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隠密
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おんみつ
ふりがな文庫
“
隠密
(
おんみつ
)” の例文
旧字:
隱密
「じゃが、おさわぎあるなご両所、
隠密
(
おんみつ
)
は隠密でも、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
のごとき
曲者
(
くせもの
)
の手先となって、働くような卜斎ではございません——」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「先生。大変な騒ぎで御座ります。
奥山
(
おくやま
)
の
姐
(
ねえ
)
さんが
朝腹
(
あさっぱら
)
お客を引込もうとした処を
隠密
(
おんみつ
)
に
見付
(
みつか
)
りお縄を
頂戴
(
ちょうだい
)
いたしたので御座ります。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
社会主義者だと自称してるブールジョア階級の代表者らも、労働階級の選良中の最も知力すぐれた人々を、
隠密
(
おんみつ
)
に引きつけ併合していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
他国の人間や
隠密
(
おんみつ
)
が
這入
(
はい
)
り込まないための、島津藩の言語政策だという説を聞いたが、それはうそだろう。言葉とはそんなものでなかろう。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
いや、その
前方
(
まえかた
)
、燈籠の蔭には、七兵衛でない他の者の姿も、ちらりと影を見せたことがあります。多分、例の
隠密
(
おんみつ
)
でしょう。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
と、
突如
(
とつじょ
)
として、
雷霆
(
らいてい
)
のように、一喝されて、こちらは、身を隠して、
隠密
(
おんみつ
)
と事を成そうとしつつある、いわば、後暗い彼——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
隠密
(
おんみつ
)
をやって
相模
(
さがみ
)
から紀州へ、紀州から江戸へ出て
暫
(
しばら
)
く休息し、やがて又相模へ主水の妻子の隠れ家を
嗅
(
か
)
ぎ出しに行った。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「控えろッ大作! これなるは余の親友、名は言われんが大奥
隠密
(
おんみつ
)
の要役を承る大切な
御仁
(
ごじん
)
じゃ! やにわに真槍をもって突きかけなんとする? 引けい!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こざかしいあの
隠密
(
おんみつ
)
めが、いらぬ忠義だてしたため、あったら十七万石に傷がついたゆえ、討ったのじゃ。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
故に私が改めて貴公に頼むは、何うか
隠密
(
おんみつ
)
になってお国表へ参って、貴公が何うか又市を取押えて呉れんか……照お前は
何処迄
(
どこまで
)
も又市を
探
(
たず
)
ねて討たんければならぬが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「江戸時代の
隠密
(
おんみつ
)
というのはどういう役なんですね」と、ある時わたしは半七老人に
訊
(
き
)
いた。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
公の社会の下に住んでる
隠密
(
おんみつ
)
な
嫌悪
(
けんお
)
すべき反社会の一団に対して大災害をきたすものである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そんなところへよく逃げこんだものだが、
隠密
(
おんみつ
)
がくると(隠密とはスパイ)、父はわざと蔵の階下へ通して話をするので他の者がハラハラしたという。この裁判は勝訴になったのだそうだ。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
青公卿
(
あおくげ
)
どもが懲りようとはせずに、またも陰謀を企てているそうな。ご城代様にはお心にかけられ、この俺を
隠密
(
おんみつ
)
に仕立て上げて、ここの邸へ入り込ませたが、大変な話を聞いてしまった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで作者は、あの
隠密
(
おんみつ
)
の手のことを語りたいのである。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
仙台城下の内外の
隠密
(
おんみつ
)
が、密々のうちにいよいよ濃度を加えることほど、彼の身元が心もとないと言わなければなりません。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おれなんざ、こう見えても、御城内から格別なお手当をいただいて、
乱波
(
らっぱ
)
(敵国に潜入する第五列)もやれば、
隠密
(
おんみつ
)
もやる。しかもそのお
頭
(
かしら
)
だ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつからともなく民間の風聞を探索して歩く「
隠密
(
おんみつ
)
」であるとの噂が専らとなったので、江戸の町人は鳥さしの姿を見れば必不安の思をなしたというはなしである。
巷の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
恩顧の
隠密
(
おんみつ
)
古橋専介のむくろに並べて、善光寺辰こと辰九郎のなきがらをもいっしょに、お屋敷内の藩士たまりべやに安置しながら、香煙
縷々
(
るる
)
としてたなびく間に、いまし
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
隠密
(
おんみつ
)
の
総帥
(
そうすい
)
で、みずから称して地獄耳、いながらにしてなんでも知っている。八代吉宗、最高秘密の政機は、すべて
入浴
(
にゅうよく
)
の際、このせむしの愚楽にはかって決めたものだそうだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
隠密
(
おんみつ
)
ではないかな? どこぞの国の?」
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それにお前さん、それを取りにでも行こうものなら、待ってましたと、
隠密
(
おんみつ
)
の手で引上げられてしまうにきまっていますよ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、
不遇
(
ふぐう
)
な心境へ水を向けて引き出し、策をさずけて、伊勢方面へ、
隠密
(
おんみつ
)
に、別行動をとらしておいたものなのである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中国は長州の毛利一族、九州は
薩摩
(
さつま
)
の島津一家、というような
太閤
(
たいこう
)
恩顧の大々名のところへはこっそりと江戸から
隠密
(
おんみつ
)
を放って、それとなく城内の動静を探らしたくらいでしたが
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
本八丁堀屋根屋
新道
(
しんみち
)
、
隠密
(
おんみつ
)
まわり
税所邦之助
(
さいしょくにのすけ
)
の役宅へ呼ばれて、この花の一件をしかとおおせつかったいろは屋文次、かしこまりましたと立派にお受けして引きさがりはしたものの
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「私こそ、お詫び申さねばなりません。当時の泥を吐けば、あの折こそ、じつは全く
隠密
(
おんみつ
)
の目的で、ご領内に入り込んでいたものに相違ございませぬ」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江川太郎左衛門ほどの英物が竹売りに化けて、斎藤弥九郎を引連れ、甲州へ
隠密
(
おんみつ
)
に入り込んだのもそのためであったが、ついに得るところなくして終った。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、わしが目をかけて使うていた
隠密
(
おんみつ
)
のひとりじゃ」
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お庭番という、将軍家直属の
隠密
(
おんみつ
)
の
総帥
(
そうすい
)
。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「なるほど、それはごもっともなおうたがいじゃ。いかにもこの卜斎鏃鍛冶とはほんの一時の
表稼業
(
おもてかぎょう
)
で、まことはおさっしのとおり
隠密
(
おんみつ
)
にそういない」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こいつの
隠密
(
おんみつ
)
で召捕られた西国浪人が、どのくらいあるか知れたもんじゃありません。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
青鷺
(
あおさぎ
)
の三蔵をやって、裏切りの約束をしめし合わせてあるが、なお、念のために——と、その三蔵を頭として、一組の
隠密
(
おんみつ
)
を、瀬ぶみに向けたものだった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうでなくても、その以前から七兵衛が
気取
(
けど
)
ったのは、この二人の者は
隠密
(
おんみつ
)
だ。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「だまれ、さっするところそのほうは、
伊那丸
(
いなまる
)
からはなされた
隠密
(
おんみつ
)
にちがいない、思うに、屋根の上にいて、ただいまの
評定
(
ひょうじょう
)
をぬすみ聞きしたのであろう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それがしを
隠密
(
おんみつ
)
と仰っしゃいますか。策士なりと仰せられますか。いやはや、近頃にない愉快な事でござる。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……藤夜叉や不知哉丸の身をよう守ッてくれたのみならず、長年の
隠密
(
おんみつ
)
の働き。あらためて、礼をいうぞ
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢方面の信雄の支城や
隠密
(
おんみつ
)
からは、おもわぬ箇所の堤を切って、濁水の
奔河
(
ほんが
)
が向って来たように
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叔父御に
叛
(
そむ
)
いて、蜂須賀村を出奔して以後、久しく
甲斐
(
かい
)
の武田家に身を寄せ、
乱波
(
らっぱ
)
の者(
隠密
(
おんみつ
)
)の仲間に働いておりましたが、織田の動静を探って来いと命じられ、三年ほど前
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帝との
流人
(
るにん
)
暮らしを共にして来たなどは、小宰相にはかなしみだったにはちがいないが、しかし彼女は、
隠密
(
おんみつ
)
の
悪
(
あく
)
そのものを、つらい役目とも罪深いこととも思っていなかった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天満組
(
てんまぐみ
)
の一部の者や、また江戸方の
隠密
(
おんみつ
)
中に、
執念
(
しゅうね
)
く目をつけている
輩
(
やから
)
がありますとやら
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「久しく、具足師の柳斎となったり、また洛内にひそんで、
直義
(
ただよし
)
(高氏の弟)さまのため蔭の働きをしておりましたが、多年の
隠密
(
おんみつ
)
づとめも、一切、御用ずみと相なって来ましたので」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう、天満浪人だの
隠密
(
おんみつ
)
だの、蜂須賀家だのッて、そんな物騒な渦の中へは飛び込むまいぞ。そうともそうとも、早く一つエレキテルや
火浣布
(
かかんぷ
)
でも仕上げて、大金
儲
(
もう
)
けをしなくっちゃ……
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この主殿助の所へ、
寄手
(
よせて
)
の
隠密
(
おんみつ
)
の者が、一通の密書をもって、忍んで来た。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いうまでもない、
隠密
(
おんみつ
)
じゃ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『こやツ
隠密
(
おんみつ
)
じゃっ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
隠密
(
おんみつ
)
ッ」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“隠密”の意味
《名詞》
隠密(おんみつ)
密かに何かをすること。秘密。
間者。スパイ。しのび。
(出典:Wiktionary)
“隠密”の解説
隠密(おんみつ)とは、主君などの密命を受けて秘かに情報収集などに従事する者、江戸時代の密偵。
(出典:Wikipedia)
隠
常用漢字
中学
部首:⾩
14画
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“隠密”で始まる語句
隠密組
隠密役
隠密落
隠密廻
隠密者
隠密頭
隠密生涯
隠密遺書