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けたふ
さし出し夫より
四邊を
立働く
隙に
傍らに立掛ありし鐵の
延棒を
故意と足にて
蹴倒し見るに少しも
動かず因て彌助は目方を
と
思ふか
思はない
内に、
妻は
竹の
落葉の
上へ、
唯、
一蹴りに
蹴倒された、(
再、
迸る
如き
嘲笑)
盜人は
靜かに
兩腕を
組むと、おれの
姿へ
眼をやつた。
似ず
止めれば
振きる
袖袂まづ
今しばしと
詫びつ
恨みつ
取りつく
手先うるさしと
立蹴にはたと
蹴倒されわつと
泣く
聲我れとわが
耳に
入りて
起き
返るは
何處
しかし
男は
咄嗟の
間に、わたしを
其處へ
蹴倒しました。
丁度その
途端です。わたしは
夫の
眼の
中に、
何とも
云ひやうのない
輝きが、
宿つてゐるのを
覺りました。
隙さず
咽喉へ
突貫さんとしけれども
手先狂ひて
頬より口まで
斬付たり源八
悶ながら顏を見ればお
高なりしにぞ
南無三と
蹴倒して
其所を
飛出し
連の
佐七と
倶に
後を
これはあなた
方の
思ふやうに、
卑しい
色慾ではありません。もしその
時色慾の
外に、
何も
望みがなかつたとすれば、わたしは
女を
蹴倒しても、きつと
逃げてしまつたでせう。