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赫耀
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かくえう
まして、
大王の
膝がくれに、
婆は
遣手の
木乃伊の
如くひそんで、あまつさへ
脇立の
座の
正面に、
赫耀として
觀世晉立たせ
給ふ。
小兒衆も、
娘たちも、
心やすく
賽してよからう。
海も
緑の
酒なるかな。
且つ
見る
後苑の
牡丹花、
赫耀として
然も
靜なるに、
唯一つ
繞り
飛ぶ
蜂の
羽音よ、
一杵二杵ブン/\と、
小さき
黄金の
鐘が
鳴る。
疑ふらくは、これ、
龍宮の
正に
午の
時か。
灼熱の
天、
塵紅し、
巷に
印度更紗の
影を
敷く。
赫耀たる
草や
木や、
孔雀の
尾を
宇宙に
翳し、
羅に
尚ほ
玉蟲の
光を
鏤むれば、
松葉牡丹に
青蜥蜴の
潛むも、
刺繍の
帶にして、
驕れる
貴女の
裝を
見る。