駈落かけお)” の例文
酒がける口になってから、あっちこっちに、借金はできる。お蔦はお蔦で、裸にまでなる。型どおり、心中するか、駈落かけおちか、ふた道をいばらにして
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でも、駈落かけおちをしたおかげで、無事ぶじ生命いのちたすかつたんです。おもつた同士どうしは、道行みちゆきにかぎるのねえ。」
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると、修理は急に額を暗くして、「林右衛門めは、先頃さきごろ、手前屋敷を駈落かけおち致してござる。」
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すぐ行きつけの茶屋へあがって、蝶子を呼び、物は相談やが駈落かけおちせえへんか。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「某実業家夫人が運転手と駈落かけおちをした。誰だろうな?」
社長秘書 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
日本の小説にはないわけではない。その一つは青木健作あをきけんさく氏のなんとかいふ女工の小説である。駈落かけおちをした女工が二人ふたり干藁ほしわらか何かの中に野宿する。夜明よあけに二人とも目がさめる。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
年下の男をつれた駈落かけおもの——とでも間違われたに違いない。そこは旅籠の年寄が、まゆを煮る鍋やつむぎ車をおいて、ひとり住んでいる所だったがお通と城太郎のためにわざわざけてくれたのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
師匠ししょうの娘と駈落かけおちをした事だの、いろいろ悪いうわさも聞いています。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)