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華麗
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はなやか
ふりがな文庫
“
華麗
(
はなやか
)” の例文
キュウカンチョウだの
鸚鵡
(
おうむ
)
だの、絵でしか見たことのないゴクラク鳥だの、見たことも聞いたこともない
華麗
(
はなやか
)
な蝶だのが居りました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
灰色の毛皮の敷物の
端
(
はし
)
を車の後に垂れて、
横縞
(
よこじま
)
の
華麗
(
はなやか
)
なる
浮波織
(
ふはおり
)
の
蔽膝
(
ひざかけ
)
して、
提灯
(
ちようちん
)
の
徽章
(
しるし
)
はTの花文字を
二個
(
ふたつ
)
組合せたるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
海鼠
(
なまこ
)
の氷ったような他人にかかるよりは、
羨
(
うらやま
)
しがられて
華麗
(
はなやか
)
に暮れては明ける実の娘の月日に添うて墓に入るのが順路である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは他の女達とは比べものにならないような
華麗
(
はなやか
)
な
衣
(
きもの
)
を着ていた。その婦人の一行が近づいてくると、老嫗はそれに指をさしながら青年に向って言った。
賈后と小吏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかも、そのくせ
表面
(
うわべ
)
はと云えば、いかにも美しくいかにも
華麗
(
はなやか
)
に、質朴で正直な田舎の人を誘惑するように出来ております。……それに反してこの笹の平は何んという結構な所でしょう
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
着實な事よりは、
華麗
(
はなやか
)
な事に從ひたがる。温健な事よりは、矯激な事を悦ぶ。理性に殉ふよりは、感情に隨ひたがる。泣くよりは笑ひたがる。愁ふるよりは怡びたがる。勤むるよりは遊びたがる。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
斯
(
か
)
ういふ
他
(
ひと
)
の
談話
(
はなし
)
の間にも、女は高柳の側に倚添つて、耳を澄まして、夫の機嫌を取り乍ら聞いて居た。見れば、美しい女の数にも入るべき人で、
殊
(
こと
)
に
華麗
(
はなやか
)
な新婚の風俗は多くの人の目を引いた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
冷たそうに
燦
(
ぎら
)
つく
肌合
(
はだあい
)
の
七宝
(
しっぽう
)
製の
花瓶
(
かびん
)
、その花瓶の
滑
(
なめ
)
らかな表面に流れる
華麗
(
はなやか
)
な模様の色、卓上に運ばれた銀きせの丸盆、同じ色の角砂糖入と牛乳入
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
虎蔵は自分でも気付かないうちに身を
屈
(
かが
)
めていた。床の上の
華麗
(
はなやか
)
な
露西亜
(
ロシア
)
絨氈
(
じゅうたん
)
の上に
腹匍
(
はらば
)
いになって、ソロソロとその寝台の
脚下
(
あしもと
)
に忍び寄って行った。
何故
(
なぜ
)
ともわからない焦燥を感じながら……。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
粲然
(
ぱつ
)
としたる紋御召の
袷
(
あはせ
)
に
黒樗文絹
(
くろちよろけん
)
の
全帯
(
まるおび
)
、
華麗
(
はなやか
)
に
紅
(
べに
)
の入りたる友禅の
帯揚
(
おびあげ
)
して、
鬢
(
びん
)
の
後
(
おく
)
れの
被
(
かか
)
る
耳際
(
みみぎは
)
を
掻上
(
かきあ
)
ぐる左の手首には、
早蕨
(
さわらび
)
を
二筋
(
ふたすぢ
)
寄せて
蝶
(
ちよう
)
の宿れる
形
(
かた
)
したる例の腕環の
爽
(
さはやか
)
に
晃
(
きらめ
)
き
遍
(
わた
)
りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こんな
華麗
(
はなやか
)
な話を聞くと、私ははたしてそれが自分の宅に起った事か知らんと疑いたくなる。どこか下町の富裕な町家の昔を語られたような気もする。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乾坤
(
けんこん
)
の白きに漂ひて
華麗
(
はなやか
)
に差出でたる日影は、
漲
(
みなぎ
)
るばかりに暖き光を
鋪
(
し
)
きて
終日
(
ひねもす
)
輝きければ、七分の雪はその日に解けて、はや翌日は
往来
(
ゆきき
)
の
妨碍
(
さまたげ
)
もあらず、
処々
(
ところどころ
)
の
泥濘
(
ぬかるみ
)
は打続く快晴の
天
(
そら
)
に
曝
(
さら
)
されて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
顧みれば顧みるほど
華麗
(
はなやか
)
である。小野さんは
趣
(
おもむき
)
が違う。自然の
径路
(
けいろ
)
を
逆
(
さか
)
しまにして、暗い土から、根を振り切って、日の
透
(
とお
)
る波の、明るい
渚
(
なぎさ
)
へ
漂
(
ただよ
)
うて来た。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の隣に坐っていたお重が「大兄さんの時より淋しいのね」と
私語
(
ささや
)
いた。その時は
簫
(
しょう
)
や太鼓を入れて、巫女の左右に入れ
交
(
か
)
う姿も
蝶
(
ちょう
)
のように
翩々
(
ひらひら
)
と
華麗
(
はなやか
)
に見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暗い玄関から急に明るい電灯の
点
(
つ
)
いた
室
(
へや
)
を
覗
(
のぞ
)
いた彼の眼にそれが常よりも
際立
(
きわだ
)
って
華麗
(
はなやか
)
に見えた時、彼はちょっと立ち留まって細君の顔と
派出
(
はで
)
やかな
模様
(
もよう
)
とを等分に
見較
(
みくら
)
べた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女は年に合わして地味なコートを引き
摺
(
ず
)
るように長く着ていた。
敬太郎
(
けいたろう
)
は若い人の肉を飾る
華麗
(
はなやか
)
な色をその裏に想像した。女はまたわざとそれを世間から押し包むようにして立っていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
華
常用漢字
中学
部首:⾋
10画
麗
常用漢字
中学
部首:⿅
19画
“華麗”で始まる語句
華麗厖大