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考慮
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かんがへ
と
言つたばかりで(
考慮のない
恥しさは、
此れを
聞いた
時も
綱には
心着かなかつた、
勿論後の
事で)
其の
時は……と
言つたばかりで、
偶と
口をつぐんだ。
斯う
考へると、
無限に
悲哀くなつて、たゞ
茫然と
故國の
空を
望んで、そゞろに
暗涙を
浮べて
居る
時、
今迄默然と
深き
考慮に
沈んで
居つた
櫻木大佐は、
突然顏を
上げた。
然うぢや
無いです。
貴方も
愈〻深く
考慮るやうに
成つたならば、
我々の
心を
動す
所の、
總ての
身外の
些細なる
事は
苦にもならぬとお
解りになる
時が
有りませう、
人は
解悟に
向はなければなりません。
爆裂彈!
何の
爲に? と
讀者諸君は
審るであらうが、
之には
大に
考慮のある
事である、
今、
其目的地に
達し、いざ
建塔といふ
塲合に、
斯く
獅子や
猛狒が、
一頭でも、
二頭でも
イヤ、イヤ、
稻妻は
尋常一樣の
犬でないから、
屹度無事に
海岸へは
達したらうが、
然し、
吾等の
災難は
非常な
事だから、
大佐閣下でも
容易には
救ひ
出す
策がなくつて、
考慮て
居なさるのだらう。