“音響”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おと29.0%
ひびき25.8%
おんきょう19.4%
ひゞき9.7%
おんきやう6.5%
おんけう3.2%
ひびきね3.2%
ものおと3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから十分ばかりのち、圓朝を乗せた人力車は、暗い湯島の切通しから、本郷三丁目を壱岐殿いきどの坂へと、鉄輪の音響おとを立てながら走っていた。
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
それを上りつめたとき、三人は、省線電車の間断なく馳せちがう音響ひびきを脚下に、田端へつゞく道灌山の、草の枯れた崖のうえに立った。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
轟然ごうぜんたる音響おんきょうとともに、仏像のなかにしかけてあった火薬が爆発した。——浜松城の二の丸の白壁は、雷火らいかかれてくずれ落ちた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中尉は、を、六角の眼でじいッと睨みつけていた。支那人は、罪人のように、悄々しお/\とうなだれて立上った。そして、力なく肩をすぼめて、音響ひゞき一ツ立てずに去ってしまった。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
この風やこの雨には一種特別の底深そこぶかい力が含まれてて、寺の樹木じゆもくや、河岸かはぎしあしの葉や、場末ばすゑにつゞく貧しい家の板屋根いたやねに、春や夏には決して聞かれない音響おんきやうを伝へる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いつたい「さくらその」にはだいまく車のおとだいまくのギタアの音色、だいまくをはりのさくらの木を切りたふをのひゞきなどと、塲面ばめん々々のかんじとあひ俟つて音響おんけう効果こうくわじつたくみもちゐられてゐるが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
... 求めていやしませんよ。あんな風精ジルフェ黙劇ダム・ショウなんざあ、どうでもいいのです。それよりこれを、いずこに住めりや、なんじ暗き音響ひびきね——なんですがね」とデーメールの「沼の上ユーベル・デン・ジュムフェン
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは子供の時分のことですが、この頃はまた、すこしの音響ものおとにも驚愕びっくりするくせが付き、そして明るい光線を見るのが非常な苦痛です。体は至って壮健じょうぶですが、全体に痛みを覚えます。
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)