謹慎きんしん)” の例文
ナブウ神の熱烈ねつれつ讃仰者さんぎょうしゃで当時第一流の文化人たる大王にしてみれば、これは当然のことである。老博士は即日そくじつ謹慎きんしんを命ぜられた。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この点に謹慎きんしんし、修養していれば、一時いかなる非難非譏ひきを受けたとても、何らの弁解を試みずしてく晴天白日の身となり得ると思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「わしは船長として貴様にめいずる。只今からのち貴様は本船内で一語もしゃべってはならん。しかと命令したぞ。下へいって、謹慎きんしんしておれ」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いかに口賢くちがしこく申しても、元親は断じて、秀吉にこうは乞わぬ。一ノ宮へは、他の者を守将にやる。そちはもう行くな。忠兵衛、謹慎きんしん申しつけるぞ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分から先に髪を刈って坊主になったので、皆もいさぎよくそろって丸坊主になり、謹慎きんしんの意を表したとのことでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
退学は少くも五六名、停学は十名以上で、その他は謹慎きんしんだ、といったような、恐ろしく刺戟的なものもあった。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
敵味方相対あいたいしていまだ兵をまじえず、早くみずから勝算しょうさんなきをさとりて謹慎きんしんするがごとき、表面には官軍に向て云々うんぬんの口実ありといえども、その内実は徳川政府がその幕下ばっかたる二
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
獄裡にあっても謹慎きんしんしていたが、強度のヒステリーのために、夜々よよ殺したものに責められるように感じて、その命日になると、ことに気が荒くなっていたということであった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さても頼みがたきは人の生命いのちかな、女史は妾らの入獄せしより、ひたすら謹慎きんしんの意を表し、耶蘇ヤソ教に入りて、伝道師たるべく、大いに聖書を研究し居たりしなるに、迷心執着の妾はきて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
教職員を指揮して重要書類を保護させ、防火に尽力せしめた沈着勇敢な態度は人々の賞讃する処となったが、事後、三番町の下宿に謹慎きんしんして何人にも面会せず、怏々おうおうとしてやつれ果てているので
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なに、そんなことはない⁈ 謹慎きんしん四日、わかったか」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
と二人は大いに謹慎きんしんしている。その中に西川老は
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「一応、ご帰館はさしつかえない。しかし、再度のお沙汰までは、自邸において、謹慎きんしんあるべしとの上意でおざる」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一度この声がとどろくと、彼等は一切いっさいの仕事をめて謹慎きんしんし、しき気をはらわねばならぬ。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
右のごとき謹慎きんしんを加えなかった者に比すれば失態を演ずることが少ない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
姉婿さえ譴責けんせきを加えられ、しばら謹慎きんしんを表する身の上とはなりぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ただもう自己の謹慎きんしんを述べて、彼の疑いを一掃しようとするものであった。人々が、残念がるのもむりはなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで謹慎きんしんするようになってから、はじめて、彼は、自分がこのひと月狂乱にとりまぎれておの畢生ひっせいの事業たる修史しゅうしのことを忘れ果てていたこと、しかし、表面は忘れていたにもかかわらず
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「おられまする。——以来、おらぬような謹慎きんしんをされていますが、奥のほうに」と、役人の一人が答えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊那丸以下いなまるいかのひとびとは、あのそうどうのあったばんから、御岳みたけの一しゃ謹慎きんしんして、神前しんぜんをけがしたつみしゃすために、かわるがわる垢離堂こりどうの前で水垢離みずごりをとった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも詭弁とは分っているが、もともと鴨一羽ぐらいで大事な臣下を殺したくないのが謙信の本心であったろうから、何とはなく、謹慎きんしん程度でゆるされてしまった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしは、今日限り、お役目を退き、生涯しょうがい謹慎きんしんと、肚を決めた。——だが、それだけでは相済まぬ。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は先刻、殿中で直諫ちょっかんした為、謹慎きんしんを命じられていたのであるが、当番役ではあるし、初めから吟味にも当っていたので、譴責けんせきを解かれて、副使として臨んだのであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先帝、臣が謹慎きんしんなるを知る、故に崩ずるにのぞみて、臣によするに大事を以てしたまいぬ。命をうけて以来、夙夜しゅくや憂歎し、付託のこうあらずして、以て先帝の明を傷つけんことを恐る。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神官はまた、ほうによって、伊那丸いなまるや民部や、龍太郎りゅうたろうやすべて、忍剣と道づれである者を六人とも、垢離堂こりどうらっして、謹慎きんしんすべきようにめいじた。これも、おきてとあればいなむことができない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上屋敷から根岸ねぎしの別邸へ移されて、謹慎きんしんという、きびしい命をうけました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神縄しんじょうにかけて山毛欅ぶなの上にしばりつけた怪僧かいそう加賀見忍剣かがみにんけんであり、同時に、それいらい、垢離堂こりどういたに二十一にちかん謹慎きんしんをまもっている人々こそまさしく信玄公しんげんこうのおまご伊那丸君いなまるぎみであり
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親戚の他の大岡十家も、みな閉門へいもん謹慎きんしんやくに会った。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謹慎きんしん
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)