追善つゐぜん)” の例文
饅頭まんぢゆうが唯ひとつ寂し相に入つてゐる汁で飯を食べたことなどもある。して、そこで勧められるままに、父の追善つゐぜんのために廻向ゑかうをしてもらつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
相守り悴道之助養育やういくに及びまかり在候段神妙しんめうの至りに候之に依て夫道十郎儀罪科ざいくわ悉皆こと/″\差許さしゆるされ候追善つゐぜん供養くやう勝手かつて次第爲可なるべく且又御褒美はうびとして銀二枚取せ遣はす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一寸ちよつとくとだれでもおもふだらう、ところちがふんだ、客筋きやくすぢのぢやない。みんな師匠ししやう追善つゐぜんなんだ。」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
深川の材木問屋春木屋の主人治兵衞が、死んだ女房の追善つゐぜんに、檀那寺だんなでらなる谷中の清養寺の本堂を修理し、その費用三千兩を吊臺にせて、木場から谷中まで送ることになりました。
幾度いくどけてもチヤンと、存生中ぞんしやうちゆう物言ものいとほり、音色おんしよくはつするのだから其人そのひとふたゝ蘇生よみかへつ対話たいわでもするやうな心持こゝろもちになるのだから、おほきにこれ追善つゐぜんためからうと考へられまする。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……おゝ、チッバルト、足下おぬし其處そこにゐるか、みたまゝで? まだ嫩若うらわか足下おぬし眞二まッぷたつにしたそのおなで、たうかたき切殺きりころしてしんぜるが、せめてもの追善つゐぜんぢゃ。從兄いとこどの、ゆるしてくれい。
なし七日々々の追善つゐぜん供養くやういと念頃ねんごろとむらひ兄弟にぞこもりける然るに半四郎はかねての孝心ゆゑ親の亡後なきあとは兄の半作を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
追善つゐぜんのあつた今夜こんやだし、墓參はかまゐりするみちだらう。まあ清水しみづで、」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一日も早く成長せいちやうさせて藤崎の家を再興さいこうせらるゝが佛へたいし何よりの追善つゐぜんなりと言諭いひさとされてくやし涙に暮ながら唯此上はせがれ道之助が一日も早く成長なしふだつじにて十兵衞とやらを殺害なしたる本人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こゝろざほとけ追善つゐぜんをしたのさ。藝者げいしやたちが感心かんしんぢやないか。」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)