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酔狂
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すいきょう
ふりがな文庫
“
酔狂
(
すいきょう
)” の例文
旧字:
醉狂
「あなたが、こういう
酔狂
(
すいきょう
)
なものを作るものだから、こんな面倒が起るのです。退屈したお金持程
厄介
(
やっかい
)
なものはありませんよ」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あんたなんかの処へ、
何人
(
たれ
)
が
酔狂
(
すいきょう
)
にごちそうまで持って来るものかね、ほんとにあんたは、どうかしてるよ」
岐阜提灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
最後に、なぜ私がここにこうやって出て来て、しきりに口を動かしているかと云えば、これは
酔狂
(
すいきょう
)
や
物数奇
(
ものずき
)
で飛出して来たと思われては少し迷惑であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ナニ
乗者
(
のりて
)
に
見惚
(
みと
)
れたのではないかと
仰
(
お
)
っしゃるか……。
御冗談
(
ごじょうだん
)
ばかり、そんな
酔狂
(
すいきょう
)
な
者
(
もの
)
は
只
(
ただ
)
の
一人
(
ひとり
)
だってございません。
私
(
わたくし
)
の
馬
(
うま
)
に
見惚
(
みと
)
れたのでございます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
愚
(
おろ
)
かよのう。まだ年ばえも二十歳を越えず、世に隠れない舞の手も持ちながら、何で、九
郎
(
ろう
)
冠者
(
かじゃ
)
のような、
埒
(
らち
)
もない男を恋い慕うぞ。……はははは、
酔狂
(
すいきょう
)
な女子よ」
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「なにを
酔狂
(
すいきょう
)
なことを言ってるんですよ。
唐人
(
とうじん
)
の寝ごとみたいな……じゃ、あたしゃ先に寝ますよ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あなたは私をもっと理解して下さらなければ駄目よ。私が小柴さんを引き寄せて御指導するのは
酔狂
(
すいきょう
)
じゃありませんわ。皆あなたの為めよ。私の為めもありますけれど」
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
陸尺どもは、先生はあいかわらず
酔狂
(
すいきょう
)
だと口々に囃しながら、部屋つづきへひきあげて行く。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……いくらあっしが
酔狂
(
すいきょう
)
でも、
若旦那
(
わかだんな
)
を
知
(
し
)
らねえ
家
(
いえ
)
の
垣根
(
かきね
)
まで、
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
って
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
ァありませんや。
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
自慢
(
じまん
)
の
案内役
(
あんないやく
)
、こいつばかりゃ、たとえ
江戸
(
えど
)
がどんなに
広
(
ひろ
)
くッても——
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と
罵
(
のゝし
)
るを侍は
頻
(
しき
)
りにその
酔狂
(
すいきょう
)
を
宥
(
なだ
)
めて
居
(
い
)
ると、往来の人々は
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「死ぬ者は勝手に死ぬとは、ようもまあ、そのようなお言葉が……なるほどわたくしは
賤
(
いや
)
しい歌うたいでございますから、勝手に出まかせに歌もうたいましょうけれど、お死になさる人は決して
酔狂
(
すいきょう
)
でお死になさるのではございません」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
男の
酔狂
(
すいきょう
)
を笑いながら、しかし、女も
満更
(
まんざ
)
ら好奇心がない訳でなく、蝋燭のついた行燈を取って、男の手の上にさしつけてやるのであった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「お! こりゃア
喧嘩渡世
(
けんかとせい
)
の旦那じゃアござんせんか——
何
(
なん
)
ぼ
酔狂
(
すいきょう
)
でも、そんな妙ちきりんな
服装
(
なり
)
をしていなさるから。いやどうも、
茨右近
(
いばらうこん
)
さまにかかっちゃアかないませんや」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「おや、何んて
酔狂
(
すいきょう
)
な人なんだろう。あたしのような者に、頼みがあるなんて。——」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「少しは察してくれなければ困るよ。何も
酔狂
(
すいきょう
)
で所望したんじゃないんだから」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
酔狂
(
すいきょう
)
と云えば双方とも酔狂である。藤尾は何とも答えなかった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「殿村君、君の
酔狂
(
すいきょう
)
にも困るね。お
上
(
かみ
)
のことはお上に任せて置き給え。小説家の
俄
(
にわか
)
刑事なんかが成功する筈はないのだから」
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それに、お園の名は武家社会へさえ知れ渡っているから、
酔狂
(
すいきょう
)
に引き
請
(
う
)
けた山城守だったが、
伝手
(
つて
)
を求めて申し込んで来る若侍の多いのに、却って山城守が当惑したくらいだった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あたしゃ
酔狂
(
すいきょう
)
で、お
前
(
まえ
)
さんをここへ
通
(
とお
)
したんじゃないんだよ。おせんが
隠
(
かく
)
れて
逢
(
あ
)
っているという、
相手
(
あいて
)
の
男
(
おとこ
)
を
知
(
し
)
りたいばっかりに、
見世
(
みせ
)
の
者
(
もの
)
の
手前
(
てまえ
)
も
構
(
かま
)
わず、わざわざ二
階
(
かい
)
へあげたんじゃないか。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もうその時分車なんかありやしない、テクテクと、十何町の道を、行きつけの
待合
(
まちあい
)
へ歩いた。
酔狂
(
すいきょう
)
な男もあったものだ。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「お侍さん、何ぼお困りでも、あんまり
酔狂
(
すいきょう
)
が過ぎましょうぜ。」
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼が出発の時から、
酔狂
(
すいきょう
)
な変装をしていたのも、実はこの目的のためであった。たとえ親子であっても、この暗闇の中で、変装に気づくはずはない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「いたずら? フフフ、いたずらよりゃ少し気の利いたことだよ。
酔狂
(
すいきょう
)
にこんな下らない変装なんぞするものか」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうかと云って、別荘の人々の中に、煙突の中をもぐるような
酔狂
(
すいきょう
)
な人物がいようとは考えられぬ。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「それも駄目です。そんなことを頼めば、なぜ秘密を打開けたかと、僕が叱られますよ。あなたは一人でいらっしゃい。でなければ、
酔狂
(
すいきょう
)
な真似はおよしになった方がよいでしょう」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「アア、又君の
酔狂
(
すいきょう
)
か。それはいいが、肝腎のあいつを逃がしてしまったじゃないか。指環よりも、あいつの方が大切だ、証拠
湮滅
(
いんめつ
)
にやって来るからは、あいつこそ犯人かも知れない」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若しや犯人は、我れと我が殺害した死人を弔う為に、
横笛
(
フリュート
)
の
弔歌
(
ちょうか
)
を
奏
(
かな
)
で、野菊の花束を贈ったのではないだろうか。だが、どこの世界に、その様な
酔狂
(
すいきょう
)
な手数をかける犯罪者があるであろう。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その文面はね「今夜十二時の時計を合図に貴殿の手許に集っている寄附金を頂戴に
推参
(
すいさん
)
する。御用意を願う」というのです。随分
酔狂
(
すいきょう
)
な奴もあったもので、泥坊の予告をして来たのですよ。どうです。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「フム、わしにもさっぱり訳が分らん、こんな男は見たこともない。又、わしの娘が、いくら
酔狂
(
すいきょう
)
でも、こんなゴリラみたいな醜い奴と結婚などする訳がないじゃないか。いたずらだ。誰かのいたずらに極まっている」
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
考えて見れば僕という男も
酔狂
(
すいきょう
)
さね。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“酔狂”の意味
《名詞》
酔狂(すいきょう)
酒などに酔い狂うこと。
物好き。好事。
《形容動詞》
物好き。
(出典:Wiktionary)
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
狂
常用漢字
中学
部首:⽝
7画
“酔狂”で始まる語句
酔狂者