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響
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ひゞき
ふりがな文庫
“
響
(
ひゞき
)” の例文
串戯
(
じやうだん
)
はよして、
些細
(
さゝい
)
な
事
(
こと
)
ではあるが、おなじ
事
(
こと
)
でも、こゝは
大力
(
だいりき
)
が
可
(
い
)
い。
強力
(
がうりき
)
、と
云
(
い
)
ふと、九
段坂
(
だんざか
)
をエンヤラヤに
聞
(
き
)
こえて
響
(
ひゞき
)
が
悪
(
わる
)
い。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
角海老
(
かどゑび
)
が
時計
(
とけい
)
の
響
(
ひゞき
)
きもそゞろ
哀
(
あわ
)
れの
音
(
ね
)
を
傳
(
つた
)
へるやうに
成
(
な
)
れば、四
季
(
き
)
絶間
(
たえま
)
なき
日暮里
(
につぽり
)
の
火
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りも
彼
(
あ
)
れが
人
(
ひと
)
を
燒
(
や
)
く
烟
(
けぶ
)
りかとうら
悲
(
かな
)
しく
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
天空
(
そら
)
には
星影
(
ほしかげ
)
一
點
(
てん
)
、二
點
(
てん
)
、
又
(
ま
)
た三
點
(
てん
)
、
風
(
かぜ
)
死
(
し
)
して
浪
(
なみ
)
黒
(
くろ
)
く、
船
(
ふね
)
は
秒一秒
(
べういちべう
)
と、
阿鼻叫喚
(
あびけうくわん
)
の
響
(
ひゞき
)
を
載
(
の
)
せて、
印度洋
(
インドやう
)
の
海底
(
かいてい
)
に
沈
(
しづ
)
んで
行
(
ゆ
)
くのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
君
(
きみ
)
ばかりでない、
僕
(
ぼく
)
の
朋友
(
ほういう
)
の
中
(
うち
)
、
何人
(
なんぴと
)
も
未
(
いま
)
だ
此名
(
このな
)
が
如何
(
いか
)
に
僕
(
ぼく
)
の
心
(
こゝろ
)
に
深
(
ふか
)
い、
優
(
やさ
)
しい、
穩
(
おだや
)
かな
響
(
ひゞき
)
を
傳
(
つた
)
へるかの
消息
(
せうそく
)
を
知
(
し
)
らないのである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
響
(
ひゞき
)
を
立
(
た
)
てながら
容易
(
ようい
)
に
冷
(
さ
)
めぬ
熱
(
あつ
)
い
茶碗
(
ちやわん
)
を
啜
(
すゝ
)
つた。おつぎも
幾年
(
いくねん
)
か
逢
(
あ
)
はぬ
伯母
(
をば
)
の
人
(
ひと
)
なづこい
樣
(
やう
)
で
理由
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
樣
(
やう
)
な
容子
(
ようす
)
を
偸
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
それを
石橋
(
いしばし
)
と
私
(
わたし
)
とで
頻
(
しきり
)
に
掘出
(
ほりだ
)
しに
掛
(
かゝ
)
つた、すると
群雄
(
ぐんいう
)
四方
(
しはう
)
より
起
(
おこ
)
つて、
響
(
ひゞき
)
の声に
応
(
おう
)
ずるが
如
(
ごと
)
しです、
是
(
これ
)
が
硯友社
(
けんいうしや
)
創立
(
さうりつ
)
の
導火線
(
だうくわせん
)
と
成
(
な
)
つたので
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
喪
(
も
)
の国へ帰り
行
(
ゆ
)
く船と申す如き心地も
此夜頃
(
このよごろ
)
に深く身に沁み
候
(
さふら
)
ひしか。ピアノの音、蓄音器の声もせず、波の
響
(
ひゞき
)
のみ
凄
(
すご
)
げに立ち
居
(
を
)
り申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
贏
(
か
)
ち得た所は物
寂
(
さ
)
びてゐる。奈良の
大仏
(
だいぶつ
)
の
鐘
(
かね
)
を
撞
(
つ
)
いて、其
余波
(
なごり
)
の
響
(
ひゞき
)
が、東京にゐる自分の耳に
微
(
かす
)
かに
届
(
とゞ
)
いたと同じ事である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一曲
(
いつきよく
)
舞ひ納む
春鶯囀
(
しゆんあうてん
)
、細きは珊瑚を碎く一雨の曲、風に靡けるさゝがにの絲輕く、太きは
瀧津瀬
(
たきつせ
)
の鳴り渡る千萬の聲、
落葉
(
おちば
)
の
蔭
(
かげ
)
に
村雨
(
むらさめ
)
の
響
(
ひゞき
)
重
(
おも
)
し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
いつも夜店の賑ふ八丁堀北島町の路地には片側に講釈の
定席
(
ぢやうせき
)
、片側には娘義太夫の定席が
向合
(
むかひあ
)
つてゐるので、
堂摺連
(
だうするれん
)
の手拍子は毎夜
張扇
(
はりあふぎ
)
の
響
(
ひゞき
)
に
打交
(
うちまじは
)
る。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今の千萬長者と同じ
響
(
ひゞき
)
を持つた時代、——十兩から上の泥棒は首を斬られた時代——に、
灸點
(
きうてん
)
横町の裏長屋で、九百九十兩溜める人間も溜める人間なら
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大小数百千
悉
(
こと/″\
)
く
方
(
しかく
)
をなして
削
(
けず
)
りたてたるごとく(かならず
方
(
かく
)
をなす事下に
弁
(
べん
)
ず)なるもの幾千丈の山の上より一
度
(
ど
)
に
崩頽
(
くづれおつ
)
る、その
響
(
ひゞき
)
百千の
雷
(
いかづち
)
をなし大木を
折
(
をり
)
大石を
倒
(
たふ
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
フムと感心のコナシありて、
此子
(
このこ
)
なか/\話せるワエと、
忽
(
たちま
)
ち
詩箋
(
しせん
)
に
龍蛇
(
りうだ
)
はしり、
郵便箱
(
いうびんばこ
)
に
金玉
(
きんぎよく
)
の
響
(
ひゞき
)
ある
事
(
こと
)
になるとも、
我
(
われ
)
また
其夜
(
そのよ
)
の
思寝
(
おもひね
)
に
和韻
(
わゐん
)
の一
詩
(
し
)
をすら/\と
感得
(
かんとく
)
して
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
と差出す二管の笛を手に取って見ますと、一つは
響
(
ひゞき
)
と
朱銘
(
しゅめい
)
で出て居り、一つは初音と銀銘で出て居りますから驚きました。この虚無僧は稻垣小左衞門の忰小三郎でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
冷
(
ひ
)
え/″\として
硝子
(
がらす
)
のそとに、いつからか
糸
(
いと
)
のやうに
細
(
こま
)
かな
雨
(
あめ
)
が
音
(
おと
)
もなく
降
(
ふ
)
つてゐる、
上草履
(
うはざうり
)
の
靜
(
しづ
)
かに
侘
(
わ
)
びしい
響
(
ひゞき
)
が、
白衣
(
びやくえ
)
の
裾
(
すそ
)
から
起
(
おこ
)
つて、
長
(
なが
)
い
廊下
(
らうか
)
を
先
(
さき
)
へ/\と
這
(
は
)
うて
行
(
ゆ
)
く。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
鎭めて
聽居
(
きゝゐ
)
たりしが
今
(
いま
)
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
りし時一同に
咄
(
どつ
)
と
譽
(
ほめ
)
る聲
家内
(
やうち
)
に
響
(
ひゞき
)
て聞えけり此折しも第一の客なる彼の味岡勇右衞門は
如何
(
いかゞ
)
致しけんウンと云て
持病
(
ぢびやう
)
の
癪氣
(
しやくき
)
に
差込
(
さしこま
)
れ齒を
噛
(
かみ
)
しめしかば上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
腹立
(
はらだ
)
たし
氣
(
げ
)
な
顏
(
かほ
)
をしたものや、ベソを
掻
(
か
)
いたものや、
怖
(
こは
)
さうにおど/\したものなぞが、
前後
(
ぜんご
)
してぞろ/\と
舟
(
ふね
)
から
陸
(
をか
)
へ
上
(
あが
)
つた。
母
(
はゝ
)
に
抱
(
だ
)
かれた
嬰兒
(
あかご
)
の
泣
(
な
)
く
聲
(
こゑ
)
は、
殊
(
こと
)
に
哀
(
あは
)
れな
響
(
ひゞき
)
を
川風
(
かはかぜ
)
に
傳
(
つた
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
己は帳場の
火鉢
(
ひばち
)
にあたりながら英語の本の復習をやって居ると、何とも云えない流麗な、微妙な
声音
(
こわね
)
が、電車の
響
(
ひゞき
)
だの
下駄
(
げた
)
の
音
(
おと
)
だので
濁
(
にご
)
らされて居る、
雑沓
(
ざっとう
)
の夜の
巷
(
ちまた
)
の噪音を押し
拭
(
ぬぐ
)
うようにして
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夢見
(
ゆめみ
)
ごこちの
流盻
(
ながしめ
)
や、
鐘
(
かね
)
の
響
(
ひゞき
)
の
青
(
あを
)
びれに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
真黒なる
管絃楽
(
オオケストラ
)
の帆の
響
(
ひゞき
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
響
(
ひゞき
)
はるかに鳴りわたる
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
銀の
響
(
ひゞき
)
の
羽
(
はね
)
ざはり……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
荒
(
あら
)
き
響
(
ひゞき
)
をもたらして
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜
(
よる
)
碎
(
くだ
)
くる
響
(
ひゞき
)
あり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
すべて、
海上
(
かいじやう
)
の
規則
(
きそく
)
では、
船
(
ふね
)
の
出港
(
しゆつかう
)
の十
分
(
ぷん
)
乃至
(
ないし
)
十五
分
(
ふん
)
前
(
まへ
)
に、
船中
(
せんちう
)
を
布
(
ふ
)
れ
廻
(
まは
)
る
銅鑼
(
どら
)
の
響
(
ひゞき
)
の
聽
(
きこ
)
ゆると
共
(
とも
)
に
本船
(
ほんせん
)
を
立去
(
たちさ
)
らねばならぬのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
水
(
みづ
)
汲上
(
くみあ
)
ぐる
釣瓶
(
つるべ
)
の
音
(
おと
)
、
機
(
はた
)
を
織
(
お
)
る
音
(
おと
)
、
鐘
(
かね
)
の
聲
(
こゑ
)
、
神樂
(
かぐら
)
の
響
(
ひゞき
)
、
騷然
(
さうぜん
)
、
雜然
(
ざつぜん
)
、
業
(
げふ
)
に
聲
(
こゑ
)
ありて
默
(
もく
)
するは
無
(
な
)
く、
職
(
しよく
)
に
音
(
おと
)
ありて
聞
(
きこ
)
えざるは
無
(
な
)
きに
到
(
いた
)
れり。
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
低
(
ひく
)
い
粟幹
(
あはがら
)
の
屋根
(
やね
)
から
其
(
その
)
括
(
くゝ
)
りつけた
萱
(
かや
)
や
篠
(
しの
)
の
葉
(
は
)
には
冴
(
さ
)
えた
耳
(
みゝ
)
に
漸
(
やつ
)
と
聞
(
きゝ
)
とれるやうなさら/\と
微
(
かす
)
かに
何
(
なに
)
かを
打
(
う
)
ちつけるやうな
響
(
ひゞき
)
が
止
(
や
)
まない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
十二時頃に
留
(
とま
)
つた駅で錠を
下
(
おろ
)
してあつた戸が外から長い鍵で
開
(
あ
)
けられた
響
(
ひゞき
)
を耳元で聞いて私は驚いて起き上つた。支那の国境へ来たのであるらしい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其
(
その
)
うち
年
(
とし
)
が
段々
(
だん/\
)
片寄
(
かたよ
)
つて、
夜
(
よる
)
が
世界
(
せかい
)
の
三分
(
さんぶん
)
の
二
(
に
)
を
領
(
りやう
)
する
樣
(
やう
)
に
押
(
お
)
し
詰
(
つま
)
つて
來
(
き
)
た。
風
(
かぜ
)
が
毎日
(
まいにち
)
吹
(
ふ
)
いた。
其音
(
そのおと
)
を
聞
(
き
)
いてゐる
丈
(
だけ
)
でも、
生活
(
ライフ
)
に
陰氣
(
いんき
)
な
響
(
ひゞき
)
を
與
(
あた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
しまた
田圃
(
たんぼ
)
づたひに歩いて
行
(
ゆ
)
く
中
(
うち
)
水田
(
みづた
)
のところ/″\に
蓮
(
はす
)
の花の見事に咲き乱れたさまを
眺
(
なが
)
め
青々
(
あを/\
)
した
稲
(
いね
)
の葉に
夕風
(
ゆふかぜ
)
のそよぐ
響
(
ひゞき
)
をきけば、さすがは
宗匠
(
そうしやう
)
だけに
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ゴト/\と
床
(
ゆか
)
を
蹶
(
け
)
る
音
(
おと
)
、そして
折
(
を
)
り/\
冬
(
ふゆ
)
の
街
(
ちまた
)
を
吹
(
ふ
)
き
荒
(
あら
)
す
北風
(
きたかぜ
)
の
窓
(
まど
)
ガラスを
掠
(
かす
)
める
響
(
ひゞき
)
である。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
月の光に
影
(
かげ
)
暗
(
くら
)
き、
杜
(
もり
)
の繁みを
徹
(
とほ
)
して、
微
(
かすか
)
に燈の
光
(
ひかり
)
見ゆるは、げに
古
(
ふ
)
りし庵室と覺しく、隣家とても有らざれば、
闃
(
げき
)
として死せるが如き夜陰の靜けさに、
振鈴
(
しんれい
)
の
響
(
ひゞき
)
さやかに聞ゆるは
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
三町ばかり先へ落雷でガラ/\/\/\/\ビューと火の棒の様なる物が
下
(
さが
)
ると、丁度
浄禅寺
(
じょうぜんじ
)
ヶ淵辺りへピシーリと落雷、其の
響
(
ひゞき
)
に驚いて、土手の甚藏は、
体
(
なり
)
は
大兵
(
だいひょう
)
で度胸も
好
(
い
)
い男だが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは
如何
(
いか
)
にも、あの
綺麗
(
きれい
)
な
雪
(
ゆき
)
が
溶
(
と
)
けて、
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
になつて
樋
(
とひ
)
の
中
(
なか
)
へ
轉
(
まろ
)
び
込
(
こ
)
むのにふさはしい
音
(
おと
)
である……
轉
(
まろ
)
び
込
(
こ
)
んだ
露
(
つゆ
)
はとろ/\と
響
(
ひゞき
)
に
誘
(
いざな
)
はれて
流
(
なが
)
れ、
流
(
なが
)
れる
水
(
みづ
)
はとろ/\と
響
(
ひゞき
)
を
導
(
みちび
)
いて
行
(
い
)
く。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
馳
(
は
)
せ
出
(
いだ
)
す
車
(
くるま
)
一散
(
いつさん
)
、さりながら
降
(
ふ
)
り
積
(
つも
)
る
雪
(
ゆき
)
車輪
(
しやりん
)
にねばりてか
車上
(
しやじやう
)
の
動搖
(
どうえう
)
する
割
(
わり
)
に
合
(
あは
)
せて
道
(
みち
)
のはかは
行
(
ゆ
)
かず
萬世橋
(
よろづよばし
)
に
來
(
き
)
し
頃
(
ころ
)
には
鐵道馬車
(
てつだうばしや
)
の
喇叭
(
らつぱ
)
の
聲
(
こゑ
)
はやく
絶
(
た
)
えて
京屋
(
きやうや
)
が
時計
(
とけい
)
の
十時
(
じふじ
)
を
報
(
はう
)
ずる
響
(
ひゞき
)
空
(
そら
)
に
高
(
たか
)
し
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此雪こほりて岩のごとくなるもの、二月のころにいたれば
陽気
(
やうき
)
地中より
蒸
(
むし
)
て
解
(
とけ
)
んとする時地気と天気との
為
(
ため
)
に
破
(
われ
)
て
響
(
ひゞき
)
をなす。一
片
(
へん
)
破
(
われ
)
て
片々
(
へん/\
)
破る、其ひゞき大木を
折
(
をる
)
がごとし。これ
雪頽
(
なだれ
)
んとするの
萌
(
きざし
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
を
掉
(
ふ
)
れば
響
(
ひゞき
)
宛然
(
さながら
)
金鈴
(
きんれい
)
のごとし、
之
(
これ
)
を
合圖
(
あひづ
)
に
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お米は
響
(
ひゞき
)
の音に應ずるやうでした。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
響
(
ひゞき
)
殷々
(
いん/\
)
、
澄
(
す
)
みわたる
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
荒海
(
あらうみ
)
の
響
(
ひゞき
)
を立てて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
心の
闇
(
やみ
)
の
響
(
ひゞき
)
あり
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ぞ
籠
(
こめ
)
たりける此所は名に
負
(
おふ
)
周智郡
(
すちごほり
)
大日山の
續
(
つゞ
)
き秋葉山の
絶頂
(
ぜつちやう
)
なれば
大樹
(
だいじゆ
)
高木
(
かうぼく
)
生茂
(
おひしげ
)
り晝さへ
暗
(
くら
)
き
木下闇
(
このしたやみ
)
夜は猶さらに月
暗
(
くら
)
く
森々
(
しん/\
)
として
更行
(
ふけゆく
)
樣に如何にも
天魔
(
てんま
)
邪神
(
じやしん
)
の
棲巣
(
すみか
)
とも云べき
峯
(
みね
)
には
猿猴
(
ましら
)
の木傳ふ聲谷には流水
滔々
(
たう/\
)
と
而
(
して
)
木魂
(
こだま
)
に
響
(
ひゞき
)
遠寺
(
ゑんじ
)
の
鐘
(
かね
)
も
最
(
いと
)
物
凄
(
すご
)
く遙に聞ば
野路
(
のぢ
)
の
狼
(
おほかみ
)
吼
(
ほえ
)
て青嵐
颯々
(
さつ/\
)
と
梢
(
こずゑ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、もの
音
(
おと
)
、
人聲
(
ひとごゑ
)
さへ
定
(
さだ
)
かには
聞取
(
きゝと
)
れず、たまに
駈
(
かけ
)
る
自動車
(
じどうしや
)
の
響
(
ひゞき
)
も、
燃
(
も
)
え
熾
(
さか
)
る
火
(
ひ
)
の
音
(
おと
)
に
紛
(
まぎ
)
れつゝ、
日
(
ひ
)
も
雲
(
くも
)
も
次第々々
(
しだい/\
)
に
黄昏
(
たそが
)
れた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
默然
(
もくねん
)
として、
猶
(
なほ
)
も
其處
(
そこ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
を
)
ると、
暫時
(
しばらく
)
して
其
(
その
)
不思議
(
ふしぎ
)
なる
岩陰
(
いわかげ
)
から、
昨日
(
きのふ
)
も
一昨日
(
おとゝひ
)
も
聽
(
き
)
いた、
鐵
(
てつ
)
の
響
(
ひゞき
)
が
起
(
おこ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
おつぎはそれから
水際
(
みづぎは
)
へおりようとすると
水
(
みづ
)
を
渡
(
わた
)
つて
靜
(
しづ
)
かに
然
(
しか
)
も
近
(
ちか
)
く
人
(
ひと
)
の
聲
(
こゑ
)
がして、
時々
(
ときどき
)
しやぶつといふ
響
(
ひゞき
)
が
水
(
みづ
)
に
起
(
おこ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼
(
かれ
)
は
行
(
ゆ
)
く/\
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
で
何遍
(
なんべん
)
も
宗教
(
しゆうけう
)
の二
字
(
じ
)
を
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。けれども
其
(
その
)
響
(
ひゞき
)
は
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
す
後
(
あと
)
からすぐ
消
(
き
)
えて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蘿月
(
らげつ
)
は
仕方
(
しかた
)
なしに
雨戸
(
あまど
)
を
閉
(
し
)
めて、再びぼんやり
釣
(
つるし
)
ランプの
下
(
した
)
に
坐
(
すわ
)
つて、続けざまに
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
んでは
柱時計
(
はしらどけい
)
の針の動くのを
眺
(
なが
)
めた。時々
鼠
(
ねずみ
)
が
恐
(
おそろ
)
しい
響
(
ひゞき
)
をたてゝ
天井裏
(
てんじやううら
)
を走る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ぽかりと
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
いたら、
朝
(
あさ
)
が
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へたやうに
硝子
(
ガラス
)
の
外
(
そと
)
から
私
(
わたし
)
を
覗
(
のぞ
)
いてゐた。
夢
(
ゆめ
)
と
現
(
うつゝ
)
の
境
(
さかひ
)
ごろに、
近
(
ちか
)
くで一
發
(
ぱつ
)
の
獵銃
(
れふじう
)
の
音
(
おと
)
が
響
(
ひゞ
)
いたやうだつけ、その
響
(
ひゞき
)
で一
層
(
そう
)
あたりが
靜
(
しづ
)
かにされたやうな
朝
(
あさ
)
である。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
その
響
(
ひゞき
)
につれて
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此
(
こ
)
の
折
(
をり
)
から
聞
(
きこ
)
えはじめたのは
哄
(
どツ
)
といふ
山彦
(
やまひこ
)
に
伝
(
つた
)
はる
響
(
ひゞき
)
、
丁度
(
ちやうど
)
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
に
風
(
かぜ
)
が
渦巻
(
うづま
)
いて
其処
(
そこ
)
から
吹起
(
ふきおこ
)
る
穴
(
あな
)
があいたやうに
感
(
かん
)
じられる。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
響
常用漢字
中学
部首:⾳
20画
“響”を含む語句
反響
音響
響動
地響
影響
響尾蛇
交響楽
交響曲
大音響
鳴響
響渡
余響
響板
交響楽詩
英雄交響曲
交響
悲愴交響曲
響音
新世界交響曲
谺響
...