駈下かけお)” の例文
と急に支度をしてどん/\/\/\と毀れるばかりに階子はしご駈下かけおりると、止せばいに小増を始め芸者や太鼓持まで又市の跡を付けて来まして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
周章あわてて急坂を駈下かけおりてころがるように停車場に飛込みざま切符を買った処へ、終列車が地響き打って突進して来た。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
わたし跣足はだしで庭へ駈下かけおりました。けつけて声を出しますと、烏は其のまゝ塀の外へ又飛びましたのでございます。ちょう其処そこが、裏木戸うらきどところでございます。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ついにのどかわいてきたので、山のすぐふもとにある桂正作の家の庭へ、裏山からドヤドヤと駈下かけおりて、案内もわず、いきなり井戸辺いどばたに集まって我がちにと水をんでんだ。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
兼太郎は刎起はねおきて、「お照か。まアお上り。お上り。」といいながら梯子段を駈下かけおりた。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
報告書は麾下きか陳歩楽ちんほらくという者が身に帯びて、単身都へせるのである。選ばれた使者は、李陵りりょう一揖いちゆうしてから、十頭に足らぬ少数の馬の中の一匹に打跨うちまたがると、一鞭ひとむちあてて丘を駈下かけおりた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ト言いながら狼狽あわてて梯子段はしごだん駈下かけおりてしまッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
やはらげなほ種々いろ/\と異見に及び御歸りのおそく相成てはと別れて猶も後見送りしが千太郎ははからずも久八に行逢ゆきあひ面目めんぼくなきまゝ兩三日は辛抱しんばうなせしがほどすぎるにしたがひ又もや夜ごとに通ひ居たりしに其後朝歸りのみちすがら向ふより來るは又々久八なれば夫と見るより千太郎は土手下へ駈下かけお畔傳あせづたひにあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と言掛けまするが、取上とりのぼせて居りますから、木の根につまづき倒れる処を此方こちら駈下かけおりながら一刀浴せ掛ければ、惠梅比丘尼の肩先深く切付けました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まことに分秒電火の働き、一散に下階した駈下かけおりて、先刻忍びし勝手口より、と門内にのがれ出づれば、米利堅産種メリケンだね巨犬おおいぬ一頭、泰助の姿を見て、すさまじく吠えいだせり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんだか私は恟りしましたよ、私をポンと突飛ばして二階からドン/\駈下かけおりて、私はまアうなすったかと思って居りましたら、それりでお帰りも無し
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
真赤まっかな、まんまるな、大きな太陽様おひさまの前に黒く留まったのが見えたのでございます。私は跣足はだしで庭へ駈下かけおりました。駈けつけて声を出しますと、烏はそのまま塀の外へまた飛びましたのでございます。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところへ永禪は逃げられては溜らぬと思いましたから、土間へ駈下かけおりて、うしろから一刀婆に浴せかけ、横倒れになる処を踏掛ふみかゝってとゞめを刺したが、お梅は畳の上へ俯伏うつぶしになって
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
心利きたる馬丁べっとう等、素早く坂を駈下かけおりて、谷町通に大音に
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云うに早や家来は急ぎ駈下かけおります。跡を見送ってお侍が宗十郎頭巾を取って首へ巻き
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
俊吉は、駈下かけおりた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)