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老年
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としより
ふりがな文庫
“
老年
(
としより
)” の例文
それは緑色の衣を着て長い
白髪
(
しらが
)
を肩へ垂れた
老年
(
としより
)
の
妖婆
(
ようば
)
が輪から離れ、朽木の切り株へ腰をかけ悲しそうに泣き出したからである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
老年
(
としより
)
が罪を造るのも貧ゆえです。ねえ、
貴女
(
あなた
)
。」と綾子眼をしばたたけば、貞子は
頷
(
うなず
)
きて、「定や、あれを遣わすが可い。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はい/\そんな事とは
些
(
ち
)
っとも存じませんで、お店もお忙がしかろうけれども、
私
(
わたし
)
も
老年
(
としより
)
のことだから、ポックリ死ぬような事が有りますと
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
有体
(
ありてい
)
に言えば、エホバの神とはあの三十代で十字架にかかったという基督よりももっと
老年
(
としより
)
で、年の頃およそ五十ぐらいで
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれども今、冷やかな山懐の気が
肌
(
はだ
)
寒く迫ってくる社の片かげに寂然とすわっている
老年
(
としより
)
の巫女を見ては、そぞろにかなしさを覚えずにはいられない。
日光小品
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
ぐるりの人々は、
老年
(
としより
)
は首を垂れ、若者は翁をじつと見つめながら、忍び音ひとつ立てず、息を殺して聴き惚れた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
老人はそれを見ると、初めて
老年
(
としより
)
の偉さを皆に見せつける事が出来たやうに、咽喉をころころ鳴らしながら、
跑
(
だく
)
を踏むやうな
歩
(
あし
)
つきで前を通つて往つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ロダンさんは、お
老年
(
としより
)
のせいもあったのでしょうが、エロチックってことを少しも恐れないようでした。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
子分といっても家に居るのはほんの二三人、あとは
老年
(
としより
)
と女ばかり、口は達者でも、七十を越した源太郎、二三十本かけ並べた
白刃
(
しらは
)
の前には、どうすることも出来なかったのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おお、そんな風に勘定したら、また逢ふまでには
予
(
わし
)
は
老年
(
としより
)
になつてしまはう!
文章その他
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
おゝ、そんな
風
(
ふう
)
に
勘定
(
かんぢゃう
)
したら、また
逢
(
あ
)
ふまでには
予
(
わし
)
は
老年
(
としより
)
になってしまはう!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「幹のいろがもう
老年
(
としより
)
だ、しかも変にそだった年寄だね。」
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
今井
武太夫
(
ぶだゆう
)
と云う
老年
(
としより
)
の
下僚
(
したやく
)
が傍へ来た。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
もう日が暮れるのだ、
老年
(
としより
)
の異人さんが
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
はてな、お録といえば
先刻
(
さっき
)
から皆目姿を見せないが、ははあ、疲れてどこかで眠ったものと見える。
老年
(
としより
)
というものはええ!
埒
(
らち
)
の明かぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
六十余り七十にもなろうか、どこか気高い容貌をした
老年
(
としより
)
の
乞食
(
ものごい
)
が樓門の前で、さも
長閑
(
のどか
)
そうに居眠っていた。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
老年
(
としより
)
つて幾つ位かな。」重役の一人は
馬鈴薯
(
じやがいも
)
のやうなぴか/\した頭を撫でながら言つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
おゝ、そんな風に勘定したら、また逢ふまでには
予
(
わし
)
は
老年
(
としより
)
になつてしまはう!
文章その他
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
下
(
した
)
に
俵
(
たはら
)
を
敷
(
し
)
けるに、
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
一匹
(
いつぴき
)
、
其日
(
そのひ
)
の
朝
(
あさ
)
より
目
(
め
)
の
見
(
み
)
ゆるものの
由
(
よし
)
、
漸
(
やつ
)
と
食
(
しよく
)
づきましたとて、
老年
(
としより
)
の
餘念
(
よねん
)
もなげなり。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして一人の
老年
(
としより
)
の女が、その
中央
(
まんなか
)
に坐っていたが何やら熱心に祈っているらしい。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日本では
老年
(
としより
)
議員といふと、
義歯
(
いれば
)
の口で若い
妓
(
をんな
)
の名前を覚える位が精々だが、このキヤノン爺さんは、
性来
(
うまれつき
)
歯が達者なので、何よりも
挘
(
も
)
ぎ立ての玉蜀黍を食ふのが一番好物だといつてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お医者様はとてもいけないって云いました、新さん、私ゃじっと
堪
(
こら
)
えていたけれどね、
傍
(
そば
)
に居た
老年
(
としより
)
の
婦人
(
おんな
)
の方が深切に、(お気の毒様ですねえ。)
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それに揃ひも揃つて
父親
(
おやぢ
)
が
老年
(
としより
)
なもんでございますから。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そりゃ……色恋の方ですけれど……
慾
(
よく
)
の方となると、無差別ですから、
老年
(
としより
)
はなお烈しいかも知れません。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘が
肯
(
き
)
かないのを、優しく叱るらしく見えると、あいあいと
頷
(
うなず
)
く風でね、
老年
(
としより
)
を
勦
(
いたわ
)
る男の深切を、嬉しそうに、二三度見返りながら、娘はいそいそと桟敷へ帰る。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“老年”の意味
《名詞》
老年(ろうねん)
年を取って心身の衰えが目立つ年頃。
(出典:Wiktionary)
“老年(高齢者)”の解説
高齢者(こうれいしゃ、Elderly)は、社会の中で他の成員に比して年齢が高い一群の成員のことである。
日本語においての高齢者について、同義語として老人(ろうじん)、年寄り(としより)、お年寄り(おとしより)などの言葉がある。また、この世代を老年(ろうねん)と称する場合がある。
(出典:Wikipedia)
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
“老”で始まる語句
老
老人
老爺
老婆
老耄
老舗
老獪
老母
老婢
老女