角笛つのぶえ)” の例文
このとき、子供こどもは、ふところなかから角笛つのぶえしました。そして、きた野原のはらかって、プ、プー、プ、プー、とらしたのです。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私の保護者は、自分の席にのぼつて、角笛つのぶえを鳴らした。さうして、私たちは、エル町の「石だらけの道路みち」を、がら/\と通つていつた。
黄金きん角笛つのぶえ」と云う宿屋の酒場。酒場のすみには王子がパンをじっている。王子のほかにも客が七八人、——これは皆村の農夫らしい。
三つの宝 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして宋江や燕順がそれを止めるのもきかばこそ、槍や刀をかつぎ出し、銅鑼どら角笛つのぶえ音脅おとおどしも物々しく、女狩りに出て行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
車掌が豆腐屋のような角笛つのぶえを吹いていたように思うが、それはガタ馬車の記憶が混同しているのかもしれない。実際はベルであったかもしれない。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ヒツジ飼いがそれをもって、王さまのまえにでますと、角笛つのぶえはまたまた歌をうたいはじめました。王さまには、その歌の意味がよくわかりました。
そのとき、ひとこえ角笛つのぶえのひびきが、海の水をわたって来ました。そのをききながら、ひいさまはおもいました。
……おお楽の音がする! 手太鼓の音が! 角笛つのぶえの音が! ……ご覧よご覧よ大きな乳房を! ご覧よご覧よ太い股を! ご覧よご覧よ逞しい腕を! 髪を
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
またかの車軸——第一の輪これがまはりをめぐる——のはしより起る角笛つのぶえの口をゑがきみよ 一〇—一二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ほかにシュルスヌスの歌った「子供の不思議ふしぎ角笛つのぶえ」がある(ポリドール四五一二九)。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
水車はそのにぶい音をやめ、馬車屋は村のはずれで、角笛つのぶえをふくのをやめるのでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
エルナニの恋のうたげに恐しき死の角笛つのぶえの響きくるかな
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
耳につく角笛つのぶえ、なんとまあ餘韻よゐんの深いおとだらう……
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
子供こども角笛つのぶえいて、きたきたへと、おおかみのれとともにあたまうえそらには、黒雲くろくもがわいて、かみなりがとどろいていたのであります。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
角笛つのぶえを吹き、大鉦おおがねを鳴らし、時には蛮鼓ばんこを打ち鳴らしなどして、南蛮勢は以後毎日のように、陣門の外まで寄せてきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠くで角笛つのぶえの音がする。やがて犬の吠声、駒のひづめの音が聞えて、それがだんだんに近付いて来る。みぎわの草の中から鳥が飛び立って樹立こだちの闇へ消えて行く。
ある幻想曲の序 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
第一の盗人 森の外へ出さえすれば「黄金きん角笛つのぶえ」という宿屋があります。では御大事にいらっしゃい。
三つの宝 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
角笛つのぶえのひびき、犬のほえ声、狩人かりゅうどたちのたのしそうなさけび声が、木ぎのあいだにひびきわたりました。
お日さまは、さわやかに晴れた青空の上からあたたかく照りかがやいて、峰と峰とのあいだから、りょうしの吹く角笛つのぶえが、いかにもおもしろく、たのしくきこえました。
ガラッ八はもう忠実な猟犬が、角笛つのぶえの音を聞かされた時のように勇み立っております。
角笛つのぶえ高く耳にひゞきて我にその行方ゆくへを溯りつゝ目を一の處にのみむけしめき —一五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
トントン、トンテンと、もう角笛つのぶえも鳴つて了つた。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
すぐ鼓楽こがく角笛つのぶえのうちに官兵の旗は列をととのえ、二輛の檻車を中にくるんで鎮台大門から整々せいせいとして出て行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかしの騎士きしと貴婦人たちが、ウマに乗って、森を通っていきます。帽子には羽かざりをつけ、手にはタカをとまらせています。狩りの角笛つのぶえがひびきわたり、イヌがワンワンほえたてました。
あくる朝になりますと、またりがはじまりました。子ジカは、ふたたび、角笛つのぶえのひびきや、ホウ、ホウという狩人かりゅうどたちのかけ声を耳にしますと、じっとしていられなくなりました。そして
角笛つのぶえが、角笛つのぶえが——悲しい……
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのうちに集結の角笛つのぶえが聞えたので、一同むなしく引揚げた。この日の戦果は予想外に大きかった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりともまだ年若く、そのためふたりのは山々をこえて、はるかかなたの世間のほうへ飛んで行きました。旅行馬車が一台、下の国道を走っていました。馬車の角笛つのぶえが鳴りわたりました。
「あの角笛つのぶえをきくとね、いても立ってもいられないみたいなんだ。」
と、たちまちわっと揚がる金鼓きんこ銅鑼どら角笛つのぶえのあらしを分けて、梁軍りょうぐんのうちから丈八の蛇矛ほこを横たえ持った林冲をまん中に、秦明しんめい、花栄の二将が、左右に添って、馬を進め
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして、その骨をけずって、じぶんの角笛つのぶえの口にしました。
すい角笛つのぶえとともに、龐統は一軍をあつめて、徐々じょじょ、涪水関の下へ近づいて行った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのために西涼軍は、せっかくの戦を半ばにして、角笛つのぶえ吹いて退いてしまった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)