だらけにいたした
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下素
(
げす
)
下郎
(
げろう
)
、卑しむべきウジムシに見えるでしょうが、恋に奉仕する私の下僕の心構えというものは、これはともかく、私がとるにも足らぬものながらこの一生を賭けているカケガエのない魂で
ジロリの女
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかし彼は、今目の前に見る江戸名打ての、大賊のような自他にこだわらず、何時も、悠々として、南山を眺め続けているような、自得の風格に染っている
下郎
(
げろう
)
に、会ったことはないのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「どうしてどうしてお死になされたとわたしが
申
(
もうし
)
た
愛
(
いと
)
しいお方の側へ、従四位様を並べたら、まるで
下郎
(
げろう
)
を
以
(
もっ
)
て
往
(
いっ
)
たようだろうよ」と仰有ってまたちょっと口を結び、力のなさそうな
溜息
(
ためいき
)
をなすって
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
御座
(
ござ
)
に出されぬ
下郎
(
げろう
)
と称して可なるが如し。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さらに精出して、そこな
下郎
(
げろう
)
の周囲を捜せ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
不埒
(
ふらち
)
ものめ。
下郎
(
げろう
)
。」
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
下郎
(
げろう
)
か」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『
不届
(
ふとど
)
きな奴、八雲を落しておいて、時経てから、忠義がましく訴え出るなど、食えぬ
下郎
(
げろう
)
ではある。ここへ連れて来いっ』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、鼠に
抛
(
なげう
)
つにも
器物
(
うつわもの
)
を
忌
(
い
)
むの慣い、誰かその方如き
下郎
(
げろう
)
づれと、法力の高下を競わりょうぞ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
匹夫
(
ひっぷ
)
下郎
(
げろう
)
という者は
己
(
おのれ
)
の悪い事を
余所
(
よそ
)
にして、主人を
怨
(
うら
)
み、
酷
(
むご
)
い分らんと
我
(
が
)
を張って
自
(
みず
)
から舌なぞを噛み切り、
或
(
あるい
)
は首をくゝって死ぬ者があるが、手前は武士の
胤
(
たね
)
だという事だから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「なまいきなことをほざく
下郎
(
げろう
)
だ、汝らがこのご城下で
安穏
(
あんのん
)
にくらしていられるのは、みなわれわれが敵国と戦っている
賜物
(
たまもの
)
だぞ。
罰
(
ばち
)
あたりめ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の客に対して宿屋の忰が
然
(
そ
)
んな無礼なことを云って済みますか、浪人して今は見る影もない
尾羽打枯
(
おはうちから
)
した身の上でも、お前たちのようなはしたない
下郎
(
げろう
)
を亭主に持つような身の上ではありません
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「だまれ
小角
(
しょうかく
)
。わしは年こそおさないが、
信玄
(
しんげん
)
の血をうけた武神の孫じゃ。そちのような、
野盗人
(
のぬすびと
)
の
上
(
かみ
)
にはたたぬ。
下郎
(
げろう
)
の力をかりて旗上げはせぬ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武士
下郎
(
げろう
)
の輩の
膝下
(
しっか
)
にねじ伏せられて、荒縄の
縛
(
いまし
)
めをうけるなどは、およそ心外なと、おん目をつりあげ
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
亭主の李立は、
垢
(
あか
)
じみた
下郎
(
げろう
)
頭巾に、毛ムクじゃらな両腕ムキ出しの
半纒
(
はんてん
)
一つ、薄暗い料理場の土間口に腰かけ、毛ずねの片方を膝に組んで、何かぼんやりしていたが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまさら、なんとお
詫
(
わ
)
びも、面目もございませんが、
憎
(
に
)
ッくき
下郎
(
げろう
)
は、お手飼いの
青面獣
(
せいめんじゅう
)
楊志
(
ようし
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……この
爺
(
じい
)
めは、ご先代正遠さまの代から仕え、あなた様がまだお
洟
(
はな
)
を垂らしていた頃からの
下郎
(
げろう
)
ではございますが、かつてまだ、そんな
呆
(
ほ
)
うけたお方とは、存じませなんだ
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅緒
(
べにお
)
の
菅笠
(
すげがさ
)
を
下郎
(
げろう
)
に渡すと、うけたお供の
仲間
(
ちゅうげん
)
は、それを自分の笠に重ねて
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宿の手前はてまえとして、何もそうにわかに
閾
(
しきい
)
をおかなくたっていいだろう。
下郎
(
げろう
)
を召し連れた若奥様かお嬢様か——というふうな権式だけを取って、こっちへ酒もあてがわないのはひどすぎる。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
下郎
(
げろう
)
。なにを、
証拠
(
あかし
)
に」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
下郎
(
げろう
)
、おもてを見せい」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
下郎
(
げろう
)
ッ、何とするッ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——
下郎
(
げろう
)
っ」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“下郎”の意味
《名詞》
下郎(げろう)
人に使用される身分の賤しい男。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
郎
常用漢字
中学
部首:⾢
9画
“下郎”で始まる語句
下郎笠