駆落かけお)” の例文
旧字:驅落
あれは親分が可愛がっていたおめかけで、そのお妾と金吾という侍が、ちょうど、あっしが牢へぶちこまれた晩に、どこかへ駆落かけおちいたしました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸・大阪の浄瑠璃じょうるりに出てくる抱え遊女は、駆落かけおちの際でもなければ外へは出ぬものになっていたが、地方は近頃ちかごろまでかなりの自由があったらしい。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
駆落かけおちたりと申す今日こんにち国民新聞こくみんしんぶんに見え申候まうしそろ茶漬チヤヅてき筆法ひつぱふ脱化だくわとも申すべくそろ。(十九日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
この手紙を書いたどこかの女は一知半解いっちはんかいのセンティメンタリストである。こう云う述懐じゅっかいをしているよりも、タイピストの学校へはいるために駆落かけおちを試みるに越したことはない。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わしに等しき旦那の眼力もそれまでには及び兼ね、律儀一偏の忠助と思いのほかに、駆落かけおちかまたは頓死のその跡にて帳面を改むれば、ほらのごとき大穴をあけ、はじめて人物の頼み難きを歎息するのみ。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)