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かったつ
ふりがな文庫
“
闊達
(
かったつ
)” の例文
私はやっと生活の上で
闊達
(
かったつ
)
であるばかりでなく文学の上でも闊達ならんとしているらしいから一層慎重に勉強をすすめるつもりです。
獄中への手紙:01 一九三四年(昭和九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
健康にして
闊達
(
かったつ
)
な、又みやびにして姿高いものであり、それが日本美術史上の遺品の中にさまざまの形態となってあらわれている。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
そういう悲哀の数々が自ずと
泌
(
し
)
み出るので、たとえ、縦横に振舞い、
闊達
(
かったつ
)
に処理するようでも、人の反感を買わないのではあるまいか。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もとより泉さんは私などとは違って、確かりした
闊達
(
かったつ
)
な気性の人で、イエを知る人はこの夫婦のことを鬼に金棒と云ったけれど。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
大店
(
おおだな
)
の主人らしい
闊達
(
かったつ
)
さはありますが、弟の
悧巧
(
りこう
)
さを自慢にする人の良さ以外に、この荘太郎には大した
取柄
(
とりえ
)
のないことがよく判ります。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
(俺は、単純
闊達
(
かったつ
)
を愛する。ハムレットよりドン・キホーテを。ドン・キホーテよりダルタニアンを。)薄っぺらでも何でも
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
標高僅かに三百尺位の牡丹台であるが、一番高いところに登ると、四方へ
闊達
(
かったつ
)
に開けた大同江平野が
一眸
(
いちぼう
)
のもとにあった。
淡紫裳
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
だから、あなたもわが東北文化のために大いに自由
闊達
(
かったつ
)
に、当時の思い出話を語って下さい。あなたにご迷惑のかかるような事は絶対に無いのですから。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
新子も、ひやっとした気持が、まだ胸には残っているものの、とにかく
闊達
(
かったつ
)
な若者に対する自然な気安さで、立ち上ってバーテンダーのところへ行った。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かくも感嘆せしめずにはおかない
所以
(
ゆえん
)
の一つは、その
半跏思惟
(
はんかしゆい
)
の形相そのものであろうと説かれた浜田博士の
闊達
(
かったつ
)
な一文は私の心をいまだに充たしている。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
金五郎も、それぞれ、適当に挨拶をしたが、今度の遠足のつれの、派手で、賑やかで、
闊達
(
かったつ
)
で、色っぽくて、だらしのないことに、一驚せざるを得なかった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼女の
闊達
(
かったつ
)
な話声を聞き、罪のなさそうな
瞳
(
ひとみ
)
を見れば疑念が晴れるであろうことを祈りました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
簡素なるものも豪華なるものも共に俗悪であるとすれば、俗悪を否定せんとして尚俗悪たらざるを得ぬ惨めさよりも、俗悪ならんとして俗悪である
闊達
(
かったつ
)
自在さがむしろ取柄だ。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
奉行、
目附
(
めつけ
)
などの警戒も元よりであろうが、秀忠将軍は若くて
闊達
(
かったつ
)
だ。よく侍側を従えて
普請場
(
ふしんば
)
へも現れるという。そんな折、飛び道具なら瞬間で目的を果すことができよう。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前者の豪健
闊達
(
かったつ
)
に対して後者にはどこか女性的なセンチメンタリズムのにおいがある。
青磁のモンタージュ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
体格といい、顔つきといい、いかにも典型的な警察官というところがあった。「ええ、これから防空演習の件について、いささか申上げます」と、その声はまた明朗
闊達
(
かったつ
)
であった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
後家さんは
闊達
(
かったつ
)
なもので、愛嬌で泊り客をなめまわし、
身銭
(
みぜに
)
をきっておごってみたり、踊りの時などは、先へ立って世話を焼いたりするものですから、つい人心を
収攬
(
しゅうらん
)
してしまって
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芭蕉の書体が雄健で
闊達
(
かったつ
)
であるに反して、蕪村の文字は
飄逸
(
ひょういつ
)
で寒そうにかじかんでいる。それは「
炬燵
(
こたつ
)
の詩人」であり、「
炉辺
(
ろへん
)
の詩人」であったところの、俳人蕪村の風貌を表象している。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そうした
闊達
(
かったつ
)
な、やまとごころの、赴くままにふるもうて居る間に、
才
(
ざえ
)
優れた
族人
(
うからびと
)
が、彼を乗り越して行くのに気がつかなかった。姫には叔父、彼——豊成には、さしつぎの弟、仲麻呂である。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
御製は、調べ大きく高く、御慈愛に満ちて、
闊達
(
かったつ
)
至極のものと拝誦し奉る。「大君の辺にこそ死なめ」の語のおのずからにして口を漏るるは、国民の自然のこえだということを
念
(
おも
)
わねばならぬ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
すると電燈の薄暗い
壁側
(
かべぎわ
)
のベンチに坐っていた、背の高い背広の男が一人、太い
籐
(
とう
)
の
杖
(
つえ
)
を引きずりながら、のそのそ陳の側へ歩み寄った。そうして
闊達
(
かったつ
)
に鳥打帽を脱ぐと、声だけは低く
挨拶
(
あいさつ
)
をした。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
父は
一口
(
ひとくち
)
にいうと、まあマン・オフ・ミーンズとでも評したら
好
(
い
)
いのでしょう。比較的上品な
嗜好
(
しこう
)
をもった田舎紳士だったのです。だから
気性
(
きしょう
)
からいうと、
闊達
(
かったつ
)
な叔父とはよほどの
懸隔
(
けんかく
)
がありました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私が自分に求めているだけの
闊達
(
かったつ
)
さ、
強靭
(
きょうじん
)
さ、雄大さはまだわがものとしていません、まだその手前での
上手
(
うま
)
さであり、
確
(
しっか
)
りさである。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
上総国
(
かずさのくに
)
勝浦一万一千石の領主、
植村土佐守
(
うえむらとさのかみ
)
は、若くて
闊達
(
かったつ
)
で、猟と女と遠乗りが何より好きという殿様でした。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それだけに、その方面での失望は彼にとって大きな打撃となった。こうした打撃は、生来
闊達
(
かったつ
)
だった彼の心に、年とともに群臣への暗い
猜疑
(
さいぎ
)
を植えつけていった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
金五郎は、そんなことをいって、
闊達
(
かったつ
)
に笑ったが、安五郎は不吉な予感で、笑うどころではなかった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
あなたのように
聡明
(
そうめい
)
闊達
(
かったつ
)
王者のような青年紳士に無数の美しいお友達が出来るのは当然で、自分はアテネフランセの末席から、あなたのようになりたいということをいつも考えていた。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
あらゆるものを認めてそれを一たん無の価値にまで返し、其処から自由性を引き出す
流通無碍
(
りゅうつうむげ
)
なものということなのよ。それこそ素晴しく
闊達
(
かったつ
)
に其処からすべての生命が輝き出すということなの。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いかにも鎌倉らしい町や海辺の情景が、冬で人が少いため、一種独特の明るい
闊達
(
かったつ
)
さで陽子の心に映った。
明るい海浜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
高木敬太郎と名指して訪ねると、道場の入口に現れたのは、二十歳前後の
闊達
(
かったつ
)
な青年武士で、これは妹の茂野によく似た見るから気持の良い
爽
(
さわ
)
やかな若者です。
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
闊達
(
かったつ
)
に笑って、「勝手にさせちょけ。おれは一度死んだ人間じゃ。もう、どんなことが来たって、恐いことはない。どこまで彼奴等の無茶が通るか、こうなったら、
根
(
こん
)
くらべじゃよ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
一つ一つの能力の
優秀
(
ゆうしゅう
)
さが全然目立たないほど、
過不及
(
かふきゅう
)
無く
均衡
(
きんこう
)
のとれた豊かさは、子路にとって
正
(
まさ
)
しく初めて見る所のものであった。
闊達
(
かったつ
)
自在、いささかの道学者
臭
(
しゅう
)
も無いのに子路は
驚
(
おどろ
)
く。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
声は相変らず
闊達
(
かったつ
)
だが、気持ちはこまかく
行亘
(
ゆきわた
)
って響いて来た。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
大家の主人らしい
闊達
(
かったつ
)
さのうちにも、諦め兼ねた愁悶が太い眉を曇らせます。
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
当代の新三郎はわけても
闊達
(
かったつ
)
で聡明で、銭形平次とはよく馬が合ったのです。
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
闊達
(
かったつ
)
な主人の万兵衛は、自分のせいで家族や奉公人たちまで滅入り込ませるのは気の毒と思ったか、今年は一つ出入りの者を皆んな呼んで、存分に賑やかな花見をしようと言い出したのです。
銭形平次捕物控:108 ガラッ八手柄話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“闊達”の意味
《名詞》
闊達(かったつ)
度量が大きく、物事に拘らないこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
闊
漢検1級
部首:⾨
17画
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
“闊達”で始まる語句
闊達無碍