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諸方
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しよはう
初め立戻り皆々
爐の
端へ集まりぬ此時左京は大膳に向ひ貴殿の
御異見に
隨はず
我意に
募て參りしか此雪で往來には
半人の
旅客もなし夫ゆゑ
諸方を
駈廻り漸く一人の
旅人を
神主宮氏の家に
貞和文明の頃の
記録今に
存せり。
当主は
文雅を
好、
吟詠にも
富り、
雅名を
正樹といふ。
余も
同好を以て
交を
修む。
幣下と
唱る
社家も
諸方にあまたある大社也。
アヽ
当家でも
此頃斯いふ
営業を始めたのぢや、
殿様も
退屈凌ぎ——といふ
許でもなく
遊んでも
居られぬから
何がな
商法を、と
云ふのでお
始になつたから、
何うかまア
諸方へ
吹聴して
呉んなよ。
態と知らせて
馬鹿がらせて
悦ばせれば、
大面先生横平たく、
其面を
振り
廻し、
菊塢は
可笑い
奴だ、今度の会は
彼処で
催してやらうと
有難くない
御託宣、これが
諸方へ
引札となり、
聞人達の
引付で
此男は
書畫骨董の
道に
明るいとかいふので、
平生そんなものの
賣買の
周旋をして
諸方へ
出入するさうであつたが、すぐさま
叔父の
依頼を
引き
受けて、
誰某が
何を
欲しいと
云ふから、
一寸拜見とか
何うも
諸方から
頼まれたと見えまして、
大分に
宜いお客様もございます。