麥藁むぎわら)” の例文
新字:麦藁
ふと麥藁むぎわらにはかなら一方いつぱうふしのあるのがります。それが出來できましたら、ほそはう麥藁むぎわらふと麥藁むぎわらけたところへむやうになさい。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
鐵砲玉てつぱうだま麥藁むぎわらかごへもれられた。與吉よきちはそれを大事相だいじさうつては時とき/″\のぞきながら、おつぎが炊事すゐじあひだ大人おとなしくしてすわつてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
路地の入口に麥藁むぎわらをつんで、それに火を附けたものらしく、燃え上がるほのほは一時飴屋の甚助の軒先に迫りましたが、番太の吉六が、番手桶の水を持つて來てザツと掛けると
ナニ、あをいんでもかまひませんが、なるなら黄色きいろはうがいゝ。むぎじゆくするほど丈夫ぢやうぶですからね。このほそ麥藁むぎわら穗先ほさきはうかるつておきなさい。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
初秋しよしうかぜ吊放つりはなしの蚊帳かやすそをさら/\といて、とうから玉蜀黍たうもろこしかまどはひなかでぱり/\と威勢ゐせいよくえる麥藁むぎわらかれて、からがそつちにもこつちにもてられる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
成程なるほどむぎとほりにしましたら、子供こどもらしい翫具おもちや出來できました。ほそ麥藁むぎわらしたからたびに、むぎ穗先ほさきうごきまして、『今日こんにちは、今日こんにちは』とふやうにえました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あひだには與吉よきち背負せおつてはやしなかあるいてたけ竿さをつくつたかぎ枯枝かれえだつては麁朶そだたばねるのがつとめであつた。おつぎは麥藁むぎわら田螺たにしのやうなかたちよぢれたかごつくつてそれを與吉よきちたせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)