“かけお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
駈下38.9%
駈落22.2%
駆落13.9%
懸合5.6%
駆下5.6%
懸緒2.8%
逃亡2.8%
掛合2.8%
馳落2.8%
驅落2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
周章あわてて急坂を駈下かけおりてころがるように停車場に飛込みざま切符を買った処へ、終列車が地響き打って突進して来た。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「でも、駈落かけおちをしたおかげで、無事ぶじ生命いのちたすかつたんです。おもつた同士どうしは、道行みちゆきにかぎるのねえ。」
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
江戸・大阪の浄瑠璃じょうるりに出てくる抱え遊女は、駆落かけおちの際でもなければ外へは出ぬものになっていたが、地方は近頃ちかごろまでかなりの自由があったらしい。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「しかし、そう云う条件を付けて置く方が君の将来のためにえぞ。そうせい。僕が懸合かけおうてやる」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きふなんだかさびしくつて、ゑひざめのやうな身震みぶるひがた。いそいで、燈火ともしびあて駆下かけおりる、とおもひがけず、ゆきにはおぼえもない石壇いしだんがあつて、それ下切おりきつたところ宿やどよこながれるるやうな谿河たにがはだつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
風折烏帽子かざおりえぼしむらさき懸緒かけおを着けたに負けない気で、この大島守は、紺染こんぞめ鎧直垂よろいひたたれの下に、白き菊綴きくとじなして、上には紫の陣羽織。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また此の、品川で、陣羽織菊綴きくとじで、風折烏帽子かざおりえぼしむらさき懸緒かけお張合はりあつた次第を聞いて、——例の天下の博士はかせめが、(遊ばされたり、老生ろうせいも一度の御扮装を拝見。)
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のみならず逃亡をしたって、いつまでも逃亡かけおちている訳じゃない。急に自滅がしにくいから、まずその一着として逃亡ちて見るんである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
生家うち逃亡かけおちて、坑夫にまで、なりさがる決心なんだから、大抵の事に辟易へきえきしそうもないもんだがやっぱりきたないもののそばへは寄りつきたくなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あの悪党の蟠龍軒が無慈悲な為され方を聞いて居りました、そう云う訳では聞棄きゝずてにならぬ、これから蟠龍軒の処へ往って掛合かけおうて来ると申しますから
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
出入りの八百屋の御用聞ごようき春公はるこうと、うち仲働なかばたらきたまと云うのが何時いつか知ら密通みっつうして居て、或夜あるよ、衣類を脊負せおい、男女手を取って、裏門の板塀いたべいを越して馳落かけおちしようとした処を
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
私とアデェルの母親とが縁を切つてから五六年後に、彼女は子供を置き去りにして、或る音樂家だつたか歌手だつたかと一緒に伊太利に驅落かけおちしたのです。