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終夜
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しうや
終夜雨に
湿ひし為め、水中を
歩むも
別に意となさず、二十七名の一隊
粛々として
沼を
渉り、
蕭疎たる
藺草の間を
過ぎ、
悠々たる
鳧鴨の群を
驚かす
其頃、
風をなして
行はれた
試驗間際に
徹夜の
勉強、
終夜と
稱へて、
氣の
合つた
同志が
夜あかしに
演習をする、なまけものの
節季仕事と
云ふのである。
果は
艇舷の
材木でも
打碎いて、
粉にして
飮まんかとまで、
馬鹿な
考も
起つた
程で、
遂に
日は
暮れ、
船底を
枕に
横つたが、
其夜は
空腹の
爲に
終夜眠る
事が
出來なかつた。
かくて
當日は、二十
里近く
進んで
日が
暮れたので、
夜は
鐵車をば
一大樹の
下蔭に
停めて、
終夜篝火を
焚き、
二人宛交代に
眠る
積であつたが、
怒り
叫ぶ
猛獸の
聲に
妨げられて