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薬玉
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くすだま
ふりがな文庫
“
薬玉
(
くすだま
)” の例文
旧字:
藥玉
いや、そう思っていたら、六条河原の柳の枝に、焼けていない鳥羽蔵の首だけが、ぶらんと、
薬玉
(
くすだま
)
みたいに、葉柳の中から
枝垂
(
しだ
)
れていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
特
(
こと
)
に此頃流行の何玉何々玉といふ類、まるで
薬玉
(
くすだま
)
かなんぞのやうなのは、
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
から出戻りの種で、余り好い感じがしないが
菊 食物としての
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
けば/\しい
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の
衣桁
(
いこう
)
だの、虫食いの
脇息
(
きょうそく
)
だの、これ等を部屋の常什物にして、大きなはい/\人形だの
薬玉
(
くすだま
)
の飾りだの、
二絃琴
(
にげんきん
)
だの
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
中央の太き柱は
薬玉
(
くすだま
)
および小旗を
以
(
も
)
って飾られ、無数の電灯は
四方
(
あたり
)
に輝きて
目映
(
まばゆ
)
きばかり。当夜の料理は前壁に対せし一列の食卓に配置さる。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
絢爛
(
けんらん
)
な
薬玉
(
くすだま
)
を幾
条
(
すじ
)
も
聯
(
つら
)
ねたようです。城主たちの夫人、姫、奥女中などのには金銀珠玉を
鏤
(
ちりば
)
めたのも少くありません。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ただ、黒い河水の表面に、
南瓜
(
かぼちゃ
)
とも
薬玉
(
くすだま
)
とも見える円い物がひとつ動くとも漂うともなく浮かんでいるだけ——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
三年めの正月が近づき、香料を袋に入れた
薬玉
(
くすだま
)
が五色の糸で飾られ、柱から美しい造花にまもられて垂れた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ファンから貰ったかあるいは貰った感じのなになにさん
江
(
え
)
と書いた可愛い
薬玉
(
くすだま
)
とか、その他少女の好みそうな小さな玩具が、いかにも大事そうに置いてある。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
彼女
(
かれ
)
は四角に畳んだ
濡
(
ぬ
)
れ手拭で幾たびか
煩
(
うる
)
さそうに叩きつけると、高い島田の根が抜けそうにぐらぐらと揺らいで、紅い
薬玉
(
くすだま
)
のかんざしに銀の長い
総
(
ふさ
)
がひらひらと乱れてそよいだ。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
緋と水色の縮緬でこしらへた
薬玉
(
くすだま
)
の簪ももつてゐた。お国さんはなにか新しいのを買つてもらふと自慢してみせておきながらよく見ようとすれば袂へかくしたりして人を
焦
(
じ
)
らせる。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
つまみの
薬玉
(
くすだま
)
の
簪
(
かんざし
)
の長い房が頬の横でゆれて、羽織をきないで、小さい前かけ位な
友禅
(
ゆうぜん
)
ちりめんの小ぶとんに、緋ぢりめんの
紐
(
ひも
)
のついたのを背にあてて、紐を胸でむすんでさげていた。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
外に小さな箱に入れて、立てかけたのもありますし、小さな硝子の簪などは、幾本かを一緒に筒に立ててあります。大きな
撮細工
(
つまみざいく
)
の
薬玉
(
くすだま
)
に、いろいろの絹糸の房を下げたのが綺麗です。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その家は公園から
田原町
(
たわらまち
)
の方へ抜ける狭い横町であったがためだという話である。観客から
贔屓
(
ひいき
)
の芸人に贈る
薬玉
(
くすだま
)
や
花環
(
はなわ
)
をつくる造花師が
入谷
(
いりや
)
に住んでいた。この人も三月九日の夜に死んだ。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして卓子の上と彼女の帯の
薬玉
(
くすだま
)
模様とに、視線を往き来さしていた。
道化役
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
今日は美しく作った
薬玉
(
くすだま
)
などが諸方面から贈られて来る。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
やどり木の
薬玉
(
くすだま
)
かがる春あさき欅の雨も見の親しかも
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「うるさいのね、さあ、これでいいの」彼女は柚木が本気に自分を見入っているのに満足しながら、
薬玉
(
くすだま
)
の
簪
(
かんざし
)
の垂れをピラピラさせて云った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
細
(
ほっそ
)
りした姿で、薄い色の
褄
(
つま
)
を引上げ、腰紐を直し、伊達巻をしめながら、襟を
掻合
(
かきあ
)
わせ掻合わせするのが、茂りの
彼方
(
かなた
)
に枝透いて、
簾
(
すだれ
)
越に
薬玉
(
くすだま
)
が消えんとする。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うるさいのね、さあ、これでいいの」彼女は柚木が本気に自分を見入っているのに満足しながら、
薬玉
(
くすだま
)
の
簪
(
かんざし
)
の垂れをピラピラさせて云った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お孝が一声応ずるとともに、崩れた褄は小間を落ちた、片膝立てた段
鹿
(
か
)
の子の、浅黄、
紅
(
くれない
)
、
露
(
あら
)
わなのは、取乱したより、
蓮葉
(
はすは
)
とより、
薬玉
(
くすだま
)
の
総
(
ふさ
)
切れ切れに、美しい玉の緒の
縺
(
もつ
)
れた
可哀
(
あわれ
)
を
白々地
(
あからさま
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さそくの
躾
(
たしな
)
みで
前褄
(
まえづま
)
を踏みぐくめた雪なす
爪先
(
つまさき
)
が、死んだ蝶のように落ちかかって、帯の
糸錦
(
いとにしき
)
が
薬玉
(
くすだま
)
に
飜
(
ひるがえ
)
ると、
溢
(
こぼ
)
れた
襦袢
(
じゅばん
)
の
緋桜
(
ひざくら
)
の、
細
(
こまか
)
な
鱗
(
うろこ
)
のごとく流れるのが、さながら、
凄艶
(
せいえん
)
な
白蛇
(
はくじゃ
)
の化身の
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“薬玉(くす玉)”の解説
くす玉(薬玉、久寿玉、くすだま)は、原義ではや薬草、香草、香料を錦の袋に詰めて、その袋に造花などで飾り付けし、五色の糸でたらした入れ物で延命長寿、無病息災の願いが込められている。現在ではイベント用の装飾、特に割り玉を指す。また、紙で作られた同形の花を球体に貼り合せた立体の折り紙を指すこともある。
(出典:Wikipedia)
薬
常用漢字
小3
部首:⾋
16画
玉
常用漢字
小1
部首:⽟
5画
“薬”で始まる語句
薬
薬研
薬鑵
薬罐
薬研堀
薬師
薬餌
薬売
薬缶
薬屋