トップ
>
肌合
>
はだあい
ふりがな文庫
“
肌合
(
はだあい
)” の例文
たとえばセルロイドで作ったキューピーなどのてかてかした
肌合
(
はだあい
)
や、ブリキ細工の汽車や自動車などを見てもなんだか心持ちが悪い。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
全然
肌合
(
はだあい
)
のちがう嫁ではあるが——祖母には、その少年がたった一人の男の孫であり、その子の母親は私の父の兄の後妻であった。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そんな事は
度々
(
たび/\
)
聞いたが、最早二度と再び来ないが、田舎者には
彼
(
あ
)
アいう
肌合
(
はだあい
)
な気象だから、肌は許さぬとかいう見識が有るから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こいつ、仲間にしては
小才
(
こさい
)
もあり、
垢
(
あか
)
ぬけのした
肌合
(
はだあい
)
もあるので、巧みに、お蝶の心をとらえ、よからぬ悪智を吹きこんでいる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叔父
(
おじ
)
が子供を岡本へやりたがらない
理由
(
わけ
)
は何だろうと考えた。
肌合
(
はだあい
)
の相違、家風の相違、生活の相違、それらのものがすぐ彼の心に浮かんだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「関西人云うても、京都人は大阪人と大分
肌合
(
はだあい
)
が違いまっせ。京都の人は、女はええけど、男はあんまりええことあれへん」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
酒だって江戸のあっさりしたほうが口に合うし、初めはやさしいと思った女にしても、馴れてみればべたべたした感じで、江戸の女たちのさらっとした
肌合
(
はだあい
)
にはかなわない。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一体
苦
(
にが
)
み
走
(
ばし
)
りて
眼尻
(
めじり
)
にたるみ無く、一の字口の少し
大
(
おおき
)
なるもきっと
締
(
しま
)
りたるにかえって男らしく、娘にはいかがなれど
浮世
(
うきよ
)
の
鹹味
(
からみ
)
を
嘗
(
な
)
めて来た女には
好
(
す
)
かるべきところある
肌合
(
はだあい
)
なリ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幽香子は、相当に美しくもあり、私の妹分で一緒に育った関係から、ピアノもかなり上手に弾きましたが、内気で陰鬱で引っこみ思案で、実業家の夫人という
肌合
(
はだあい
)
の女ではありませんでした。
死の舞踏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二葉亭を何といったら
宜
(
よ
)
かろう。小説家型というものを
強
(
あなが
)
ち青瓢箪的のヒョロヒョロ男と限らないでも二葉亭は小説家型ではなかった。文人風の
洒脱
(
しゃだつ
)
な風流
気
(
け
)
も
通人
(
つうじん
)
気取
(
きどり
)
の
嫌味
(
いやみ
)
な
肌合
(
はだあい
)
もなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
顔回のような夫子と似通った
肌合
(
はだあい
)
の男にとっては、自分の感じるような不満は少しも感じられないに違いない。夫子がしばしば顔回を
讃
(
ほ
)
められるのも、結局はこの肌合のせいではないのか。…………
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
一刀流の剣法を習得したという
肌合
(
はだあい
)
の人である。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
美妙の母親は、江戸生れの者には、
肌合
(
はだあい
)
が違う重っくるしさを、仲たがいをして離れている夫からとおなじにこの娘からも受取りながら
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
別段食いたくはないが、あの
肌合
(
はだあい
)
が
滑
(
なめ
)
らかに、
緻密
(
ちみつ
)
に、しかも
半透明
(
はんとうめい
)
に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
里芋の子のような
肌合
(
はだあい
)
をしていたが、形はそれよりはもっと細長くとがっている。そして細かい
棕櫚
(
しゅろ
)
の毛で編んだ帽子とでもいったようなものをかぶっている。
球根
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
優しい
肌合
(
はだあい
)
があるものだから、だんだんそれに
絆
(
ほだ
)
されて抜きさしがならないようになり、持って来た物までみんな
注
(
つ
)
ぎ込んで、裸にされて放り出されてしまったのだが
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
話してみると、ぞんざい口も、罪がなくって
艶
(
なまめ
)
かしくって、どこやら、
国貞
(
くにさだ
)
うつしという
肌合
(
はだあい
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と聞いたのは、吾が夫と中村という人とは他の教官達とは全く
出
(
で
)
が
異
(
ちが
)
っていて、
肌合
(
はだあい
)
の職人風のところが
引装
(
ひきつくろ
)
わしてもどこかで出る、それは学校なんぞというものとは
映
(
うつ
)
りの悪いことである。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
冷たそうに
燦
(
ぎら
)
つく
肌合
(
はだあい
)
の
七宝
(
しっぽう
)
製の
花瓶
(
かびん
)
、その花瓶の
滑
(
なめ
)
らかな表面に流れる
華麗
(
はなやか
)
な模様の色、卓上に運ばれた銀きせの丸盆、同じ色の角砂糖入と牛乳入
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藩のお
抱士
(
かかえ
)
ともおぼえず、浪人という
肌合
(
はだあい
)
ではなし、何しろそまつな
手織木綿
(
ておりもめん
)
の衣服で、しかも袖の形も一般の武家とは違い、
袴
(
はかま
)
の下は
脚絆
(
きゃはん
)
草鞋
(
わらじ
)
で、腰の大小を斧と差しかえれば
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これも後には、白か紫の
唐縮緬
(
モスリン
)
になり、哀れなほど腰の弱い安
縮緬
(
ちりめん
)
や、
羽二重
(
はぶたえ
)
絞りの猫じゃらしになったが、どんな本絞りの
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
でも、ぐいと締る下町ッ子とは、何処か
肌合
(
はだあい
)
が違っている。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その
肌合
(
はだあい
)
なり気持なりは、矢張会社の重役と云うよりお
店
(
たな
)
の奉公人であって、昔はよくこう云う風な、腰の低い、口の軽い、主人の
機嫌気褄
(
きげんきづま
)
を取ることや人を笑わせることの上手な番頭や手代が
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
眼のやり場にうろたえながら顔を
赧
(
あから
)
めている女の様子に、弦之丞は初めて注意するのであった。しかしその
身装
(
みなり
)
や
肌合
(
はだあい
)
は、どうみても、この辺の者らしくなく、江戸の下町に見馴れたつくりである。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
肌合
(
はだあい
)
と、この
眼
(
がん
)
を見て下さい」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肌
常用漢字
中学
部首:⾁
6画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“肌”で始まる語句
肌
肌理
肌着
肌身
肌寒
肌襦袢
肌膚
肌目
肌触
肌衣