“片々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたかた26.8%
へんぺん26.8%
かた/\17.1%
きれぎれ9.8%
きれ/″\7.3%
かけら2.4%
きれきれ2.4%
ばらばら2.4%
ひらひら2.4%
へん/\2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そら死ぬそら死ぬそら死ぬ」と耳のはたささやけば、片々かたかたの耳元でも懐しいかお「もう見えぬもう見えぬもう見えぬ」
郁治はどうせそんな片々へんぺんたるものを出したって、要するに道楽に過ぎんのだからやめてしまうほうが結局いいしかただと賛成する。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そして背中に負つた袋を、まづ片々かた/\の肩からはづして、それから又外の肩からはづした。もう此袋のはづし方には馴れてゐるのである。
停車場ステーションで車をやとってうちへ急ぐ途中も、何だか気がいらって、何事も落着いて考えられなかったが、片々きれぎれの思想が頭の中で狂いまわる中でも
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これに紅の眼、脂ぎりて黒き髯、大いなる腹、爪ある手あり、このもの魂等を爬き、噛み、また裂きて片々きれ/″\にす 一六—一八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
沖の波に似た白雲の片々かけらが風に流れて、紺深く澄み入つた空の片辺に、まつたく忘れられたものゝやうに懸つてゐる。
岬の端 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
貫一は読了よみをはるとひとしく片々きれきれに引裂きて捨ててけり。宮の在らば如何いかにとも言解くなるべし。彼のしたし言解いひとかば、如何に打腹立うちはらだちたりとも貫一の心のけざることはあらじ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
弟は一人前なかったので婿養子をしたが、婿むこと舅の折合が悪い為に、老夫婦としよりふうふは息子を連れて新家に出た。いまき崩されて片々ばらばらに売られつゝあるうちが即ち其れなのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と金袋の口を開いて、黄金の片々ひらひらを彼等の頭上に霰と降らすのであつた。そして私達が加害者の襟首をつかまへて
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
此雪こほりて岩のごとくなるもの、二月のころにいたれば陽気やうき地中よりむしとけんとする時地気と天気とのためわれひゞきをなす。一へんわれ片々へん/\破る、其ひゞき大木ををるがごとし。これ雪頽なだれんとするのきざし也。