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習慣
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ならわし
ふりがな文庫
“
習慣
(
ならわし
)” の例文
けれども、不思議な事には決して人には
中
(
あた
)
らぬもので、人もなく物も無く、ツマリ当り障りのない場所を択んで落ちるのが
習慣
(
ならわし
)
だという。
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お屏風拝見」といえば、どこの店でも快よく上へ上げて見せてくれる
習慣
(
ならわし
)
がありまして、お客が多いほど自慢となるのです。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
綾子
様
(
さん
)
、このごろの
習慣
(
ならわし
)
で、
寡婦
(
やもめ
)
の
妊娠
(
はらむ
)
のは大変な不名誉です。それに
貴女
(
あなた
)
のその
腹
(
おなか
)
は誰の種だか、御自分で解りますまい。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だが、
貴下
(
きか
)
はやがて、如何なる警戒も我々の前には全く無力であることを悟られるであろう。我々は一度思い立った事は必ず
為
(
な
)
しとげる
習慣
(
ならわし
)
である。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんな手紙を見た、年期中の親孝行な
忰
(
せがれ
)
はどんな心持ちであったろう。そうした
習慣
(
ならわし
)
が、祖父を辛棒つよい、模範的な町人にしてしまったのであろう。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
対のほうでは寝殿泊まりのこうした晩の
習慣
(
ならわし
)
で
女王
(
にょおう
)
は長く起きていて女房たちに小説を読ませて聞いたりしていた。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
宗助といっしょになって以来、御米の毎日
膳
(
ぜん
)
を共にしたものは、夫よりほかになかった。夫の留守の時は、ただ
独
(
ひと
)
り
箸
(
はし
)
を
執
(
と
)
るのが多年の
習慣
(
ならわし
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
向島へ来れば百花園で休むという事が曾て一般の
習慣
(
ならわし
)
になっていた。その時代にわたくし達は人と成ったので、今之に対して異議を言うものは一人もない。
百花園
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蜂須賀家の
名祖
(
めいそ
)
蓬庵公
(
ほうあんこう
)
以後、二、三代の頃から、国によろこびある時に、こういう
習慣
(
ならわし
)
ができたという。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恐れ尊めるよりの
称
(
となえ
)
なれば、おもうに我邦のむかし山里の民どもの
甚
(
いた
)
く狼を怖れ尊める
習慣
(
ならわし
)
の、漸くその故を失ないながら山深きここらにのみ今に
存
(
のこ
)
れるにはあらずや。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
で、晩餐の終るのも待たず、いつもの
習慣
(
ならわし
)
とはお話にならないほど早く宿へ引上げてしまった。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
源吉というのがこの若者の名で、それを
山家
(
やまが
)
の
習慣
(
ならわし
)
では頭字ばかり呼んで、源で通る。海の口村の若い農夫には、いずれも
綽名
(
あだな
)
があって、源のは「
藁草履
(
わらぞうり
)
」というのでした。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いまいましき門閥、血統、迷信の土くれと
看破
(
みやぶ
)
りては、我胸の中に投入るべきところなし。いやしき恋にうき身
窶
(
やつ
)
さば、姫ごぜの恥ともならめど、この
習慣
(
ならわし
)
の
外
(
と
)
にいでむとするを誰か支ふべき。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「私はだれに向かっても丁寧にするのが
習慣
(
ならわし
)
だ。出て行きなさい。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私なんぞ、よくは分りはしませんけれど、目はその細工の
生命
(
いのち
)
です。それを彫ったものの、作人と一所に銘を入れるのは、お職人の
習慣
(
ならわし
)
だと言いますもの。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上冊には
桟敷後
(
さじきうしろ
)
の廊下より御殿女中大勢居並びたる桟敷を見せ
市川八百蔵
(
いちかわやおぞう
)
桐
(
きり
)
の
谷
(
や
)
門蔵
(
もんぞう
)
御挨拶
(
ごあいさつ
)
に
罷出
(
まかりい
)
でお盃を
頂戴
(
ちょうだい
)
する処今の世にはなき
習慣
(
ならわし
)
なれば興いと深し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
結局彼女を呼び戻して、男に添わして遣ろうということになった。そう決ったらば旧の
盂蘭盆
(
うらぼん
)
前に嫁入させるが土地の
習慣
(
ならわし
)
だとかいうので、二番目の兄が
俄
(
にわか
)
に上京した。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
裾
(
すそ
)
やボタン穴にいたるまで、しげしげと眺めまわしたが、それは彼自身の手がけたものだけに、一から十まで知りつくしていたのである——もっともこれは仕立屋仲間の
習慣
(
ならわし
)
で
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
斯
(
こ
)
のように神仏を崇敬するのは維新前の世間の
習慣
(
ならわし
)
で、ひとり私の家のみのことではなかったのだが、私の家は御祖母様の保守主義のために御祖父様時代の通りに厳然と遣って行った
少年時代
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
たとえば、馬の背や人足の力をかりて旅の助けとするとしても、従来の
習慣
(
ならわし
)
によれば
本馬
(
ほんま
)
三十六貫目、
乗掛下
(
のりかけした
)
十貫目より十八貫目、
軽尻
(
からじり
)
あふ付三貫目より八貫目、人足荷五貫目である。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「わしは、早寝の
習慣
(
ならわし
)
でな」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
能登では、産婦のまだ七十五日を過ぎないものを、(あの姉さんは、まだ小屋の
中
(
うち
)
、)と言う
習慣
(
ならわし
)
のあるくらい、黒島の
赤神
(
しゃくじん
)
は
赤神様
(
あかがみさま
)
と申して
荒神
(
あらがみ
)
で、
厳
(
きびし
)
く不浄を嫌わるる。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両足は仕事をしている時の仕立屋仲間の
習慣
(
ならわし
)
でむき出しにしていた。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
習慣
(
ならわし
)
で調子が高い、ごく
内
(
ない
)
の話のつもりが、処々、どころでない。半ば以上は二階へ届く。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裏
向
(
むき
)
の二階の
肱掛窓
(
ひじかけまど
)
を開けて、立ちもやらず、坐りもあえず、あの峰へ、と山に向って、
膝
(
ひざ
)
を宙に水を見ると、肱の下なる、
廂屋根
(
ひさしやね
)
の屋根板は、
鱗
(
うろこ
)
のように
戦
(
おのの
)
いて、——北国の
習慣
(
ならわし
)
に
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又何とか云ふ
可恐
(
おそろし
)
い島でね、人が死ぬ、と
家属
(
かぞく
)
のものが、其の首は大事に
蔵
(
しま
)
つて、他人の首を
活
(
い
)
きながら切つて、死人の首へ
継合
(
つぎあ
)
はせて、其を
埋
(
うず
)
めると云ふ
習慣
(
ならわし
)
があつて、
工面
(
くめん
)
のいゝのは
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
以前、あのあたりの寺子屋で、武家も、町家も、
妙齢
(
としごろ
)
の娘たちが、綺麗な
縮緬
(
ちりめん
)
の細工ものを、神前仏前へ奉献する
習慣
(
ならわし
)
があって、裁縫の練習なり、それに
手習
(
てならい
)
のよく出来る祈願だったと言います。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
榎の下は四方を丸く明けて避ける
習慣
(
ならわし
)
。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“習慣”の解説
習慣(しゅうかん、en: habit, custom)とは、
日常の決まりきった行いのこと。長い間そうすることによって、そうすることがあたかもきまりのようになったこと。
(心理学用語)反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと。
(出典:Wikipedia)
習
常用漢字
小3
部首:⽻
11画
慣
常用漢字
小5
部首:⼼
14画
“習慣”で始まる語句
習慣的
習慣上
習慣通