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したい
ふりがな文庫
“
肢体
(
したい
)” の例文
旧字:
肢體
共和政府では、軍隊や大学や国家のあらゆる
肢体
(
したい
)
を実は脅かしてる、それら
乞食
(
こじき
)
坊主や理性の狂信者らの密偵を、内々奨励していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こういう風に、日本の妖怪には切りはなされた
肢体
(
したい
)
を非常に実想的にとりあつかってある。これらも「病的感」「不具感」である。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
一見、黒白混血児とわかる浅黒い肌、きりっとひき締った
精悍
(
せいかん
)
そうな
面
(
つら
)
がまえ、ことに、
肢体
(
したい
)
の
溌剌
(
はつらつ
)
さは
羚羊
(
かもしか
)
のような感じがする。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
さきほどの連想からであろうか、じっと見ていると、それらの曲面が、アヘンの夢に拡大された、巨大な裸女の
肢体
(
したい
)
のように感じられた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そういわれた瞬間、私の
眼底
(
がんてい
)
には、どういうものか、あのムチムチとした
蠱惑
(
こわく
)
にみちたチェリーの
肢体
(
したい
)
が、ありありと浮び上ったことだった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
その中には彼の若い妻もいた。口には抑えているが、心のうちの淋しさは思いやられるのである。抱かれて
慄
(
おのの
)
く彼女の
肢体
(
したい
)
がそれを語っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
熱帯地方の
砂漠
(
さばく
)
の中で、一疋の
獅子
(
しし
)
が昼寝をして居た。
肢体
(
したい
)
をできるだけ長く延ばして、さもだるさうに疲れきつて。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
薄い毛織の初夏の着物を通す薔薇の
棘
(
とげ
)
の植物性の柔かい痛さが適度な
刺戟
(
しげき
)
となつて、をとめの白熱した
肢体
(
したい
)
を刺す。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
感染せる
肢体
(
したい
)
を切除するような、機械的な方法をば、真に、人間の更生と復活と救済の理想に向かって、徹底的に変改してしまう必要はないでしょうか……
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
長く
垢
(
あか
)
じみて、親の金で遊んでいるくせにわれわれプロはという時、甚だうっとうしくなりがちであり、あるいは男のくせに妙に色気を
肢体
(
したい
)
に表してへなへなする時
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
憧
(
あこが
)
れの小柳雅子に、ついに私は会えたのである。その素顔、その
肢体
(
したい
)
を、間近に、いくらでもみつめることができ、なんでも話のできる状態をついに持てたのである。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
小枝がゆれると、雀ははねるようにぴょんと隣りの小枝に飛びうつった。その
肢体
(
したい
)
には、急に若い生命がおどりだして、もうじっとしてはおれないといった
気配
(
けはい
)
である。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
健康そうな
肢体
(
したい
)
と、豊かなパーマネントの姿は、明日の新しいタイプかとちょっと正三の好奇心をそそった。彼は彼女たちの後を追い、その会話を
漏
(
も
)
れ聴こうと試みた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
その怪物の透明な
肢体
(
したい
)
の各部がいろいろ複雑微妙な運動をしている。しかしわれわれ愚かな人間にはそれらの運動が何を意味するか、何を目的としているか全くわからない。
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
どこかお
店者
(
たなもの
)
らしい若者でしたが、遠目に見届けたときのとおり、おりよくもそのときが断末魔へいま一歩という危機一髪のときでしたが、まだ
肢体
(
したい
)
にぬくもりがありましたので
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
悩ましい
肢体
(
したい
)
を惜しげもなく
陽
(
ひ
)
に
晒
(
さら
)
して、海水帽を
除
(
と
)
ってキラキラと
黄金
(
こがね
)
色の髪を振り乱しながら……その二人に囲まれて、ただ私は黙々として上気し切っていたというよりほか
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
頭部に受けし貫一が
挫傷
(
ざしよう
)
は、
危
(
あやふ
)
くも脳膜炎を続発せしむべかりしを、
肢体
(
したい
)
に
数個所
(
すかしよ
)
の傷部とともに、その免るべからざる
若干
(
そくばく
)
の疾患を得たりしのみにて、今や日増に
康復
(
こうふく
)
の歩を
趁
(
お
)
ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
胸の皮膚は
擽
(
くすぐ
)
られ、肉はしまり、血は心臓から早く強く押出された。胸から下の
肢体
(
したい
)
は感触を失ったかと思うほどこわばって、その存在を思う事にすら、消え入るばかりの
羞恥
(
しゅうち
)
を覚えた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
隅田川
(
すみだがわ
)
での恋人、「さくら」が、一足先きに
艇庫
(
ていこ
)
に納まり、各国の競艇のなかに、
一際
(
ひときわ
)
、
優美
(
エレガント
)
な
肢体
(
したい
)
を
艶
(
つや
)
やかに光らせているのをみたときは、なんともいえぬ、
嬉
(
うれ
)
しさで、彼女のお腹を
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
庭の
無花果
(
いちじく
)
の木かげに一枚の
花莚
(
はなむしろ
)
を敷いて、その上でそれ等の赤まんまの花なんぞでままごとをしながら、
肢体
(
したい
)
に殆どじかに感じていた土の
凹凸
(
おうとつ
)
や、何んともいえない土の
軟
(
やわら
)
か味のある一種の弾性や
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
かれはむせかえる女体とにおいに包まれ、うごめく豊満な
肢体
(
したい
)
に接し、人肉の大海に漂うただひとりの男性であった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
国会議事堂の上からころがり落ちた動くマネキン少年人形の
肢体
(
したい
)
とともに、おなじ夜に
紛失
(
ふんしつ
)
した猿田の死体の顔とおなじであったから、ますます
奇怪
(
きかい
)
であった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
男は二十二三の
艶々
(
つやつや
)
しい皮膚をした、外国人に負けない背のすらりと高い、肩はばも広い運動選手風の大学生で、女は十八九のこれも体格のいい、新鮮なピチピチした
肢体
(
したい
)
で
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
鍛練した目的はちがっていたが、こういう困苦に向って、彼の引き
緊
(
しま
)
った
肢体
(
したい
)
はいよいよ
撥
(
はず
)
んでいるようであった。
享
(
う
)
けついだ血と、思い定めた
一旦
(
いったん
)
の意志が
烱光
(
けいこう
)
を放つのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
あたりまえなら接近する事も困難なような貴顕のかたがたを丸裸にしてその
肢体
(
したい
)
を大根かすりこぎででもあるように自由に取り扱って、そうしておしまいには肩や背中をなぐりつけ
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もっているのであろうか。われわれとちがって、むしろ軟体動物にちかい
肢体
(
したい
)
をもっているのはなぜか
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
顫
(
ふる
)
えているのはむしろ自分らのことであった。空腹と寒さが、灯を見てひしひしと
肢体
(
したい
)
に
甦
(
よみがえ
)
って来た。壮者の彼にそう感ずる苦痛は、女ども子供どもには、泣くほど辛いにちがいない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その
肢体
(
したい
)
から、またかれらが皆女性であることは、その話し声から推察できた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかしそれよりも、もっと直接に自覚的な筋肉感覚に訴える週期的時間間隔はと言えば、歩行の歩調や、あるいは
鎚
(
つち
)
でものをたたく週期などのように人間
肢体
(
したい
)
の自己振動週期と連関したものである。
空想日録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あの若き婦人の
肢体
(
したい
)
が
網膜
(
もうまく
)
の奥に
灼
(
や
)
きつけられたようにいつまでも消えなかった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“肢体”の意味
《名詞》
四肢。手足。
四肢と体。
(出典:Wiktionary)
肢
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“肢体”で始まる語句
肢体信号