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やばん
ふりがな文庫
“
野蛮
(
やばん
)” の例文
旧字:
野蠻
俊助は近藤の隣へ腰を下しながら、こう云うハイカラな連中に
交
(
まじ
)
っている
大井篤夫
(
おおいあつお
)
の
野蛮
(
やばん
)
な姿を、滑稽に感ぜずにはいられなかった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひとのものを
横合
(
よこあい
)
からとるようなことが多い。実にふんがいにたえない。まだ世界は
野蛮
(
やばん
)
からぬけない。けしからん。くそっ。ちょっ。
紫紺染について
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
此れに反して、公園の見せ物は、やゝともすると殺伐に流れ、
野蛮
(
やばん
)
を発揮するが、其処に何とも云われない空想の世界が暗示されて居る。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なぜなら、
人間
(
にんげん
)
は、
天使
(
てんし
)
より
野蛮
(
やばん
)
であったからです。そして、
我
(
わ
)
が
子
(
こ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
に、どんなあやまちがないともかぎらないからでありました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
われわれが再び人類
相食
(
あいは
)
む
野蛮
(
やばん
)
な戦争をしないように、そのいましめの記念塔として、あのままおいた方がいいということになったのです。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
こんな体……こんな私……いっそなくなってしまえばいい……。小初は子供のように
野蛮
(
やばん
)
に自分の体の一ヶ処を
捻
(
ひね
)
ってみた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ワイマールの
賓臣
(
ひんしん
)
で、大詩人で大政治家で、社会的地位の高いゲーテは、ベートーヴェンの
野蛮
(
やばん
)
さに苦笑したことであろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
この前にも述べたごとく
野蛮
(
やばん
)
の社会においては
腕力
(
わんりょく
)
ある者が最強者で、最大勝利者で、人も尊敬し自己もまた得意であった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
本多家や、松平家や、その他の寄手に、当藩と何の
遺恨
(
いこん
)
があるのじゃ。憎めもせぬ人間と戦えるほどおぬし等は
野蛮
(
やばん
)
なのか。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし今の巡査はそんな
野蛮
(
やばん
)
な
真似
(
まね
)
をしなくていいのですよ。針金一本で錠前をはずすという手は、もとは錠前破りの盗賊が考え出したことです。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かの耳を
聾
(
ろう
)
せんばかりのけんけんごうごう、きゃんきゃんの犬の
野蛮
(
やばん
)
のわめき声には、殺してもなおあき足らない憤怒と憎悪を感じているのである。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ことにローバの住民は
極
(
ごく
)
の
野蛮
(
やばん
)
人でただその陰部だけを
蔽
(
おお
)
うて居る種族である。これはチベット人ともインド人ともつかないですが、その言葉によって見るとどうやらチベットの方に近い。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ぶうと
云
(
い
)
って汽船がとまると、
艀
(
はしけ
)
が岸を
離
(
はな
)
れて、
漕
(
こ
)
ぎ寄せて来た。船頭は
真
(
ま
)
っ
裸
(
ぱだか
)
に赤ふんどしをしめている。
野蛮
(
やばん
)
な所だ。もっともこの熱さでは着物はきられまい。日が強いので水がやに光る。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また実際仲間の若者たちも彼の秘密を
嗅
(
か
)
ぎつけるには、余りに
平生
(
へいぜい
)
の
素戔嗚
(
すさのお
)
が、恋愛とは
遥
(
はるか
)
に縁の遠い、
野蛮
(
やばん
)
な生活を送り過ぎていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで
野蛮
(
やばん
)
なんです。
礼式
(
れいしき
)
も何も知らないのです。
実際
(
じっさい
)
私はいつでも
困
(
こま
)
ってるんですよ」
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
我が国の
誉
(
ほまれ
)
として我々は親も捨て、はなはだしきは妻子を
殺
(
ころ
)
すまでして
出陣
(
しゅつじん
)
した例などを物語ると、今日の西洋人の耳には
野蛮
(
やばん
)
に聞こゆるそうだが、かくのごとき例は幾たび聞いても
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
天使
(
てんし
)
は、
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
ではできないことも
容易
(
ようい
)
にされたのです。だから、
小
(
ちい
)
さなかわいらしい
天使
(
てんし
)
が、
野蛮
(
やばん
)
な
人間
(
にんげん
)
の
住
(
す
)
んでいる
下界
(
げかい
)
へ
降
(
お
)
りてみたいなどと
思
(
おも
)
ったのも
無理
(
むり
)
のないことでありました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
素戔嗚
(
すさのお
)
は彼の不平を聞き流してから、相手の若者たちの方を向いて、
野蛮
(
やばん
)
な彼にも似合わない、調停の言葉を述べようとした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いや。いやいややや。それは実に
野蛮
(
やばん
)
の遺風だな。この世界がまだなめくじでできていたころの遺風だ。」
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
もし万一信じられぬ場合は、少くとも信じてゐるらしい顔つきを
装
(
よそほ
)
はねばならぬものである。けれども
野蛮
(
やばん
)
なる菊池寛は信じもしなければ信じる
真似
(
まね
)
もしない。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いまぼくが読み
返
(
かえ
)
してみてさえ実に
意気地
(
いくじ
)
なく
野蛮
(
やばん
)
なような気のするところがたくさんあるのだ。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
……わたしは青年時代を
監獄
(
かんごく
)
に暮した。少くとも三十度は入獄したであらう。わたしは
囚人
(
しうじん
)
だつたこともある。度たび
野蛮
(
やばん
)
な決闘の為に重傷を
蒙
(
かうむ
)
つたこともある。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしはいよいよ彼女の体に
野蛮
(
やばん
)
な力を感じ出した。のみならず彼女の
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
や何かにある
匀
(
におい
)
も感じ出した。その匀はちょっと
黒色人種
(
こくしょくじんしゅ
)
の
皮膚
(
ひふ
)
の
臭気
(
しゅうき
)
に近いものだった。
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし椎の木は
野蛮
(
やばん
)
ではない。葉の色にも枝ぶりにも
何処
(
どこ
)
か落着いた所がある。伝統と教養とに
培
(
つちか
)
はれた士人にも恥ぢないつつましさがある。
檞
(
かし
)
の木はこのつつましさを知らない。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
野蛮
(
やばん
)
な彼は幼い時から、歌とか音楽とか云うものにはさらに興味を感じなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“野蛮”の解説
野蛮(やばん)とは、文明・文化に対立する概念であり、文化の開けていない状態あるいは乱暴で礼節を知らないことを言う。未開や粗野と同義。しばしば自身を「文明」と称する人々によって相手に付けられるレッテルとして用いられる。野蛮だとされる民族は「蛮族」と呼ばれる。ここでは例として欧州人の蛮族観を説明する。
(出典:Wikipedia)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
蛮
常用漢字
中学
部首:⾍
12画
“野蛮”で始まる語句
野蛮人
野蛮性
野蛮海岸