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茶褐色
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ちゃかっしょく
ふりがな文庫
“
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)” の例文
それは二輪の車で、内部は
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の皮で張られ、下には組み合わせ
撥条
(
ばね
)
がついており、ただ郵便夫と旅客との二つの席があるきりだった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その代り一本の
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の煙がすーっと立ちのぼり、
轟々
(
ごうごう
)
たる音をたてて
天空
(
てんくう
)
はるかに舞いあがっていく。その有様は、
竜巻
(
たつまき
)
の如くであった。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
灰色の平たい
渚
(
なぎさ
)
、半ば水に浸った柳の茂み、ゴチック式の塔や黒煙を吐く工場の煙筒などがそびえた都市、
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
葡萄
(
ぶどう
)
の
蔓
(
つる
)
、伝説のある岩石。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の粒々を、彼はそっと嗅ぐようにして見た。すると、甘く、香ばしい匂いが、かすかに感じられて来るのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ほんの少しばかりところどころに
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
に枯れちぢれた花弁のなごりがくっついていたことと、初夏の日ざしがボーイのまっ白な給仕服に照り輝き
B教授の死
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
きらきらと輝くような日光が
眩
(
まぶ
)
しく、細い路地をへだてた隣りの家の
桐
(
きり
)
の花が、紫いろの穂も
褪
(
あ
)
せて散って、
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のただの棒のようになっているのが目に入った。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
ゆうゆうと
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
腹毛
(
はらげ
)
を見せて、そこを
去
(
さ
)
らんともせず、高くも舞わず、
御岳
(
みたけ
)
の空を
旋回
(
せんかい
)
している。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のうら枯れた大木の落葉がちょうど小鳥の
翔
(
かけ
)
るように高い峰と峰との
峡
(
はざま
)
を舞い上がってゆく。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ことに霜に打たれて
蒼味
(
あおみ
)
を失った杉の
木立
(
こだち
)
の
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
が、薄黒い空の中に、
梢
(
こずえ
)
を並べて
聳
(
そび
)
えているのを振り返って見た時は、寒さが背中へ
噛
(
かじ
)
り付いたような心持がしました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「弟ハ妻ガ協力シテコノ追加条項ヲ忠実ニ履行スル保証ヲ得ルニアラザレバ、光子ト結婚スルコトヲ得ズ、」——そうして此処にも
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のしみが点々と
捺
(
お
)
されているのである。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この材の色は赤黒く、まるで桜のように
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
でありますので、最初の白猿を彫ろうという予期を裏切られました。しかし、材質はなかなかよろしく、彫刻には適当でありました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それがずっと打ち絶えていたのであったが、今
蒼
(
あお
)
い炎の熱に沸騰した試験管の液体が、みるみる
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
に変わり、
煤
(
すす
)
のように真黒になって行くのを見ると、ちょっと気落ちがした。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
砲声を前景にした
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のはげた丘、その
急忙
(
きゅうぼう
)
の中を、水筒を肩からかけ、ピストルを腰に巻いて、手帳と鉛筆とを手にして飛んで歩いている一文学者の姿をかれはうらやましく思った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
稲穂は
種々
(
いろいろ
)
で、あるものは
薄
(
すすき
)
の穂の色に見え、あるものは全く草の色、あるものは
紅毛
(
あかげ
)
の房を垂れたようであるが、その中で濃い
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のが
糯
(
もちごめ
)
を作った田であることは、私にも見分けがつく。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
呆気
(
あっけ
)
に取られて見る見る内に、下の方から縮みながら、ぶくぶくと太って行くのは
生血
(
いきち
)
をしたたかに吸込むせいで、
濁
(
にご
)
った黒い滑らかな
肌
(
はだ
)
に
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
縞
(
しま
)
をもった、
疣胡瓜
(
いぼきゅうり
)
のような血を取る動物
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
或いは
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
にぬりつぶしているような気がします。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
するとそのあとから、長い、にょろにょろした
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の棒が、ぽっぽと湯気をたてながら、コック長をおっかけて、彼のくびすじのところへつきあたる。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
刈ったあとには
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
にやけた朽ち葉と根との網の上に、まっ白にもえた茎が、針を植えたように現われた。そして強い土の香がぷんと鼻にしみるように立ちのぼった。
芝刈り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして何より無気味なのは、署名の下に小さな花弁を押したようにひろがっている
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
斑点
(
はんてん
)
であって、同じものが半紙の綴じ目の割り印を
捺
(
お
)
すべき所にも二つぽたぽたとにじんでいる。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
盲縞
(
めくらじま
)
の腹掛け、
股引
(
ももひ
)
きに
汚
(
よご
)
れたる白小倉の背広を着て、ゴムの
解
(
ほつ
)
れたる
深靴
(
ふかぐつ
)
を
穿
(
は
)
き、
鍔広
(
つばびろ
)
なる
麦稈
(
むぎわら
)
帽子を
阿弥陀
(
あみだ
)
に
被
(
かぶ
)
りて、踏ん
跨
(
また
)
ぎたる
膝
(
ひざ
)
の間に、
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
なる
渦毛
(
うずげ
)
の犬の太くたくましきを
容
(
い
)
れて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
バティスティーヌ嬢は穏和なやせた細長い女で、兄よりも少し背が高く、
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の絹の長衣を着ている。それは一八〇六年にはやった色で、その頃パリーで買ってから後ずっと着続けたものである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
枯々とした桑畠に
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
に残った霜葉なぞも左右に吹き
靡
(
なび
)
いていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実は星尾を
押
(
おさ
)
えに行った部下の刑事が、こちらへ護送してくる途中、星尾がソッと
懐
(
ふところ
)
から出して
道端
(
みちばた
)
に捨てたのをいち早く拾いあげたのです。それには
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
汚点
(
おてん
)
がついていました。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
キリレンコよりは大柄であるが、引き締った肉づき、日焼けしたような
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の皮膚の色、
胡麻塩
(
ごましお
)
の濃い毛髪、黒い
瞳
(
ひとみ
)
の色など、日本人に近い感じで、何処やらに船員上りと云った風な様子があった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ぱっと
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の煙があがった。れいのビーカーの中である。博士が、液体薬品のはいった瓶の口をひらいて、ビーカーの中へそそぎこむたびに、茶褐色の煙が大げさにたちのぼるのだった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
というわけは、その
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
楕円形
(
だえんけい
)
の島みたいなものの横腹に、とつぜん窓のようなものがあいたからである。その窓みたいなものが、密林のしげみをもれる太陽の光線をうけて、ぴかりと光った。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
爬虫館の鴨田研究室の
裡
(
うち
)
へツカツカと入って行った帆村探偵は、そこに鴨田氏が
背後
(
うしろ
)
向きになり、ビーカーに入った
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の液体をパチャパチャ
掻
(
か
)
き廻しているのを発見した。外には誰も居なかった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茶
常用漢字
小2
部首:⾋
9画
褐
常用漢字
中学
部首:⾐
13画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“茶褐”で始まる語句
茶褐
茶褐帯