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『ある幻想曲の序』
ふりがな文庫
『
ある幻想曲の序
(
あるげんそうきょくのじょ
)
』
何もない空虚の闇の中に、急に小さな焔が燃え上がる。墓原の草の葉末を照らす燐火のように、深い噴火口の底にひらめく硫火の舌のように、ゆらゆらと燃え上がる。 焔の光に照らされて、大きな暖炉の煤けた空洞が現われる。焔は空洞の腹を嘗めて頂上の暗い穴に …
著者
寺田寅彦
ジャンル
文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出
「明星 第四巻第二号」1923(大正12)年8月1日
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約3分(500文字/分)
朗読目安時間
約5分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
凄
(
すさ
)
相
(
あい
)
嘗
(
な
)
樹立
(
こだち
)
汀
(
みぎわ
)
煤
(
すす
)
角笛
(
つのぶえ
)
角逐
(
かくちく
)
蹄
(
ひづめ
)
靄
(
もや
)
鶯
(
うぐいす
)