トップ
>
硯箱
>
すゞりばこ
ふりがな文庫
“
硯箱
(
すゞりばこ
)” の例文
老人は
暫
(
しばら
)
く台帳を眺めてゐたが、
軈
(
やが
)
て、台帳を毛布の上に置き、そばの卓子の
硯箱
(
すゞりばこ
)
の筆を取つて、一金五百円也と記入した。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
侍「いやお前の店には決して迷惑は掛けません、兎に角此の事を
直
(
す
)
ぐに自身番に届けなければならん、
名刺
(
なふだ
)
を書くから
一寸
(
ちょっと
)
硯箱
(
すゞりばこ
)
を貸して呉れろ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「主人の居間の、
硯箱
(
すゞりばこ
)
の中に入つてゐる筈で、もつとも、使はうと思へば、誰でも使へないこともありません」
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫人は夫の言葉を聞くと、それを豫期していたものゝ如くお春に云いつけて
料紙
(
りょうし
)
や
硯箱
(
すゞりばこ
)
を取り寄せた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
銀金具
(
ぎんかなぐ
)
の
付
(
つ
)
いた
机
(
つくゑ
)
の
抽出
(
ひきだし
)
を
開
(
あ
)
けて
頻
(
しきり
)
に
中
(
なか
)
を
檢
(
しら
)
べ
出
(
だ
)
したが、
別
(
べつ
)
に
何
(
なに
)
も
見付
(
みつ
)
け
出
(
だ
)
さないうちに、はたりと
締
(
し
)
めて
仕舞
(
しま
)
つた。
夫
(
それ
)
から
硯箱
(
すゞりばこ
)
の
葢
(
ふた
)
を
取
(
と
)
つて、
手紙
(
てがみ
)
を
書
(
か
)
き
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
かれは
寂然
(
じやくねん
)
として唯ひとりその
室
(
へや
)
にゐた。小さな机、古い
硯箱
(
すゞりばこ
)
、二三冊の経文、それより他はかれの周囲に何物もなかつた。かれは
飢
(
うゑ
)
を感ずるのを時として、出て来ては七輪を
煽
(
あふ
)
いだ。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
国表に
於
(
おい
)
て又市が
何
(
ど
)
んな事を
為
(
す
)
るか知れん、万一重役を
欺
(
あざむ
)
き、大事は小事より起る
譬喩
(
たとえ
)
の通りで捨置かれん……お父様お母様へも書置を
認
(
したゝ
)
めるが
宜
(
よ
)
い……
硯箱
(
すゞりばこ
)
を持って来な
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三疊の隅つこに、蜜柑箱が一つ、
行燈
(
あんどん
)
が一つ、蜜柑箱は机の代りになるらしく、その上に
硯箱
(
すゞりばこ
)
が置いてあつて、箱の中には、手習をした
塵紙
(
ちりがみ
)
が二十枚ばかり重ねてあります。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後
(
あと
)
にお村は
硯箱
(
すゞりばこ
)
を引寄せまして、筆を取り上げ、
細々
(
こま/″\
)
と文を
認
(
したゝ
)
め、旦那を取らなければ母が私を
女郎
(
じょろう
)
にしてしまうと云うから、仕方なしに私は吾妻橋から身を投げて死にますから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
翌る日、錢形平次がガラツ八の前に
硯箱
(
すゞりばこ
)
を持つて來させました。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
店もまだ開けない
中
(
うち
)
でございますが、目の見えないおふみまでも来て子供も死骸に取り
縋
(
すが
)
って泣き出しまする。すると
傍
(
かたわら
)
の
硯箱
(
すゞりばこ
)
の上に書残した一封が有ります。これを開いて見ると
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
平次は
硯箱
(
すゞりばこ
)
と卷紙を引寄せました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いえも善は急げで早い方が
宜
(
よ
)
い、早いがよろしい、妙だ、先刻菓子を包もうと糊入を買おうと思ったら、
中奉書
(
ちゅうぼうしょ
)
を出したから買っといたが、こゝに五枚残って居る、妙だ、
硯箱
(
すゞりばこ
)
がある
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お隅は
沈着
(
おちつ
)
いた女で、
直
(
すぐ
)
に
硯箱
(
すゞりばこ
)
を取出し、事細かに二通の書置を
認
(
したゝ
)
めて、一通は花車へ、一通は羽生村の惣吉親子の者へ、実は旦那の
仇
(
あだ
)
を討ち
度
(
た
)
い
許
(
ばか
)
りで、心にもない愛想尽しを申して
家
(
うち
)
を出て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云いながら
硯箱
(
すゞりばこ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せますゆえ、おいさは
泣々
(
なく/\
)
蓋
(
ふた
)
を取り、
泪
(
なみだ
)
に墨を
磨
(
す
)
り流せば、
手負
(
ておい
)
なれども
気丈
(
きじょう
)
の丈助、金十万円の借用証書を認めて、
印紙
(
いんし
)
を
貼
(
は
)
って、
実印
(
じついん
)
を
捺
(
お
)
し、ほッ/\/\と息をつき
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いや
反古
(
ほご
)
になっても心嬉しいから書いてくれ、
硯箱
(
すゞりばこ
)
を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
士「えー名札を失念したが
硯箱
(
すゞりばこ
)
を」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“硯箱”の解説
硯箱(すずりばこ)は、硯その他を納めておく箱である。硯の他には筆、墨、水滴、小刀、尺、暦などをも納めることがある。
(出典:Wikipedia)
硯
漢検準1級
部首:⽯
12画
箱
常用漢字
小3
部首:⽵
15画
“硯”で始まる語句
硯
硯友社
硯筥
硯屏
硯石
硯蓋
硯々
硯水
硯海
硯北日録