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赤樫
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あかがし
ふりがな文庫
“
赤樫
(
あかがし
)” の例文
陸
(
おか
)
の麦畑の間にある
路
(
みち
)
から、
中脊
(
ちゅうぜい
)
の
肥満
(
ふと
)
った
傲慢
(
ごうまん
)
な顔をした長者が、
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を
引摺
(
ひきず
)
るようにしてあるいて来るところでありました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
アパートのどの窓からも殆んど
覗
(
うかが
)
う事の出来ない程に鬱蒼たる
櫟
(
くぬぎ
)
や
赤樫
(
あかがし
)
の雑木林にむっちりと包まれ、そしてその古屋敷の周囲は
石塀幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
五尺もありそうな
赤樫
(
あかがし
)
の木剣をつき出し、巨大な眼をかっとみひらいて、杢助の眼をかっきりと睨みながら、一歩、二歩と進んで来た。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「別に申上げなくてもお察し下さいましな。私だつて何時までも
赤樫
(
あかがし
)
に居たいことは無いぢやございませんか。さう云ふ訳なのでございます」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
この分だと、貫一の着た高等学校の制服だの、
赤樫
(
あかがし
)
の持った
鰐皮
(
わにがわ
)
のカバンまで探して来るかも知れない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜や
躑躅
(
つつじ
)
と
異
(
ちが
)
って「
綾
(
あや
)
になった木目を持つ
赤樫
(
あかがし
)
」
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と一尺八寸の小太刀をとって重蔵が立つと同時に、大月玄蕃も
赤樫
(
あかがし
)
の木剣の柄へ両手がかかった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千兩箱は最初から蓋だけ二重になつて居り、薄板の
赤樫
(
あかがし
)
の上側の蓋を拔き取つて、打敷の下に隱せば、その下から分厚な薄汚れた千兩箱が出て來る仕掛になつて居りました。
銭形平次捕物控:274 贋金
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう云ったのは石渡三蔵で、上段の間からヒラリと下りると壁にかけてあった
赤樫
(
あかがし
)
の木剣、
手練
(
てだれ
)
が使えば真剣にも劣らず人の命を取るという
蛤刃
(
はまぐりば
)
の太長いのをグイと握って前へ出た。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小三郎も仙太の
侠気
(
おとこぎ
)
に感服して逢いたいと思う二人が、知らぬ事とは申しながら、仙太郎が
赤樫
(
あかがし
)
の半棒で打込みましたが、武辺の心得ある侍は油断のないもので、片手に番傘を持ったなり
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
美田
(
みた
)
の源次が
堀川
(
ほりかは
)
の功名に
現
(
うつゝ
)
を
拔
(
ぬ
)
かして
赤樫
(
あかがし
)
の木太刀を振り舞はせし十二三の昔より、
空肱
(
からひぢ
)
撫
(
な
)
でて長劒の輕きを
喞
(
かこ
)
つ二十三年の春の
今日
(
けふ
)
まで、世に畏ろしきものを見ず、
出入
(
いでい
)
る息を
除
(
のぞ
)
きては
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
木理
(
もくめ
)
美
(
うるわ
)
しき
槻胴
(
けやきどう
)
、縁にはわざと
赤樫
(
あかがし
)
を用いたる岩畳作りの
長火鉢
(
ながひばち
)
に
対
(
むか
)
いて話し
敵
(
がたき
)
もなくただ一人、少しは
淋
(
さび
)
しそうに
坐
(
すわ
)
り居る三十前後の女、男のように立派な
眉
(
まゆ
)
をいつ
掃
(
はら
)
いしか
剃
(
そ
)
ったる
痕
(
あと
)
の青々と
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
小宮山は
切歯
(
はがみ
)
をなして、我
赤樫
(
あかがし
)
を割って八角に削りなし、鉄の輪十六を
嵌
(
は
)
めたる棒を携え、
彦四郎定宗
(
ひこしろうさだむね
)
の刀を帯びず、三池の伝太
光世
(
みつよ
)
が
差添
(
さしぞえ
)
を
前半
(
まえはん
)
に
手挟
(
たばさ
)
まずといえども、男子だ、しかも江戸ッ児だ
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「一滴でも油を
滴
(
こぼ
)
したら、これだぞ」と云って、長者は傍に置いてある
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を
揮
(
ふ
)
って見せました。長者はその
明
(
あか
)
りで酒を飲んでおりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
派手な色柄の武者
袴
(
ばかま
)
に水浅黄の小袖を着、
襷
(
たすき
)
、鉢巻をして、
赤樫
(
あかがし
)
の稽古
薙刀
(
なぎなた
)
を持っている。口上が済むと、舞台の一方に三人の男があらわれ、紅白の
毬
(
まり
)
を取って美若太夫に投げる。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あの
赤樫
(
あかがし
)
の
別品
(
べつぴん
)
さんね、あの人は悪い
噂
(
うはさ
)
が有るぢやありませんか、聞きませんか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ブーンと
右手
(
めて
)
の
赤樫
(
あかがし
)
が虚空に唸って、地に落ちるかと思うと中段にピタリと止まる。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇津木文之丞は生年二十七、
下
(
さが
)
り
藤
(
ふじ
)
の
定紋
(
じょうもん
)
ついた小袖に、
襷
(
たすき
)
を
綾
(
あや
)
どり
茶宇
(
ちゃう
)
の袴、三尺一寸の
赤樫
(
あかがし
)
の木刀に牛皮の
鍔
(
つば
)
打ったるを携えて、雪のような白足袋に
山気
(
さんき
)
を含んだ軟らかな広場の土を踏む。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仙太郎が欄間に掛ってありました
赤樫
(
あかがし
)
の半棒を取って、そッと忍んで、二階の梯子段を下り、縁側伝いに来て障子の外から覗いて見ますると、三人ともきら/\する長いのを政七の鼻の先へ突き附け
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
長者は太い
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を持って、
日毎
(
ひごと
)
に奴隷の前にその姿を見せました。赤樫の杖は、時とすると、奴隷どもの肩のあたりに蛇のように
閃
(
ひらめ
)
きました。奴隷どもはその杖を非常に恐れました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貫一は
為
(
せ
)
う事無しに
煙
(
けふり
)
を吹きつつ、この
赤樫
(
あかがし
)
の客間を夜目ながら
眗
(
みまは
)
しつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
木は
赤樫
(
あかがし
)
で、四尺七、八寸ある。櫂なので握りも太い。これに水分が加わっていたら普通の力では振るには困難であるし、正眼に持っていたら、支えているうちに疲れてしまうだろうと思われる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“赤樫(アカガシ)”の解説
アカガシ(赤樫、学名:Quercus acuta)はブナ科コナラ属の常緑広葉樹。別名、オオガシ(大樫)、オオバガシ(大葉樫)、アツバアカガシ、オオアカガシ、キクアカガシ、ヒメアカガシ。かたくて赤褐色の材は和名の由来となり、車両や船舶、三味線の棹、木刀にも使われる。
(出典:Wikipedia)
赤
常用漢字
小1
部首:⾚
7画
樫
漢検準1級
部首:⽊
15画
“赤樫”で始まる語句
赤樫満枝
赤樫蛤刃
赤樫様
赤樫権三郎