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あほ/\
また
彼方では、
一團の
水兵がワイ/\と
騷いで
居るので、
何事ぞと
眺めると、
其處は
小高い
丘の
麓で、
椰子や
橄欖の
葉が
青々と
茂り、
四邊の
風景も
一際美はしいので、
今夜は
此處に
陣屋を
構へて
かしかるべし
御覽ぜずやとわりなくすゝめて
柴の
戸めづらしく
伴ひ
出でぬ
人の
心のうやむやは
知らずや
茂る
木立すゞしく
袖に
吹く
風むねに
欲しゝ
植はたす
小田の
早苗青々として
處々に
鳴き
立つ
蛙の
聲さま/″\なる
彼れも
歌かや
可笑しとてホヽ
笑む
主に
我れも
嬉しく
彼方の
萱ぶき
此の
垣根お
庭の
中に
欲しきやうなり
彼の
花は
『
島がツ。』と
私も
蹴鞠のやうに
跳起きて
見ると、
此時天全く
明けて、
朝霧霽れたる
海の
面、
吾が
端艇を
去る
事三海里ばかりの、
南方に
當つて、
椰子、
橄欖の
葉は
青〻と
茂つて