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跳返
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はねかへ
若旦那勃然として
怒るまいか。あと
退りに
跳返つた、
中戸口から、
眞暗に
成つて
躍込んだが、
部屋の
扉の
外に
震へる
釘の
如くに
突立つて、
拳を
握りながら
途端、
目標を外れた銀貨はチチンと小石に
衝突つて、
跳返つて、
囘轉つてベタリ。
指貫き候ひぬ然ども勇氣の喜内樣故
刺れながらも
跳返し給ひ短刀にて唯一
討にと
切掛給ひしが御病中と云
深手を
負れし上なれば御
眼眩みて吾助が
小鬢を少し斬れしのみ
折柄燈火消ければ吾助は是を
其處には
鰌がちよろ/\と
跳返りつゝ
其身を
慌しく
動かして
居る。さうすると
彼等は
孰も
聲を
立てゝ
騷ぎながら、
其の
小さな
泥だらけの
手で
捉へようとしては
遁げられつゝ
漸くのことで
笊へ
入れる。
沈光頂よりひつくりかへりざまに
梯子を
控へたる
綱を
握り、
中空より
一たび
跳返りて
劍を
揮ふと
云へり。それ
飛燕は
細身にしてよく
掌中に
舞ふ、
絶代の
佳人たり。
沈光は
男兒のために
氣を
吐くものか。